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2011年6月 5日 (日)

「もしドラ」 みなみと夕紀の関係についてもう少し考える

 経営学の本を参考に高校の野球部を変えて
いく、という思いもよらない部分がこの作品の
面白さなのでしょう。でもその流れとは別の
所で、感動的な物語が描かれている気がします。
みなみと夕紀、2人の女の子の関係について、
改めて少し考えてみました。

 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの
『マネジメント』を読んだら
」(略称「もしドラ」)の
テレビアニメ版は、全10話の一挙放送が行われた
後、週1回のレギュラー放送が現在行われています。
 この作品については以前、一挙放送のレビューを
前半と後半に分けて記事に書きました。2週間で
10話を一気に見て作品を楽しめたのですけれど、
今振り返ってみるともう少し考えられる部分も
あるかも、という気もしていました。
 ストーリー的には切ない感じになっています
けれど、女の子同士のつながりが感動的に描かれて
いるのでは、と感じられます。レギュラー放送
では次回、百合的にもポイントになる第7話が
放送されますし、実写版の劇場映画も公開が
始まっています。ので、この作品のアニメ版に
ついてもうちょっと記事を書いてみたいと思います。
ここでは幾つかの項目に分けてみました。また、
よろしければ以前の記事もどうぞ。

アニメ「もしドラ」 前半
アニメ「もしドラ」 後半

もくじ:
突然の「甲子園」宣言
文乃の思い
気づかなかったみなみ、気づかせなかった夕紀
「私の本当の気持ち」
夕紀は、みなみとの思い出を部員達に話したの?
みなみの涙
「大好きだよ」、、、

突然の「甲子園」宣言
 みなみは、第1話の最初でも語られていたように、
高校生になった今は野球が大嫌いらしいです。
「野球」という文字さえ見たくないほどですから
徹底的ですね。小さい頃には野球チームに所属し
成績も良かった彼女としては、大きな様変わりと
言えるでしょう。
 ところが急に、彼女は野球部のマネージャーに
なります。しかも野球部を甲子園に連れて行く、
とまで宣言。
 マネージャーになるつもりだったという事は、
前もって夕紀にも相談していなかったらしいです。
「マネジメント」の本に出会う前でもありましたし、
全部自分の意志で決めていたようですね。

 なぜ、みなみはそうしようとしたのでしょう。
作中でも本人が何度か言っているように、これは
夕紀のため、だったのですよね。
 小学生の頃のように、また入院してしまった
夕紀を、何とか元気づけたいという気持ちが、
みなみに行動を起こさせたのでしょう。それまで
夕紀が一生懸命つとめていたマネージャーの
仕事を自分が代わりにやる。そして夕紀に甲子園
での試合を見てもらいたい。夕紀を喜ばせ、感動
させてあげたい。それは、自分の野球嫌いなんて
目じゃないぐらい強い思いだったのでしょうね。
 後でみなみは、夕紀と一緒に、野球部の定義
付けを「感動」だとしています。これは本当は、
夕紀と自分との間にある記憶を当てはめたもの
だったのではないでしょうか。

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文乃の思い
 女の子を慕う女の子としては、文乃の存在は
大きいでしょう。彼女は第2話で、夕紀本人を
前にはっきりと告白していますね。
 みなみと夕紀の場合は、ずっと昔から一緒に
いますから、相手に親密な感情を抱いているのは
お互いに何となくわかっていて、改めて告白、
みたいな事は気恥ずかしくてできないのでは、
とも思えます。まあ実際の所はどうなのかよく
わかりませんけれど、仲良くしているのは2人に
とっては自然な事なのですよね。
 それに対して文乃の場合は、たぶん程久保高校に
入ってから夕紀と知り合ったのでは、と思われます。
みなみと夕紀のような積み重ねがない分、彼女は
積極的にアピールしなきゃなのでしょう。

