スイートプリキュア♪ 第23話
エレンの中では、実はプリキュアとはまぶしく気高い
存在だったのではないでしょうか。もともと美しい歌や
優しい気持ちを愛していた彼女が、プリキュアに憧れを
抱くのもあり得る事でしょう。だから彼女は、自分には
資格がない、と言ったのでは。近づきたい、でもそばへ
行ってはいけない、そんな気持ちを包み込んで解きほぐす
のは、ハミィ達以外にはいないのでしょうね。
テレビアニメ「スイートプリキュア♪」、第23話
「ザザ~ン! 涙は世界で一番ちいさな海ニャ!」
です。
元の妖精の姿に戻るすべを失ったセイレーン(エレン)は、
人間の格好のまま加音町にいた。メイジャーランドどころか
マイナーランドにさえ身を寄せられなくなった彼女は、
この先どうすればいいのかわからずにいる。そこへ、
ハミィと響、奏がやって来た。彼女達はエレンに、
一緒にプリキュアとして戦おうと言う。だがエレンは、
自分にはそんな資格はない、と拒むのだった。響達の
言葉もむなしく、エレンは背を向けて去っていった。
自分にはプリキュアになる資格はない、エレンは
そんな風に言っています。資格がないからなれない、
というのはつまり、資格があればなりたい、という
事なのではないでしょうか。
エレンは、プリキュアという言葉を聞いて何を
思い浮かべているのでしょう。マイナーランドの
歌姫だった頃は、プリキュアといえばメイジャー
ランドの味方、音符を集めるのに邪魔な存在、と
考えていたでしょう。ですがハミィとの友情を
思いだし、自分自身がキュアビートに変身した今は、
その意味は大きく変わっているのでしょうね。
自分がプリキュアモジュレーションした時に感じた
ものは、大事な友達を救い出したいという願い、
そして本当に救い出せた時に思ったのは、誰かを
大切に思う事のすばらしさだったのでは。自分に
救いの力を与えてくれたプリキュアに、エレンは
強い憧れを持ったのかな、と思えます。
けれど、、、高揚感が過ぎ去って思い出すのは、
メロディやリズムと敵対していた自分がこれまで
どんな事をしてきたか、だったのでしょう。救いとは
正反対の、絶望と苦しみを人々に与え続けてきた
自分の過去が、彼女の胸には重く沈んでいて、彼女を
簡単には放してくれないのでは。
それに彼女自身、この過去を忘れてはいけないと
思っているようです。たぶん本当のエレンは、嘘が
つけない人柄なのでしょうね。
エレンが自分を責めるのは無理もない事、と、
響や奏も感じているみたいです。でもそのままでは
何も始まらない、とも考えています。
前回第22話では、最初響と奏はセイレーンを
信用していませんでした。でも彼女がプリキュアに
なれた事が、というか胸にハートのト音記号を持って
いた事が、いえ、ハミィを苦しめるかつての仲間達に
「絶対に許さない!」と立ち向かっていった事が、
2人を動かしたのでしょう。エレンがプリキュアに
なれたから、というよりは、小さい頃からの親友を
今でも大切に思っていると知ったから、彼女の友達に
なりたいと考えたのではないでしょうか。
それからはもう、2人はエレンにちょっかいを
出しまくりらしいです。冒頭の場面もそうでしたし、
奏がおなかを減らしているエレンとマモルにカップ
ケーキを食べさせた時も、「私のカップケーキを
食べちゃったら、もう友達だもん」とアピールしてます。
この言葉はマモルに対して言っていますけれど、
すぐそばにエレンがいるのも十分意識していた
でしょうね。
今までずっと憎み合ってきた(少なくともエレンは
そう思っている)相手の響と奏が、なぜこうも
自分に関わってこようとするのか、エレンには
理解できなかったかもですね。でも彼女達やハミィと
いると、悩む暇さえなくなってしまう。そう感じた
かもしれないエレンがとった行動は、彼女達から
離れる事でした。
「人は結局1人」、それがエレンの出していた答え
だったようです。メイジャーランドでのコンテスト
