戦国乙女~桃色パラドックス~ 第10話
自分の思いがもう届かないというのなら、いっそ
の事、、、と、ミツヒデは思い詰めてしまっている
ようです。こうなると、もう自分だけでは自分を
止められなくなるのでは。その時、彼女に救いの
手を差し伸べる人は現れるのでしょうか。それから、
彼女達以外のキャラも本心を表し始めていて、
大きな展開がありそうです。
テレビアニメ「戦国乙女~桃色パラドックス~」、
第10話「心中乙女」です。
西国で「深紅の甲冑」の残りをすべて集めた
ノブナガ一行は、帰路の途中、とある寺に身を
寄せた。寺の名は本能寺、その響きに、ヒデヨシは
どこか聞き覚えがあった。彼女は、元の世界から
持ち込んでいた中学の歴史の教科書を広げる。
そこに書かれていたのは、「本能寺の変」と呼ばれる
史実で、明智光秀の謀反にあった織田信長が、
この寺で命を落とす、という事件であった。
以前第6話などでも描かれていたように、
ミツヒデはとても真面目な性格らしいですね。
日頃から勉強も鍛錬も怠らず、何事も途中で
投げ出したりしないでとことんまでつきつめ
ようとする人なのかも。謀略に優れているのも、
戦いの状況や相手の戦略、癖などを知り尽くす
からこそできる業なのでしょう。
そこまでしても苦労を感じないのは、大切な
人のためだから、なのでしょうね。主君とあがめる
ノブナガのためなら、彼女はどんな事でもしようと
するのでしょう。
家臣として、主君のために仕える。ミツヒデの
振る舞いにはそういう姿勢がはっきり出ています。
もし、その気持ちだけがノブナガに対する
彼女のすべてだとしたら、どうなるでしょうか。
突然現れたヒデヨシがたちまちノブナガに重く
取り立てられるのを見て、あまり快くは思わない
でしょう。ヒデヨシが突飛な意見を言うたびに、
ノブナガは感心していますし、ちょっとした
手柄でも自分と同じかそれ以上にほめている、
ミツヒデの目にはそう見えたのでは。
その不満が積み重なっていったら、ミツヒデ
はヒデヨシをどうにかしようと考えそうです。
相手を何とか追い出そうと策を練り始めるかも
しれません。本気でするかどうかは別としても、
自分が家臣としてノブナガに一番ふさわしいと、
ヒデヨシにもノブナガにも認めさせようと
するのかな、と思えます。
ですが、ここではそんな展開にはなって
いません。ミツヒデの胸に渦巻いていたのは、
ノブナガの胸に抱えられて口づけされたのが
自分ではなかったという事実と、自分の思いが
ノブナガには届いていなかったのではないか
という落胆だったのではないでしょうか。
彼女の思いは、主君に対する忠義とか信頼
などではなかったのでしょう。彼女が伝え
たかったのは、1人の女性としての、相手の
女性への恋愛感情。女性しかいない彼女達の
世界では一般的な感情だとは思われます。
けれど、ミツヒデの中ではこの気持ちは特別な
ものだったようです。
なぜミツヒデが、今までノブナガに向かって
愛の言葉をささやいたりしなかったのか、と
いうのも気になる部分ですね。あまり慌てても
仕方がない、とミツヒデは考えていたの
でしょうか?
ノブナガとミツヒデの雰囲気を見ていると、
ノブナガの方は、割と恋愛には疎いようにも
感じられます。本編中では語られていません
けれど、もしかしたらミツヒデはこれまでに
何度か告白のような場面を作ったものの、
ノブナガには通じなかった、みたいな経験
をしていたのかも。
もしそんな事があったのだとしたら、
ミツヒデは、お屋形と相思相愛になるには
もう少し腰を落ち着けて取りかからなければ
ならない、みたいに考えた可能性もある
かもです。
急がなくても自分はノブナガの一番の家来。
2人でいる事は一番多いし、誰かが近づけば
すぐに気づいて追い払う事ができる。そんな
発想をした、とか。
ミツヒデはそうやって過ごしていた所だった
とも考えられそうです。そうやってゆったり
構えていた所へ、ヒデヨシが現れたのでは、と
想像してしまいます。これまでに一度でも、
気持ちを奮い起こしてノブナガの思いを確かめて
いればこんな事にはならなかったかもしれない
、、、。でも実際にはそうではなかったために、
ミツヒデは苦しむ事になるのでしょう。
少し勘違いもあったとは言え、第8話で
見てしまった場面に衝撃を受け、ミツヒデの
気持ちは一つの方向へと傾いていきます。
妙に真面目な所のある彼女は、一度思い詰めて
しまうと歯止めがきかなくなるみたいです。
この話数で恐ろしい行動に走っていく間も、
たぶん彼女は自分が何をしているのか、
わかってはいたのでしょう。けれど、一度
踏み出してしまった足を自分で止める事は
できなくなってしまったという気がします。
そんな彼女の前に立ちはだかったのは、
ヒデヨシ、、、。ミツヒデのしようとしている事
は、理屈や何かを差し置いても絶対に間違って
いる、とヒデヨシは伝えたかったのでしょう。
この女さえいなければ、と思う当の相手である
ヒデヨシの言う事なんて、ミツヒデは聞く耳を
持ちません。が、何があっても必死に訴え続ける
相手の言葉が、いつしかミツヒデの胸の中に
届いていったのでは、と思えます。
それに、ノブナガがかけてくれた言葉も
大きかったでしょうね。彼女のきっぱりとした
態度は、ミツヒデの悩みを吹き飛ばしてくれた
事でしょう。
それに、ミツヒデは「接吻」でもヒデヨシを
上回れた(?)みたいです。ささいな事かもしれません
けれど、ミツヒデにとっては大きな自信に
つながっていく出来事なのですね。
そしてエンディング曲「熱き矢の如く」が、ミツヒデ
バージョンに。彼女の胸に宿る切ない気持ちが
歌われていて、よりアンニュイで雰囲気のある曲調に
なっている感じがします。ミツヒデ役の喜多村英梨さん
は「天下とり隊」ではありませんので、主題歌に抜擢
されるのは、やはりミツヒデの百合な思いの深さが
この物語では大事だという意味があったりするの
でしょうね。
この話素では、「敵は本能寺に、、、」という、
ある意味有名なせりふが、感動的な場面に使われて
います。他にも、注目の展開が見られますね。
マサムネが甲冑を狙う理由が少しだけ語られて
います。以前のエピソードから考えると、例えば、
元の世界に帰るために必要だった、とか、あるいは
未来の人間に託されて、世界の歴史が書き換え
られるのを止めようとしていた、みたいな辺りが
妥当な気もしていました。
ですがどうも様子が違うっぽいですね。自分の
願望のために陰から手を尽くしていたと考えると、
ヒデヨシが知っている、学校での伊達先生の印象とは
別の顔が見えてくるようです。彼女がなぜそう
しなければならなかったのか、そこには劇的な
理由があるのでは、と思えてきます。
それと、イエヤスも具体的な行動を起こし始めて
いますね。これまでは、ヨシモトをお姉様と
呼ぶかわいらしくておとなしい女の子という
位置づけにいましたが、甲冑を狙う姿をあらわに
するようになっています。物語がまた大きく
動いていきそうですね。
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