 みなみがマネージャーになるまで、文乃は、
夕紀に対して自分の気持ちを必死に隠していた
ようです。やはり、女の子が女の子を愛する、
という事に、引け目を感じていたのかもしれません。
 でもついに、彼女は夕紀本人に告白しました
(この場面の話題の流れ的には、言わなくても
済んだとも思われますが、おそらく文乃は、ここで
言わなきゃずっと言い出せない、と思ったのでは
ないでしょうか)。これで実は肩の荷が下りたの
かな、とも考えられます。第3話では、手を握って
くれた夕紀に必死に応えていますね(この場面、
2人の声にエコーがかかっていたり、文乃が
「夕紀先輩」じゃなく「夕紀さん」と呼んでいたのも
ポイントでしょう)。
 でもその後は、百合的に夕紀達とからむ事は
あまりなかったような。告白できて安心したのか、
それともみなみにはかなわないと思ったのか、、、
彼女自身の気持ちが気になります。
 夕紀みたいになりたいと言っていた文乃。
第10話から後、彼女はその言葉通りの女の子に
なれているのでしょうか。

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気づかなかったみなみ、気づかせなかった夕紀
 夕紀は小さい頃から病気がちだったようです。
ずっと一緒だったみなみもそれはよくわかって
いたでしょうし、大事な事ですから、お互いの間
では、夕紀の症状や痛みなどについて理解し合って
いたと考えられます。
 でも、高校に入ってからの入院については、夕紀は
本当の事を隠していたようです。夕紀の母親が後で
言っていた感じでは、病院に入る時、物語でいえば
第1話が始まる前から、夕紀は自分の体の事を
知っていたみたいなんですよね。でもみなみは
それを全く知らされていませんでした。

 夕紀の健康の事ともなれば、夕紀本人にとっても
重要ですし、夕紀とみなみがこれからも一緒に
いられるかどうかに関わってくる大切な問題のはず。
夕紀なら誰をおいても真っ先にみなみに話すと
思うのですけれど、そうではなかったようです。
(あるいは言い出そうとして言えなかった、という
場合も考えられそうでしょうか。作中では描かれて
いない部分でもあるため、ちょっとわからない
ですね。)
 入院中の夕紀は、自分の体調をみなみに伝える
事はなかったようです。みなみに元気をもらえた
と言っては、にっこりと微笑んで、不安な表情など
みじんも見せていません。
 これは、気遣いなのでしょうか。みなみに心配を
かけたり悲しませたりしないように、夕紀は病気の
事を何も言わないと決心したのでしょうか。
 もしそうなら、彼女のやり方はとてもうまく成功
したと言えるでしょう。みなみは全く気づかず、
いつものように2人で麦茶とスイカミルクを飲み、
談笑したり、野球部について真面目に語り合ったり
します。
 でもそれは、今の事。後になってみなみがどう
思うか、夕紀だってわからないわけではないでしょう。
それでも言い出せなかったのは、、、もしかしたら
「今」をとても大切に感じたからなのかも。

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「私の本当の気持ち」
 第7話で、夕紀はみなみに向かってそう言いました。
夕紀はみなみにとても感謝していて、強い憧れを
抱いていた、そう伝えたかったようです。
 入院したらベッドから起きて出る事も少なく、
できる事といえば、せいぜい窓の外に広がる野球の
グラウンドを見下ろすぐらい、と、入院し始めた頃の
夕紀は考えていたかもしれません。だからみなみとの
おしゃべりを精一杯楽しもう、とか。
 ところが、思いもよらない事が次々に起こります。
野球を嫌っていたみなみが、マネージャーになって
程高野球部を甲子園に連れて行く、と言い出します。
自分のためにそうしてくれているんだと思うと、
夕紀はそれだけでも胸が熱くなっていたでしょう。
 ところがみなみの行動はそれにとどまりません。
彼女は、経営学の本を駆使して野球部の改革に
乗り出します。また、彼女の計画には、ちゃんと
夕紀の役割も用意されました。ベッドでおとなしく
させているだけではなく、みなみは積極的に夕紀を
巻き込んで行っています。これは夕紀には迷惑なんか
じゃなく、自分にも何かができると思わせてくれる
素敵なチャンスだったでしょう。「お見舞い面談」
を通じて気持ちの整理ができたり成長できたのは、
野球部員達と、夕紀本人だったと言えそうです。

