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2011年8月11日 (木)

くちびる ためいき さくらいろ 第3話「いつかのこのこい。」

 他の学校の事なんて知らない、恋だって、、、。
千里は、自分の胸に湧き上がってくる気持ちが
恋に似ているとは思いながらも、相手が女の子
であるために引け目を感じているようです。彼女が
1人だけで抱えている、この出口の見えない感情
には、誰かが気づいてくれるのでしょうか。

 コミック「くちびる ためいき さくらいろ」(森永みるくさん作)
第3話「いつかのこのこい。」です。
(なお、この話数は初出雑誌への掲載順になっています。)
 桜女の高校1年生の時、鈴木千里は、優しさの
つもりで差し伸べた手を、クラスメイトの水城に拒否
された経験がある。水城は高校から編入したいわゆる
「外部組」だ。外部組の子達は雰囲気も話題も違っていて、
ずっと桜女所属だった千里には入っていけない世界を
作っていた。水城ともそれきり話す機会はほとんど
なかったが、3年生になった今でも、彼女の白い首筋は、
千里の目を奪ってしまうのだった。

 千里は、第2話のヒロインのなるみや橘と同じ
演劇部に所属しています。橘とは学年も同じですね。
第2話では、部室での会議の場面や、なるみを説得
する場面にも登場しています。
 この作品は、こんな風に、別のエピソードで少し
顔を見せていた人が次には主人公になる、という
つながりが面白いですね。なるみと橘もここでは
ちょっと登場しています。あの子はこういう思いを
抱いているんだなというのを感じさせてくれます。

 それで千里の場合なのですけど、彼女は、高1の
時からずっと水城が気になっているようですね。
ひどい事を言われて拒否されても、相手の美しさや
振る舞いなどが、彼女を引きつけ続けたのでしょう。
 それがどんな気持ちなのかという所までは、彼女は
高3になるまでずっと気づかなかったみたいです。
というか、気づくのを恐れていたのかも、という
気もします。

 この学校(桜海女子)ではクラス替えは行われない
っぽいですね。もしそうなら、千里と水城は3年間
同じクラスで勉強してきた事になりますから、たとえ
グループが別だったとしても何かの形で接点はあった
はず。そのたびに水城の魅力を知ってしまうでしょうし、
それが恋心のようなものだと自覚もしてしまうのでは
ないかとも思えます。

 けれど千里がそこまで立ち入らなかったのは、彼女が
水城に手を差し伸べる原因になったものなのでしょう。
水城の白い首筋に作られたそれは、彼女に恋人がいる
事の何よりの証拠。だから千里は、最初から自分を
抑えようと考えたか、もしくは無意識に一歩引いて
いたのかもです。

 ところが、ある出来事をきっかけに、千里が築いて
きた壁が崩れていってしまうようです。隠されていた
本心が、本人の前にさらされていきます。が、千里は
その気持ちをどうする事もできないようです。

 これがなるみや橘だったら、別の反応をしていたの
かもしれません。とにかく前へ進んで、何かの答えを
自分の手で勝ち取る、とも考えられます。
 もし橘かなるみが千里の気持ちに気づいていたら、
もっと状況は変わっていた、と考えられるでしょうか。
十分なアドバイスはできないとしても、悩みに耳を傾けて
千里の気持ちを楽にしてあげたり、背中を押してあげたり
する事はできたかも。
 けれどこのエピソードでは、2人の出番は少ないですね。
千里は、自分で自分の気持ちにはっきり区切りをつけ
なければならないようです。

 では、水城の方はどうなのでしょう。偶然に千里の
胸にある思いを知ってしまった彼女は、どう考えたの
でしょうね。
 水城本人も、千里の事は気になってはいたようです。
1年生の時に自分がひどい事を言ったという意識はある
みたいですから、別に千里をずっと拒んでいるわけでも
ないのでしょう。

 だから、千里が抱いている恋心のようなものについては、
ちょっと真面目に考えてしまうのでしょうね。千里の
気持ちを知ってしまった直後の、水城の表情が少し気に
なります。あの表情からは、冗談でしょうとか、あり得ない
とかいった考えがあるようには見えないのですよね。
予想もしていなかった事に驚いている、という可能性も
あるでしょうか。

 どうであったとしても、小さな恋に胸を痛めている
女の子がいる事を、水城にもわかってもらえると良いかも
ですね。その気持ちを受け止めて、とまでは言えません
が、2人で何とかしていく事はできるのでは、とも
思います。2人が一緒にいられる時間は1年を切って
いますけれど、今からでも思い出を作っていけたら、
なんて思ってしまいます。

 まあストーリーとしては、そこまでには至らない
切なさが印象に残るものなのでしょうね。こんな思いを
抱えている女の子も桜女にはいる、という事なのでしょう。

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