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2011年8月18日 (木)

くちびる ためいき さくらいろ 第4話「天国に一番近い夏。」

 いつの間にか桜女にいて、時の移り変わりをずっと
見続けてきたなつか。なぜ自分がそんな事をしているのか、
彼女にはわからなかったのでしょう。彼女の存在に
意味を与えたのは、小松先生との再会だったの
でしょうね。回想の場面でなつかが言った言葉、
あれがあの時の彼女の精一杯だったのでは、と思うと
ちょっと感動的な感じがします。

 コミック「くちびる ためいき さくらいろ」(森永みるくさん作)
第4話「天国に一番近い夏。」です。
(なお、この話数は初出雑誌への掲載順になっています。)
 夏休みにもなると、桜女の校舎には人影が少ない。
ひまわりが咲き、蝉が鳴く。何年たっても変わらない、
毎年同じこの風景を、なつかはずっと眺め続けてきた。
彼女自身の姿もずっと変わっていない。それは、彼女が
「夏の定番」とも言える幽霊だったからだ。彼女は今日も
保健室へ行く。そこには養護医の小松先生がいて、夏休みで
あっても生徒達のために手当の準備をしている。なつかは、
自分の存在を小松先生には気づかれていない。それでも
彼女は、先生と一緒に過ごす時間が楽しかった。

 夏の幽霊のエピソードという事で少しファンタジーな
雰囲気もありますね。伝統のありそうな桜女なら、
時にはこういう出来事もあったりするでしょうか。
 小松先生がこの学校のOGだという所も、この
場所で積み重ねられていった時間を感じさせます。
この物語では、第1話からこの第4話までだけでも、
桜女にまつわる4組の女の子達(瞳だけは東峰です
けれど)の恋愛模様が描かれてきています。桜女の
歴史の中では、たくさんの生徒達が、女の子同士で
恋心を抱いてきているのだろう、と想像させます。

(ちなみに、この第4話では、第1話のヒロインの
1人、瞳が、1コマだけ登場していますね。招待試合
というちゃんとした(?)理由があって桜女に来ている
事もあるのでしょうか、もう1人のヒロインの奈々
とは公然と仲良くしてます。ちなみに小松先生は、
第3話では脇役として顔を見せています。)

 体が弱かったなつかは、病院や生活環境を変える
意味もあったのでしょうか、この学校以外にも転校
したりしていたようです。それでも幽霊になった後、
気がつくと桜女にいたのは、もしかしたらこの学校が
彼女にとって思い出深い場所だったからなのかも
ですね。
 でも自分がいた時からは時間がたってしまって
いますし、もともと保健室で過ごす事が多かった
らしい彼女には、知り合いと呼べる人はそこには
いなかったのでしょう。ここへ来た理由も、この先
どこへ行くかもわからないまま、彼女はこの学校の
中を、誰にも知られずに漂っていたみたいです。

 その生活が変わるのは、小松先生と再会した瞬間
だったのでしょう。なつかの言っている感じでは、
小松先生がこの学校に赴任してきたのは、なつかが
ここに現れた後らしいですね。

 これが自分の定めだった、となつかが思ったか
どうかはよくわかりませんけれど、彼女は小松先生の
そばにいるようになります。そうしながら、彼女は
昔の事を何度も思い返すようになっていったの
でしょうね。その内に、あの頃自分が抱いていた
感情も、何となく意識していくようになったの
でしょう。

 では小松先生の方はというと、相手(といっても
姿は井出夏香なのですけれど)と話している間に、
なつかと一緒だった頃を思い出しているみたい
です。小松先生の中でも、あの頃の保健室での記憶は、
かけがえのないものだったようですね。そして改めて
思い出してみて、自分がなつかに対してどんな気持ち
を持っていたのかもわかったのではないでしょうか。

 小松先生の記憶の中では、なつかは、色白でいかにも
病弱そうな女の子という雰囲気があったらしいです。
けれどそれを上回るぐらい、笑顔が印象的だった
みたいです。
 たぶん、なつかは、1人でいる時はそこまで明るく
生活できていたわけではないのかなという気がします。
学校へ行けるかどうかわからないぐらい病気が重かった
みたいですから、苦しくなる事だってよくあった
でしょう。
 でも、学校に行けば、保健室に行けば、小松さんに
会える、その思いが、なつかに生き生きとした気持ちを
与えていたのではないでしょうか。小松さんが見続けて
きたなつかの笑顔は、そのまま彼女への愛情の表れ
だったのでしょう。

 回想場面で、屋上へ行った2人が話している時、
次の学年で同じクラスになれるかどうかという話題に
なっていました。なつかは、絶対になれる、と強く
言っています。小松さんから理由を聞かれた彼女の
答えは、、、。この言葉が、この時の彼女の精一杯
だったのでしょう。告白とも呼べないささやかな
言葉。あまりの突拍子のなさに、2人で一緒に笑って
しまいましたが、それでもそうやって笑い合えた
事が、その時のなつかにはとても大切な思い出に
なったと言えそうです。

 それなら今彼女が小松さんの前にいる理由は、、、。
相手から尋ねられて、なつかはふと自分の思いを
振り返ります。そこからの場面が、また幻想的な
雰囲気で良いですね。なつかと、それから小松さん、
この2人が同時に、自分の中にあった気持ちに
気づけた瞬間なのではないでしょうか。

 その後の小松先生には、、、何か新しい出来事が
待っているみたい? この辺りのコミカルさも
楽しいですね。
 後は、なつかはどうなったのかというと、本編
では描かれていないですけれど、単行本でエピソード
の間に載っている小さなカットで少し描かれています。
なつかは健在(?)のようですね。

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