 こんな驚くような楽しい日々を与えてくれた
みなみに、夕紀はとても感謝しているのでしょう。
それが第7話になって、やっと言葉に出せた
ようです。
 夕紀は、小さい頃の試合でみなみがサヨナラヒット
を打ち、とても感動した事を、高校生になって
初めて伝えました。みなみへの感謝の気持ちも、
「みなみは私のヒロイン」なんだという事も、彼女は
ずっと胸に抱えたまま過ごしていたらしいです。
 すぐに言い出せなかったのはなぜなのでしょう。
そこには、彼女の秘めた思いがあったのでは、
という気もします。その点については後で書いて
みたいと思います。

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夕紀は、みなみとの思い出を部員達に話したの?
 第10話で、試合をする程高の選手達の行動や
言葉から、みなみはある事を思い出します。それは、
第1話で野球部のマネージャーをやると夕紀に告げた
時に教えてくれた、幼い頃の思い出です。
 夕紀はみなみのサヨナラヒットにも感動しましたし、
試合の差し迫った状況でもわざと相手を油断させられる
ほどの余裕を持っていたみなみにも感動したのだ
そうです。
 それと同じ事が、高校野球の予選の決勝戦という、
目の前の試合で起きている、、、。みなみはとても
驚いています。
 同時に疑わしい、または切ない気持ちになって
いたりはしなかったでしょうか。もし昔の試合の流れが
今再現されているというのなら、夕紀は部員達に、
みなみとの思い出を前もって話していた事に
なります。
 第9話にあったように、夕紀が部員達に、みなみの
野球嫌いを話していた事を考えると、夕紀とみなみの
思い出についても、皆が知っていた可能性は
ありますね。夕紀と自分との間にあるかけがえのない
思い、しかも夕紀が自分にさえずっと内緒にしていた
感情を、部員達には知らせていた、と思うと、みなみは
ショックを受けたりはしないでしょうか。

 第10話の場面では、夕紀はこの思い出を他の人達に
話したと言っていますが、あれはみなみのイメージ
でしょうから、本当はどうだったのかは、よく
わかりません。でももし話していたのだとしたら、
そこには夕紀のどんな気持ちがあったのでしょうね。
 いつも明るくて皆を引っ張っていってくれるみなみ
は、失敗があると誰よりも自分を責める傾向がある
(作中でも、みなみは「また夕紀に気を遣わせて
しまった」と悔やむ場面があります)。自分は一番に
みなみをなぐさめて安心させてあげたいと思って
いるけれど、それがうまくできない場合は、誰かに
託すしかない。そういう考えから、夕紀はみなみの
思いを皆に伝えようとしたのかもしれませんね。
みなみの将来を思っての行動だったのかも。

もくじへ

みなみの涙
 第10話で、程高が決勝を戦った試合の後、みなみ
はベンチで涙を流します。高校野球にマネージャー
として参加して、夕紀と自分が立てた目標通り、
感動をもらったから。
 確かにそれは当たっているのでしょう。試合を見ていた
みなみは、何もかも忘れて白球を追い、グラウンドへ
声援をかけていました。試合が決まった瞬間は、一番の
感動を覚えた事でしょう。
 ですが、野球部を甲子園へ連れて行くという目標に
決着がついた後、彼女は気づいてしまったのでは
ないでしょうか。甲子園へ行くのも、感動を与えるのも、
皆のためじゃない、たった1人の女の子のためだった
という事に。
 そしてその女の子は、、、。みなみの胸の中に、夕紀
との思い出が駆け巡ります。部屋の壁に飾ってある
写真なんて目じゃないぐらいたくさんの場面を、
時間を、みなみは夕紀と一緒に過ごしてきたんですね。

 2人の記憶が通り過ぎていった後、みなみは
その場に泣き崩れます。これはもう、感動の涙など
ではありませんでした。失ったものの大きさを
はっきりと感じさせられた、悲しみの涙なのでは。
 グラウンドにいる選手達、応援する生徒達、
見守る観衆、皆が感動している中で、みなみだけは
悲しんでいる。これが、この作品をドラマティック
にしているように思います。マネジメント、顧客、
マーケティング、イノベーション、、、どんな物事
よりも、みなみは夕紀が一番大切なのでしょうね。
 たぶん、みなみ本人も、この瞬間になって初めて
その気持ちの意味するものがわかったのでは、という
気がします。一番大切な人、いつまででも一緒にいたい
と思う愛しい人は、みなみにとっては夕紀なのでしょう。

