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2011年7月 8日 (金)

つぼみ Vol.11 その2

 百合度的にはちょっと微妙な雰囲気もある作品や、
男子が割と多めに登場する作品などもあります。
本誌としていろいろな形の百合を探っている、のかも
しれませんね。できれば女の子同士のふれあいを
たくさん描いたものが読めると良いような気もします。
そして「レンアイマンガ」は、ハルカと律それぞれの
思いが重なるかどうか、という所ですね。

 発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.11を見てみました。以前に別の記事でも書いて
いますので、よろしければそちらも見てみてください。

つぼみ Vol.11

 では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・苺カーディガン(モロやん)
 七草先生が、授業中でも思わずうっとりするぐらい
かわいらしい女の子が教室にいた。しかし彼女は、
窓際の席で物憂げに外の景色を眺めるばかり。クラス
にはなじめていないようだった。
 教師で大人な七草先生は、生徒を指導する立場です
から、悩みを抱えている子がいれば相談に乗るのは
当然というか責任、とも言えそうです。でも、この子
(名前は出ていないですね)に親しく接したのは、義務
とか、または下心(?)とかからではない、純粋な親愛の
気持ちから、と思いたいですね。

・とりどりの花(塚井ヨウ)
 花守学院へ進学した田之中涼女(たのなかすずめ)は、
幼なじみの男の子、深草美鶴(ふかくさみつる)とつきあう
事に。しかし入学初日、隣のクラスのある女の子に、
ときめきを感じてしまう。
 涼女は、美鶴が女顔で名前も女子っぽい所に安心感を
抱いているようで、元から女子に興味のある女の子では
あったようです。岩松入羽(いわまついろは)に出会った
事が、彼女の本当の恋愛感情を呼び覚まさせたみたい
ですが、その結果は、甘いものになるのでしょうか、
それとも切なくなるのでしょうか。
 この作品は4コマ漫画なので1本ごとにオチをつける
構成になっていますが、その中でも涼女達の気持ちの
動きが織り込まれているようです。高原れあの存在
など、人間関係はもっと広がっていきそうな雰囲気も
ありますけれど、この作品って続くのでしょうか?
でも4人の輪の中に美鶴がいる事で、どうしても
男女の恋愛の側面も出てきてしまいそうですよね。
ストーリー的に幅を持たせるために女の子ばかりでは
なく男の子も前に出てくる、というのはあるのかも。
でも、やはり限られた誌面の中で百合を描いていくには
バランスが難しいような気もします。
 ていうか入羽はまだ女の子同士の関係どころか恋愛
感情さえまだあまり意識していないっぽいですよね。
涼女は彼女とうまく恋仲になれるのでしょうか。

・魚の見る夢 第1話 仔猫の首輪(小川麻衣子)
 巴は奇妙な夢を見た。魚になった自分が漁師に
釣り上げられるのだが、針ではなく首輪が使われて
いるのだ。目が覚めると、ほんとうに自分に首輪が
ついていた。これは妹の御影の仕業だ。
 1回だけ、朝の補習を休んだ巴を、理由もよく聞かずに
皆の前でとがめる教師というのもちょっと考え物かも
ですけれど、巴の方も、人前に出られないと思ったなら
無理せずに休んでも良かったのでは、とも思えますね。
受験生だから追い詰められた、というよりは、やはり
御影の存在の影響力が強いのでしょう。
 「首輪」の1件は、御影にとってもけっこう大きな
賭だったのかも、という気もします。これが失敗すれば、
姉との関係に決定的な溝ができてしまうでしょうし。
でもしょうしなければならないぐらい、彼女も実は
追い詰められていたのかも。それにしてもあの首輪、
やっぱり人間用だと思うのですけれど、女子学生が
どうやってそんな物を調達できたのかは謎ですね。
 なお、こちらの作品は、「第1話」とあるのでこの後も
続いていくのでしょう。巴と御影が続いて主人公に
なるのか、それとも「魚」のイメージを与えられた別の
女の子の物語になるのでしょうか。

・レンアイマンガ 第6話(コダマナオコ)
 主役の髪のスクリーントーンを切らした律のために、
ハルカは思い当たる場所を駆け回ってついに必要な
数をそろえた。届けに来たハルカの姿を見て、律の
胸には不思議な感情が湧き上がってくるのだった。
 気持ちを閉ざして誰ともふれあわなければ、自分が
傷つく事はない、、、。律はずっとそう思ってきた
みたいですけれど、世界には彼女を待っていてくれる
人がいたようです。単にファンだとか担当編集だとか
ではなく、律は他の誰でもないハルカに、ずっと
勇気づけられていたのでしょうね。
 作家と編集者、という立場だけを見たら、仕事の
関係というドライな結果しか出てこないのでしょう。
でも律の場合は、どうしてもそこに人間的なふれあい
を求める傾向があったみたいです。
 編集長の伊藤は、律の担当をしていた時に、自分に
対する律の振る舞いを見てそれを感じたのでしょうね。
律を作家としてもっと羽ばたかせるにはどうしたら
良いか、そう考えて、彼女はハルカを律の担当に
つけたらしいです。
 言ってみれば、律とハルカが近づけたのは、律の
仕事を重視した伊藤の差し金、とも考えられます。
そんな打算的な意図だけで引き合わされたのだと
したら、2人のつながりはやはり味気ないものに
なってしまいそうです。
 が、それだけではありませんでした。伊藤でさえ
気づかなかった絆が、確かに律とハルカの間には
あったようです。彼女達だけが知っているこの
つながりが、彼女達自身を、もっと強く結びつけて
いくのでしょう。

・キャンディ 第5話(鈴木有布子)
 可南の開放的な行動のために、一時は千秋との
仲が噂されていたが、今はそれも落ち着いた。もう
ほとんど者が信じてはいない秘密の関係に、千秋は
一人胸を焦がすのだった。
 自分さえ戸惑ってしまうような恋愛感情を、千秋は
まだうまく可南と分け合えていない感じもしますね。
今はそれで精一杯、という所ではあったのでしょう。
けれど、なかなかそれだけでは済ませてもらえない
ようで。千秋は覚悟を決めているようですが、それが
うまくいくかどうか、気になる展開になっています。

・べことてくてく(三谷知子)
 牛の世話が大好きなちよの近所に、猪瀬美浜(いのせ
みはま)という名の女の子が来た。学校では同じ
クラスに編入したため、登校する道を憶えるまで
一緒に学校へ行く事になる。
 美浜が、ちよの親達には愛想が良くてちよ達とは
あまりしゃべらないのは、転校の原因になった
出来事が関係しているのでしょう。でももしかしたら
それ以前に、美浜は相手の気持ちに気づきづらくて、
それでどこでもトラブルになってしまうのかも。これから
は、ちよが彼女をうまくサポートできると良いですね。

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