« 「くちびる ためいき さくらいろ」 続編の連載予定があります | トップページ | ゆるゆり レビューリスト »

2011年7月25日 (月)

スイートプリキュア♪ 第22話

 セイレーンは、どうなりたいと思っていたのでしょう。
そして今はどうしたいと感じているのでしょう。彼女は、
プリキュアのしている事が自分にもできる、もしくは
自分もやりたいという所までの気持ちは、今はまだ
持っていない気がするのですよね、、、。彼女を駆り立てる
ものが何で、「資格」を与えられるとしたらそれは
何なのでしょうか、そこを考える意味は大きそうです。

 テレビアニメ「スイートプリキュア♪」、第22話
ララー♪魂の調べ、その名はキュアビートニャ!!
です。
 ハミィは、歩いていてもつい鼻歌が出てしまうほど
上機嫌だった。自分の親友、セイレーンがプリキュアに
なったからだ。しかしながら、響と奏はにわかには
信じがたかった。これまでマイナーランドの手先
として人々を苦しめてきた彼女が、手のひらを返した
ように仲間になるとは簡単に思えない。いつものように
自分達を油断させる作戦なのではないか、と。だが
ハミィは断固として譲らない。セイレーンと話し合えば
わかると言い残して、ハミィは走り去った。

 雨に打たれながら、歩き続けるエレン(セイレーン)。
表情は呆然としていて、何をする気力もなくしている
感じですね。彼女の胸の中によみがえるのは、自分が
マイナーランドの手先として今までしてきた事の数々
、、、。しかもちょうど加音町の通りにさしかかって
います。傘を差して行き交う人々の多くは、これまで
不幸のメロディを聴かされ、苦しんだ警官があるの
でしょう。
 その苦しみのほとんどを、自分の手で作り出した。
そう思うと、エレンはどうしたらいいのかわからなく
なってしまうのでしょう。
 少し前までの彼女だったら、そんな事は気にも
とめないのでしょう。ですが今は、町の人達の顔を
見るたびに重苦しい気持ちになっているようです。

 それに、エレン自身にとってもこの状況はちょっと
危険なような気がします。確か第5話では、テレビに
映って不幸のメロディを広めるために、派手な衣装で
取材カメラの前に登場していました。その時は確か
「セイレーン」と名乗っていたように思いますが、
素顔はかなり多くの人達に見られてしまっているの
ですよね。人々を恐怖に突き落とした少女が目の前に
いたら、町の人々は放っては置かないのではない
でしょうか。

 そこまでの事態にはなりませんでしたけれど、
いたたまれなくなったエレンはつい駆け出します。
身を潜めたのは、路地裏のような場所です。
 ところでこういう狭い所につい入って行って
しまうのは、やはり猫の習性を持っている、という
事でしょうか? セイレーンやハミィは妖精では
ありますけれど、やはり見た目のように猫っぽいの
かもですね。
 それともう一つ、セイレーンは人間(エレン)の
姿から他のものに変身できなくなっているみたい
です。彼女のつけていたペンダントが壊れてしまった
事が何だか影響しているみたいです。彼女は
メフィストと連絡を取る事もできなくなったらしい
ですから、もしかしたらあのペンダントはマイナー
ランド製のものだったという場合もありそう
でしょうか。その上で、彼女がもう姿を変えられない
事実が、この後のエピソードにも影響しそうな
感じがします。

 人目を逃れるように隠れていたエレンを、奏太と
アコが見つけています。奏太達はずぶ濡れになって
いるエレンを心配していますね。ですが同時に、アコは
何か真剣な顔つきになっています。以前にも何かを
知っているような素振りを見せていた彼女。これは
偶然なのでしょうか、それとも伝説の楽譜やプリキュア
について、彼女は何かを知っている?
 そういえば、アコというネーミングが前から気に
なっていました。この作品の登場人物は、響、奏、
聖歌、和音といったように、音楽に関係する言葉が
多く使われていますよね。とするとアコって、、、
「アコースティック」から付けられている? と、
今さらながら思ったのでした。

 探し続けてとうとうセイレーンを見つけたハミィ。
とても心配していただけに、会えたのがとても
嬉しかったのでしょう。めいっぱいハグしてます。
片方は人間、片方は猫の姿ですからちょっと
ちぐはぐではあります。けど、2人ともそんな事は
気にしないのでしょう。
 セイレーンに会ってハミィが言いたいのはただ一つ。
昔のようにまた一緒に歌おう、幸福のメロディを、
という事なのでしょうね。

 ハミィとセイレーンを見ていると、つい思って
しまう事柄があります。ハミィは、セイレーンが
プリキュアになった事自体について、実は特に何とも
思っていないのかも、って気がしてきてしまうの
ですよね。
 セイレーンについてハミィが望んでいるのは、
上にも書いたように一緒にいられる事だけなのかな、
と。メイジャーランドや人間界を考えれば、ハミィは
いくらでも使命感を思い出す事でしょう。けれど
自分とセイレーンとの間にあるのはそんな外の事情
とは全然別の、親密な気持ちだけなのでは、と感じ
られます。