もくじへ

「大好きだよ」、、、
 第1話からずっと、エンディングに流れている曲
です。穏やかな時間を2人で過ごしていたけれど、
胸の中にはあふれる思いが。でもそれを閉じ込めて、
相手には決して伝えずにいた。離ればなれになっている
今、その気持ちが抑えきれなくなる、といった雰囲気
でしょうか。
 作中では、少なくとも第9話までは、恋愛のような
エピソードはほとんど出てきていません。第2話で
文乃が夕紀に正面から告白する場面がありましたが、
その後は発展していったわけではなく、落ち着いた
感じでした。
 ではこの曲は、どういう心情を歌ったものなのか
というと、、、ここにはやはり、主人公のみなみ、
それと夕紀の思いなのでしょうね。夕紀は、野球に
興味を持ったきっかけがみなみの試合だった事を
ずっと秘密にしていました。これは、野球のせいで
傷ついたみなみを苦しめたくなかったかららしい
です。
 そして高校生になってからも、夕紀はみなみに
内緒にしていた事がありました。彼女のおかげで、
入院してからもずっと感動や生きる勇気を与えて
もらっていた事への感謝の気持ち、それもあるの
でしょう。けれどそれだけなら、別に隠したりする
必要はないようにも思われます。
 「言うべき事を言わないと後悔する」という大きな
決心をさせるほどの気持ちが、夕紀の中にはあったの
ではないでしょうか。(この決心を後押ししたのは、
自分に告白してくれた文乃の懸命な姿だったのでは、
と思います。)勇気、感謝、ヒロイン、そういった
言葉よりももっと強い気持ち。でも、第7話の場面
では、みなみにはあまりはっきりとは伝わって
いなかった感じがします。

 みなみが気づいたのは、第10話、イメージの
中の夕紀がある言葉を口にした時なのかな、と
思いました。その瞬間、みなみの胸には過去の
思い出がありありとよみがえり、その後悲しみの
涙が彼女の目にあふれていきます。
 その言葉が、この曲のタイトルに近いように
思えます。この時になって、みなみは、夕紀が
ずっと隠してきた最後の思いに、たどり着けたの
ではないでしょうか。そして今まで気づかなかった
けれど、自分も同じ思いだったとわかったのかな、
とも感じます。
 曲では、「また逢えるから」と歌われています。
彼女達がそうなれるのかどうかはわかりません。
けれど、みなみがこの先も希望を持って進める
ようになると良いかもです。

もくじへ

 といった感じで、みなみと夕紀は少し切ない感じに
なってしまっているようです。が、百合的には
感動的な物語になっている気がします。
 テレビのレギュラー放送は、次回が第7話で、
夕紀の発言が注目の回になっています。また、
ブルーレイ&DVDは、第1話と第2話を収録した
第1巻が発売中です。興味のある方はその辺りを
チェックしてみてはいかがでしょうか。

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コメント

私は、もしドラは、いいアニメだと思います。原作を見てなかったので、夕紀は、無事に退院してみなみと、甲子園に行くと思っていたのて゛夕紀が死んだのは、びっくりしました。みなみが野球部のマネージャーとなり、野球部を甲子園に連れて行けたのは、夕紀の存在だったので、夕紀が最大の功労者だと思います。

投稿: ノリ | 2011年6月10日 (金) 03時20分

ノリさん、コメントどうもですー。
私も、夕紀にはみなみと一緒に甲子園で野球部を
応援してもらいたかったように思います。夕紀の
体の調子が急に変わってしまったのには私も
驚きました。
夕紀は、入院しているので自由に動き回れない
ですけれど、その代わりいつもみなみの事を
考えて応援しているのが素敵ですね。

投稿: ギンガム | 2011年6月12日 (日) 02時25分

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