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2011年6月 7日 (火)

戦国乙女~桃色パラドックス~ 第9話

 ヒデヨシが現れる前から、ミツヒデはノブナガに
尽くしてきました。ヒデヨシと一緒に行動するように
なっても、彼女の忠誠心は変わっていません。
ノブナガもそれは認めていると思いますけれど、
ミツヒデが求めているものは少し別の感情みたい
です。彼女が願う未来を手に入れるには、いったい
どうすれば良いのでしょうね。

 テレビアニメ「戦国乙女~桃色パラドックス~」、
第9話「西国乙女」です。
 ヒデヨシ、ノブナガ、ミツヒデの一行は、西国へと
たどり着いた。目の前に広がる海を見てヒデヨシは
大はしゃぎ。いかにも子供っぽい振る舞いをする
彼女を見て、ノブナガは温かいまなざしを送って
いる。一方、ミツヒデの胸には、ヒデヨシが病に
伏せっていた時の事が、まだ繰り返しよみがえって
いた。目の当たりにしてしまった彼女達の接吻。
覆しようのない事実が、彼女を暗澹たる気分に
させていた。

 冒頭の場面はいきなりのバトルですね。この
場面は、エピソードの途中に出てくるものを最初に
あらかじめ見せておくという演出のようです。
 彼女達が戦うのは、「深紅の甲冑」をめぐって
だと思われます。毛利モトナリ、大友ソウリン、
長宗我部モトチカの「西国三人衆」は、それぞれ
甲冑の一部分を持っていて、残りを今はノブナガが
手に入れています。この戦いに勝ち残った者が、
甲冑を完全な形で手に入れられるのでしょう。
 けれど、マサムネが前もって教えてくれた情報
では、三人衆は自分達の手で天下統一をしようとは
考えていなかったのでは? マサムネの情報が
違っていたのか、それとも天下とは別に、モトナリ
達はノブナガと手合わせをしたかっただけなの
でしょうか? 途中の場面では、三人衆の側から、
「ただでやる気はない」みたいな事が言われて
いました。あるいは彼女達の中には、武将としての
プライドのようなものがあったのかもしれませんね。

 最初の仕掛けでは、ミツヒデが罠を見抜けず、
ノブナガは一瞬危うい状況になっていました。
策略家である彼女は、同時に、相手の策略を見抜く
能力にも優れている。ずっと主従として一緒に
いたノブナガはそれを十分わかっていますから、
安心してミツヒデが選んできた箱を開けたの
でしょう。
 ノブナガに絶大な信頼を得ているミツヒデ
でしたが、ここでは思うような力を発揮できて
いません。理由は、ノブナガとヒデヨシ、2人の
女の子が愛情表現をしている場面。ミツヒデは
自分の目で見てしまったわけですから、疑いよう
がないと考えているみたいです。
 本当の所は、微妙ではあるのでしょうね。
ノブナガがそうしたのはヒデヨシの病気を治す
ためですし。それとノブナガもヒデヨシもまだ
恋愛感情と呼べる所まではいっていない感じに
見えます。自分が百合な恋愛をするなんて
思ってもいなかったらしいヒデヨシは、気持ちを
切り替えるのに特に時間がかかる気がします。

 なのに、ミツヒデの気持ちは晴れてはいない
ですね。見られた後のノブナガの態度を見て
いれば、あまり深い意味がなさそうだったと
気づいても良さそうに思うのですけれど。
 そこまで考えられないほどショックだった、
という事でしょうか。または、たとえ治療の
ためだったと言われても、2人の醸し出す
雰囲気からどうしてもそう思えなかった、
なんて場合もあるでしょうか。
 何にしても、いつもの鋭い観察力が働かなく
なってしまうほど、ミツヒデは落ち込んでいたの
でしょう。そしてタイミングが良くない事に、
さらにノブナガからの信頼を失いそうな事態に
、、、。

 ミツヒデは、ノブナガとどうなりたかったの
でしょうね。第7話をはじめ他のエピソード
でも時々描かれているように、やはりお屋形様
と愛し愛されの関係になりたいと願っていたと
言えそうでしょうか。
 彼女が自分でもそう意識しているのなら、
その通りに行動すれば良いのでは、とも思えるの
ですけれど、少なくとも本作で描かれている中
では、あまりはっきり態度や言葉には出していない
感じです。第7話でも、ノブナガの方から道を
作ってくれたような状況でしたが、ミツヒデは
慌てて自分の気持ちを否定していました。

 自分から伝えに行くわけでもなく、相手から
近づいてもらえるように振る舞っているわけでも
ないミツヒデ。これではなかなか先へ進む事は
できなさそうにも感じられます。
 それでも彼女は、お屋形様に振り向いて
もらえると信じている所がありそうなのですよね。
手柄をできる限りたくさん立てて、ほめてもらう
事が、ノブナガの寵愛を受けるための道、
みたいな。

 ノブナガと2人きりの時はそれでも良かったの
かもしれません。けれど、今はヒデヨシがそばに
います。ミツヒデもここで気持ちを切り替えて
猛烈にアピールする、というのもあっても良さそう
ですが、彼女の気持ちはちょっと別の方向へ
向かっているようにも思えます。この先、3人の
女性の関係はどうなっていくのでしょうか。

 この話数では、バトルの場面が迫力たっぷりに
描かれていました。ノブナガの技も炸裂してましたし、
ミツヒデの「まあ、嘘だがな」のせりふもクールで
いかにも策士、って雰囲気でした。これまでの
話数ではバトルはあまり前面には出ていません
でしたけれど、これからは戦いの要素も強まって
いったりするのでしょうか。イエヤスやマサムネ
も動きを見せていますから、何かありそうです。
そんな中でも、女性達のふれあいと百合な感情を
描いていってもらいたいものです。

・「戦国乙女」レビューリストレビューセンター

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