猫神やおよろず 第４話

　この作品に出てくる神様達は、わがままだったり
人の言葉を聞いていなかったりします。人間とは
持っている力も生き方も違うためそうなるのかも
ですけれど、人をないがしろにしているわけでは
ないのですよね。弱くて寿命も短い人間達に手を
貸さずにはいられないようで、そこにドラマが
生まれるみたいです。

　テレビアニメ「猫神やおよろず」、第４話
「思い出ハレーションサマー」です。
　陽差しが厳しく暑い中、常連客の遥が八百万堂へと
来店した。早速出物を物色していると、呉須赤絵の
大皿が目につく。江戸期のものにしては値段が安いのが
気に入って買おうとするが、柚子によればそれは訳ありの
品なのだそうだ。仕入れの時に見抜けなかった事を
柚子は恥じていた。と、そんなやりとりを、姿を隠した
上で見ている神様がいた。名前は枕木夕楽々（まくらぎ
ゆらら）、人の悪夢を食らうという聖獣、獏である。

　柚子はかなり若いと思われるのですけど、１人で
骨董屋の八百万堂を切り盛りしています。なぜそう
なったのかが、ここでは少し語られていますね。
　彼女はとても幼い頃に両親と離ればなれになって
しまったみたいです。それからは遥の面倒を見て
もらったりもしていたらしいですが、繭が居候を
始めるまでは、あの家に彼女だけで暮らしていたの
かもしれません。

　久しぶりに町へ来た夕楽々は、八百万堂の今の
様子を知っていきます。いえ、３０００年を生きて
いるという彼女にとっては、数年ぐらいは久しい
内には入らないのでしょう。
　ですがその間に、牧太郎と花梨はいなくなり、
小さかった娘の柚子が今は店に立っています。
夕楽々が前にここに来た事があるなんて知って
いる人間は、ここにはいないようです。
　それぐらい、人間の世の移り変わりははかない
ものだ、と、神様達は感じているのではないで
しょうか。神様と人間が一緒に暮らしているこの
世界ならなおさら、その埋めようのない違いを
感じる場面は多い事でしょう。

　だったら、勝手に関わってきて、いつの間にか
いなくなってしまう人間の事なんて、いちいち
取り合わなくたっていい、と神様達は思っては
いないでしょうか。相手がつかの間しかそばに
いないなら、こちらも気まぐれにつきあうぐらいで
かまわない、と。

　この作品に登場する神様達はわがままだったり、
人間なんて眼中にないような振る舞いをする事が
けっこうあるように思います。でもそれは、真剣に
人間を相手にした所で、いつか簡単に忘れ去られて
しまう、という意識が働いての事なのでは、という
気がします。

　それでも、神様は人間達に手を差し伸べている
みたいです。前回第３話でも、式神に逃げられた
漫画家の雪那を助けるために、何の見返りも
ないのに６柱もの神様達が集まってアシスタント
をしていました。

　ここでの人間と神様のつきあいとはそういうもの
なのかもですね。オープニング曲「神サマといっしょ」
の歌詞には、「神様は今日も大変 ほっとけない性分」
という部分があります。人間達が悩んでいるのを
見ているとどうしても放ってはおけないのでしょうね。

　、、、といった感じで、神様から人間達への思い
というのは、本当は優しさにあふれたものらしい
ですね。人間と神様との間に百合な雰囲気が存在
するかどうかはちょっとわからないかもです。
柚子としゃもの関係が、実は注目なのかも？

　後は、最初の夢の場面で、繭の本当の気持ちが
垣間見えたような気がします。繭は、自分が女
なのに、笹鳴やメイ子といった女性達から
迫られている状態を快く思っていないような
素振りを見せていますよね。その割には、
夢の中ではメイ子の膝枕で安らぎを感じたり、
笹鳴が添い寝してくれるのを喜んだりしています。
あの夢は繭の願望を実現しているはずですから、
２人が寄り添ってくれているのを、繭は本当は
求めているのではないでしょうか。

　それならなぜ現実では２人をうるさがって
いるかというと、、、。あの夢と現実とで一つ
だけ違う点がありますね。それは、笹鳴とメイ子が
喧嘩していないという事。とすると繭は、２人が
仲良くしてくれれば、女の子同士の愛情を考えても
いいと思っているのでは、という気がします。