ゆるゆり 第8話
あかりとちなつは出番が減ってしまいましたけど、
その分2年生達の関係が丁寧に描かれている気が
します。それぞれの女の子が、相手を大切に思ったり、
優しく気遣ったりしている姿は素敵ですね。新キャラ
の千鶴もその輪に加わって、彼女なりの思いを
ちょっとした態度で表現しています。千歳とは
仲良くできているみたいです。
テレビアニメ「ゆるゆり」第8話、
「エイプリルフール」です。
生徒会の資料室には、昔からの文書がうずたかく
積み重ねられている。ここから不要なものを抜き出し
整理するのが今日の生徒会の仕事だったが、人手は
綾乃と千歳だけだったため作業ははかどらなかった。
折しもその日は4月1日、エイプリルフール。千歳は、
作業の気を紛らわせるための遊びを考えた。仕事が
終わるまでの間に自分が嘘を交えて話すから、どの
部分が間違いか言い当ててみて、というものだ。
綾乃も乗り気になり、千歳が語り出すのを待った。
オープニングでは、「はっじまっるよぉ」を、
あかりとちなつが息を合わせて言っていましたね。
ポーズも同じ形で決まっていて、さすが1年生コンビ
という感じです。
が、京子は、2人の出番がここまでだと言います。
2人の姿も「とうめい人間」になってしまい、効果音の
「アッカリ~ン」がむなしく響いています。
(そういえば、あかりに主人公らしい特徴をつけよう
と皆で考えた時、「とうめい人間」のアイディアを
出してたのって、ちなつだったような。ここでは
そのアイディアが自分に返ってきてしまったみたい
です。)
確かに、本編では2人がストーリーに絡んでくる
事はないみたいですね。姿もほとんど見かけません
けれど、あかりは(後ろ姿ですが)割りと大きく
登場していたような。見切れ具合(?)については
彼女の方が経験豊富でしょうから、あかりは実は
こういうとっさの場合に打たれ強いのかもしれません。
この話数では、生徒会所属の1年生の櫻子と向日葵
も取り上げられませんでした。ここは2年生達の
振る舞いを詳しく語っていく、という事なのでしょうね。
実際に、彼女達の温かい思いやりや、相手の気持ちを
くみ取ろうとする優しさ、それに深い愛情が、多くの
場面で描かれています。
エイプリルフールにちなんだ遊びをしている最中、
家族の話題になった時に、急に綾乃が頬を赤く染めて
口ごもってしまいました。恥ずかしそうに小さな声で
彼女は「きょうだいとか、いるの、、、」とだけ千歳に
聞いています。
この会話の流れだと、普通なら千歳の家族について
綾乃が尋ねているのかなと思っちゃいますよね。
(というか私はそう思いました。)けれど綾乃はその
つもりで聞いたわけではなかったようです。
彼女の言葉に対する千歳の答えは、、、とても的確
でしたね。しかもあまり考え込んだりせずすぐに
返事をしています。千歳は、綾乃が京子の事を考えて
いるかどうかなんてすぐにわかってしまうのかもです。
綾乃には京子と結ばれてほしいといつも願っている
らしい千歳には、綾乃が京子の事で頭をいっぱいに
するのは望む所なのでしょう。千歳本人は、2人が
仲良くなるのが一番の喜びで、そのためには自分なんて
どうでもいいと思っているのかもしれません。綾乃が
感謝の気持ちを時折言葉にしてくれるだけで十分、と
千歳は考えているのかも。
そんな千歳の日常を知っているのでしょうか、双子の
妹の千鶴は、千歳こそが綾乃と仲良くなるべきだと
思っているようです。というか千歳と同じように、
千鶴も妄想の世界に浸るタイプなのですよね。
綾乃と京子の場合は、いつも一緒にいるわけでは
ないですけれど、綾乃と千歳は、生徒会のメンバー
という役柄だけではないぐらいいつも寄り添っています。
これはも千鶴にとっては妄想のし放題なのでは。本編
中では、綾乃の前であろうとかまわずよだれが出てます
(本人はかたくなに否定しますけれど、、、)。
でも千鶴の場合は、ちょっとだけ千歳とは様子が
別になっている気がします。千歳は、綾乃と京子が
くっつく事を願っていて、そのために綾乃の背中を
押してあげたり、綾乃が恥ずかしがらずに京子への
愛情を示せるような雰囲気作りをしたりしています。
千鶴も、千歳と綾乃が結ばれる事を願ってはいるの
ですが、それに近いぐらい、自分の愛情を姉の千歳に
向けているように感じられます。
背中を流したり布団に入ってきたり、という千鶴の
行動が、作中では実際に描かれていました。彼女の
頭の中では、千歳と綾乃こそがベストカップルだと
考えてはいるのでしょう。けれど、彼女の感情的な