 仮にそうであった場合、セイレーンがプリキュアに
なった事をハミィが喜んでいる理由も別にあると
考えられそうです。自分はプリキュアをサポート
する役目だから、プリキュアになったセイレーンの
そばに、遠慮なく大手を振っていつでもいられる、
と考えたのでは。またセイレーンがマイナーランド
から離れるなら、また一緒に幸福のメロディを歌える
はずだと。

 それが真実かどうかはわかりません。けれどハミィ
が個人的にセイレーンを思う気持ちがある事は否定
できないように思われます。

 ではセイレーンの方はどうなのでしょう。自分が
プリキュアになるなんて、彼女は思いもつかなかった
事でしょう。
 プリキュアとは、彼女の目から見ても、幸福の
メロディを実現させて世界をマイナーランドの支配から
救おうとする伝説の戦士達、だと言えそうです。
マイナーランドの側から見ればやっかいな相手では
ありますが、セイレーン自身は、特に思い入れを持って
いるわけではないのですよね。

 プリキュアになりたかったのかと聞かれたら、
彼女はたぶん違うと答えるのでしょう。彼女が本当に
したかったのは、ハミィを苦しみから救い出す事、
ハミィを悲しませない事。「プリキュア」という
肩書きよりも、ずっと親友であり続けようとする
ハミィが、セイレーンには一番気になる存在なの
でしょう。

 最初の場面では、響と奏は、セイレーンが本当の
プリキュアかどうかすぐには信じ切れずにいました。
確かに、第4話では有名なパティシエになりすまし、
第8話ではサクラという架空の生徒になって響を
自分の方へ引きつけようとしたり、また奏に化けて
響との仲を引き裂こうともしました。

 そんな作戦を仕掛けてくるセイレーンの姿しか
知らない響と奏にとっては、相手を信じないのは
もっともな反応と言えそうです。キュアミューズ
にさえなりすましていたのですから、今度だって、
と思う所でしょう。

 ですがハミィは違います。ハミィは、響や奏と
知り合うよりずっと前からセイレーンを知っていて、
その頃の彼女の優しさや歌の美しさを、ずっと
間近で見聞きしてきました。
 だからハミィはどうしても、セイレーンを
見放したりなどできないのでしょう。本当の彼女は
必ず自分の前に現れてくれる、と信じているのでは。

 その願いは、、、かなえられたと言って良いの
でしょうね。ハミィとメロディ、リズム達の前で、
めまぐるしい変化が起きます。
 ハートのト音記号、キュアモジューレ、変身、
「魂の調べ」をつま弾くプリキュア、キュアビート。
ですがこの瞬間だけは、そんな事はハミィにとっては
どうでも良かったのかもしれません。ハミィが
気持ちを奪われたのは、セイレーンの言葉だったの
ではないでしょうか。
 他の誰でもなく、自分のためにセイレーンが
マイナーランドに立ち向かってくれた。その事が、
ハミィにはとても嬉しかったのかなという気がします。

 それに、セイレーンがハミィのためだけに変身
したのも大きなポイントのように思えます。響と奏
は、苦しむ町の人々や弱さにつけ込まれて悲しんで
いる人達を救うためにプリキュアに変身します。
が、ここでのセイレーンは、場合によっては私情
とも言えるような気持ちが変身の原動力になって
います。こういう部分も少し面白いかもですね。

 エレンは、プリキュアになる道を選びました。
ですがその役目を全うするには、彼女がこれまで
行ってきた物事を悔い改めなければならないでしょう。
いくら彼女が今から良い行いをしたとしても、
これまで人々が背負わされた苦しみが消えるわけ
ではありませんから。
(こういう状況に置かれたキャラとしては、別の
シリーズになりますが「フレッシュプリキュア!」の
東せつな(=イース、キュアパッション)がいますね。
エレンは彼女と同じ道を歩むのでしょうか、それとも
別の経験をする事になるのでしょうか。)
 これは、ハミィとの友情の対価としては大きすぎる
でしょうか? それを決めるのはエレン本人なの
でしょうね。これからの彼女の振るまいが、彼女の
気持ちを固めていくのでは、と思われます。

 さてエレンとハミィの関係がメインに描かれた
エピソードでしたけれど、百合的にはどうなの
でしょうか。ハミィもどちらかというと女の子
だとは思うのですが、やはり人間の女の子の姿に
なってくれていた方がイメージしやすいようにも
感じられます。

 ハミィが人間になるのかどうか、気になるの
ですけれど、どうなんでしょうね。10月公開
予定の劇場版に登場すると言われている「新しい
プリキュア
」がそれだったりするのでしょうか。

 例えばハミィが人間の女の子になれたとしたら、
この話数でのハミィとエレンの場面なんてかなり
百合っぽくなるような気がします。テレビシリーズ
中でそういう場面が描かれていくようになると
素敵ですね。

・「ふたりはプリキュア」レビューリストレビューセンター

|

« 「くちびる ためいき さくらいろ」 続編の連載予定があります | トップページ | ゆるゆり レビューリスト »

百合レビュー」カテゴリの記事

作品 ふたりはプリキュア」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スイートプリキュア♪ 第22話:

« 「くちびる ためいき さくらいろ」 続編の連載予定があります | トップページ | ゆるゆり レビューリスト »