の時、ハミィに背を向けて歩き去っていったあの
瞬間から、彼女はそんな風に思っていたのかも
しれません。マイナーランドへ行き、メフィストの
手下になり、トリオ ザ マイナーと「悪のベスト
フレンド」になっても、エレンの胸はどうしようもなく
むなしかったのかも。
ここでちょっと気になったのは、エレンがマイナー
ランドの歌姫になったいきさつですね。個人的には、
歌姫としての実力をメフィストに狙われて、あの
奇妙な装置を使って身も心も染められた、みたいな
流れだったのかなと想像していました。ですがこの
話数では、メイジャーランドの新しい歌姫にハミィが
選ばれた事が、彼女の中に暗い影を生み出していた
らしいですね。
でもハミィにコンテストを受けるように勧めたのは
セイレーン本人ですし、コンテストに受かったのを
彼女は喜んでいたようにも感じられるのですよね。
セイレーンはハミィといつも一緒にいましたから、
その歌の実力をわかっていたはず。自信を持てば
自分よりうまく、美しく歌えると感じていたでしょう
から、コンテストに受かったとしても悔しがるなんて
事はしないように思えます。
とはいっても、歌や音楽をとても重要視する
メイジャーランドという世界にいる限りは、相手の
歌の美しさを意識しないわけにはいかないのかも
ですね。何があってもすべて受け入れられるほど
度量の広い妖精なんて、ハミィの他にはなかなか
いないのでしょう。
そうやって、少しずつ闇へ落ちて行ってしまった
らしいエレン。何の手も打たなければ、あるいはもう
救いようのないほど闇の世界にとらわれ、ハミィの
前へ戻る事さえ無理になってしまうのでは、とも
考えられます。
ですが、このエピソードでは、彼女自身が自分を
誤った方向から元に戻せていますね。マモルの言葉を
聞いた彼女は、皆の所へ帰ろうとしています。自分が
プリキュアになるべきかどうかは別としても、自分が
1人ではない事には気づけたのでしょう。
マモルの言葉を聞いていて、エレンの胸に浮かんで
きた相手は、ハミィ、それに響と奏。真っ先に彼女達を
思い出すのは、常に相手への気持ちが胸にあったから
なのではないでしょうか。
ていうかこういうビジュアルを見せられてしまうと、
エレンには早くハミィと仲むつまじくなってもらいたい
ですね。エレンが元の妖精の姿に戻れないと言うのなら、
責任を持って(?)ハミィが人間の姿になって一緒に歌を
歌ったりしたら素敵なのではないでしょうか。
それに仲良しの候補として響と奏も挙がっている
みたいです。ので、4人で和気藹々とするのも良いのでは
ないかと。(そうなるとキュアミューズはどうなる
でしょうね。)
エレンは、「誰かとつながる」予感を感じています。
その相手は、たぶんすぐ近くにいるのでしょう。「つながる」
の意味がうまく描かれれば、百合的にも麗しいビジュアル
が展開するのでは、と期待したいです。
ソリーが言っていたように、キュアビートはここで
「本当の変身」を見せます。戦いでも、ソリーとラリーに
手伝ってもらって次々に技を繰り出していますね。
もし危なくなったら、彼女の背中はメロディとリズムが
守ってくれます。お互いを信じ、つながりあっているから
できる技なのでしょうね。
ちょっと面白いのが、ビートのクールな仕草。技が
決まった後、髪をかき上げたりするのですが、同時に
ギターがかき鳴らされるようなBGMが流れてきます。
これが彼女のこれからの決めスタイルになる?
皆を救うためにプリキュアになりたいというエレン
の願いは通じたと言えそうです。けれど、彼女も
気にしているように、これで過去が帳消しになった
わけではありません。彼女の悩みはすぐには消えない
かもしれません。が、今はハミィや響、奏がそばにいて
ふれあってくれます。いつかエレンが、自分の使命を
感じ、自分から立ち上がる日が来るのでしょうね。
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