部分では、姉のそばにいたい、できるだけ長く触れて
いたいと願っているのではないでしょうか。
そんな千鶴の行為に、千歳は何だか気づいていない
みたいです。綾乃と京子の事になるとどんな些細な
出来事も大人な百合の絡みへ猛然と発展させていく
彼女ですが、自分に向けられている愛情にはやや
気づきづらいのかもですね。
千歳と千鶴で興味深いのは、2人の間で姉と妹の
位置づけがきっちり分けられている事かなと思います。
双子なら、誕生日も同じで歳も同じですから、友達の
ように同じ目線に立ってつきあうのがよくある関係
という気がします。ですが、千鶴は千歳を「姉さん」と
呼び、妹として姉に尽くしている感じがあります。
千歳の方も、大事な妹と思っているらしく、千鶴を
保護しかわいがっている雰囲気がありますね。
どうしてそういう関係になったのかは、語られて
いないようです。でも理由がどうというよりは、
彼女達の間ではそれがとても自然だったのでしょうね。
2人の家には祖母がいますが、両親は家を留守に
する場合が多いようです。時には中学生姉妹2人
だけで食卓を囲む事もあるようで。2人だけで
過ごす時間が長い分、お互いが相手とどういう風に
接するのが一番なのか、考える余裕はあったの
でしょうね。
(ところで池田家へ戻った後、千歳と千鶴が
着替える場面がありました。七森中の制服は特徴的な
コーディネートになっていますけれど、上着を脱いだ
状態が描かれるのはこれが初めてかもです。その点
では貴重な場面だった?)
千鶴は姉が嬉しそうにしているのが大好きで、中でも
一番は、彼女が綾乃と一緒にいる時だと思っているの
ではないでしょうか。2人が寄り添っていれば、自分も
安心して妄想していられる、と。
ですが2人の暖かなふれあいは、時々かき乱される
事があります。原因は、、、京子。彼女が現れると、
綾乃はとたんに顔を真っ赤にして怒ったり照れたり。
しかも千歳はそんな綾乃を応援して、京子とくっつけ
ようとさえしています。
千鶴の視点からすれば、これは信じたくない光景
なのでしょう。京子が現れただけで自分の望まない方向へ
すべてが動いて行ってしまいそうになる、、、。そんな
相手とは、いくら姉のすすめがあったとしても、仲良く
なんてしたくない、と思うのでしょうね。
このエピソードでは、千鶴の態度は最終的に京子には
かなりこたえていたようです。いつも元気で人付き合い
にも前向きな彼女が、ここでは原作でも描かれていない
ぐらい落ち込んでいますね。
たぶん京子としては、自分は誰にでも愛されている、
と無邪気に考えていたのかもしれません。結衣に激しい
ツッコミを入れられるのも、ちなつから厳しくガード
されるのも、愛情の裏返しなんだと思っているのでは。
たしかに結衣とちなつの場合は、京子を心底嫌がって
いるわけではないのですよね。2人とも、いろいろ
言いながらも、京子を心配したり、優しく接したりする
事が多いように思われます。
京子は、あかり達ごらく部員の間では、実はけっこう
甘やかされていたりしたのかも。あの部室にいる限りは、
そこに気づく事もなくわがままにもなれたのでしょう。
ですが千鶴の場合はそんな雰囲気ではないみたいです。
さすがの京子もあれだけやられたらわかってしまうの
でしょうね。
千鶴も、京子自身を憎んでいるというほどでもないの
では、と感じられます。気に入らないのは、千歳のような
おっとりした女の子の気持ちをくみ取ってあげていない
(少なくとも千鶴にはそう見える)事なのかな、とも
思ったりします。
京子が、千鶴から自分に向けられる鋭い視線の意味を
気づけるかどうか、気づいた後どう行動するかで、この
2人の関係は変わっているようにも思います。けれど
今は、まだそこまではいけていない感じですね。
落ち込んでしまった京子を慰められるのは、結衣なの
でしょう。あかり、京子、結衣の幼なじみ3人の中でも
学年が同じこの2人の場合は、相手の考えている事は
すぐにわかってしまうのでしょう。ここでも結衣は、
さりげなく京子を優しく包み込めていたようです。
っていうか京子に結衣が、なぜ同じ布団で寝ている
、、、? それはまあいつものように1人暮らしの
結衣の所へ京子が押しかけた、といった辺りだとは
思うのですけれど、そういう場面なしにベッドシーン(?)
が映されると、ちょっと驚いてしまいますね。それだけ
彼女達の距離は近い、という意味なのかも。
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