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2011年6月22日 (水)

戦国乙女~桃色パラドックス~ 第11話

 過去、未来、異世界、、、あらゆる時間と場所を
巻き込む大事件は、確かに途方もない出来事の
ように感じられます。それを引き起こしているのは、
「深紅の甲冑」を狙う武将達の熾烈な戦い。彼女達の
主張が真っ向からぶつかり合う、熱い展開になって
いるのではないでしょうか。ここでヒデヨシが
どう振る舞うのかが鍵になりそうですね。

 テレビアニメ「戦国乙女~桃色パラドックス~」、
第11話「強奪乙女」です。
 本能寺の炎上に紛れて、マサムネが「深紅の甲冑」の
具足を奪い去った。目撃者であるヒデヨシを連れて、
ノブナガとミツヒデは馬をひた走らせる。相手の
行き先は、残りの具足のある安土城以外にない。
一方、マサムネの行く手に、ハンゾウを従えた
イエヤスが立ちはだかる。彼女の狙いは、甲冑。
これまでおとなしくしていた彼女も、天下取りを
もくろんでいたのだ。攻撃的な笑いを浮かべて、
イエヤスは錫杖を掲げる。

 奪われた甲冑を取り戻すために、ノブナガと
ミツヒデは、ヒデヨシとともに乗った馬をひたすらに
走らせています。目指すのは、甲冑と、マサムネ。
ノブナガにもミツヒデにも迷いはないようです。
 前回第10話では、主君であるノブナガの寵愛を
見失ってしまったため危うい道へ踏み出そうと
したミツヒデでしたが、今はすっかり立ち直って
いるみたいです。彼女が、自分からノブナガへの
忠誠心を疑いそうになっていた時も、ノブナガは
全く揺るぎない信頼を寄せていました。しかも
それは、他の誰でもないミツヒデだからこその
気持ち。相手の本心を知る事ができたミツヒデは、
もう何があっても迷ったりはしないのでしょう。
(それに、何しろ「12対1」でヒデヨシには
勝って(!)いますから、それも自信につながって
いるのですね。)

 ここでのミツヒデに気後れさせるものがあると
すれば、それはマサムネの策略を見抜けなかった
事に対してなのでしょう。これまで得意の謀略を
使ってノブナガをサポートしてきた彼女ですから、
マサムネにまんまと出し抜かれたのは、相手にも
ですが自分にも腹立たしい思いを抱かせるものなの
では。そのため、彼女はマサムネを見つけたら
ただではおかない、という気持ちでいっぱいだった
ようです。

 果たして3人は、マサムネを見つけ出します。
が、そこには甲冑はなく、相手も大けがを負って
いました。
 甲冑を狙っていたのはマサムネだけではありません
でした。ずっと機会を見ていたイエヤスがここで
動き始めています。

 手にしたものは必ず天下を勝ち取ると言われる
「深紅の甲冑」、興味を持つ武将は少なくなかった、
という事なのですね。ですがその理由は様々ある
みたいです。
 ノブナガは、母親や祖母の生き様に触れる内に、
いつか天下を、という気持ちになっていったらしい
です。彼女としては、自分の実力でのし上がる
つもりは十分にあったのでしょう。たぶん甲冑に
ついては、噂を耳にして興味を持った、といった
所なのかもしれません。今から天下取りを狙うのに
当たって、深紅の甲冑を使って自分の度量の広さを
試そうと思ったのでは。これでうまく甲冑を手に
入れられない程度なら、自分は天下を狙う器では
ない、と潔く考えていたようです。

 ですがマサムネ、いえ、伊達先生は全く異なる
思いを抱いていました。彼女が佳乃(ヒデヨシ)に
語ったのは、未来からの使者、歴史の改変、そして今
いる異世界での覇権。あまりにもスケールの大きな
話題で、ヒデヨシはすぐには信じられなかったの
では。
 ここで、この作品のキャッチコピーとも言える
言葉を思い出してしまいました。それは、「トンデモ
戦国女子絵巻」というものです。この途方もない
設定は確かにとんでもない、って感じもしますね。
でもマサムネ達が至って真面目な所が、物語の
すさまじさを示しているようにも思います。

 最初に未来人や端末、宝玉を目にした時は、
マサムネだってヒデヨシと同じように信じられない
気持ちになっていたでしょう。ですが、彼女は
その奇妙な世界の中へ足を踏み込んでいきます。
 彼女に残されていた手立てはとても少ない
ものでした。未来人は、彼女の前に現れたとたんに
消えてしまい、宝玉もすぐに失われてしまいます。

 こういう状況だったら、先へ進むのをあきらめた
としても無理はないでしょう。過去を変える
なんて途方もない事、できるわけもない、と。
 なのに、マサムネは糸のように細い手がかりを
たぐり寄せて実家へと戻り、ついには端末を
再起動させてしまいます。これは紛れもなく、
彼女の意志なのでしょうね。この時の彼女なら、
たとえ端末のデータを見る事ができなかった
としても、遠回りになったって必ず目的の場所
までたどり着こうとしたかもです。

 彼女は第10話の最後でも言っていましたが、
狙いは「伊達家の復興」にあったようです。それを
実現する手段として、彼女は甲冑の力を利用する
事を思いついていたのでした。
 それにしても、彼女の考え方は並大抵のもの
ではないですね。伊達家が天下統一をするのが
正当な歴史だと信じて疑っていません。ここまで
の思い入れというのも激しいのではないでしょうか。
必要なら歴史を改変する事さえやってのけようと
考えているわけですし。

 また、目的の時代まで行けず、異世界へ
飛ばされてしまっても、マサムネの考えは
少しも揺るぎませんでした。この世界にも
深紅の甲冑があると聞きつけると、あらゆる
手段を使ってそれを手に入れようと画策します。
これには謀略家のミツヒデも完全に欺かれて
しまいました。

 そうやってもう少しで目的を達成できる、
という所まで彼女はやって来ます。でもここで
言う目的って何なのか、ふと考えてしまいます。
 彼女はもともと、自分やヒデヨシのいた世界で、
自分の家系を再興させようとしていました。
それが、見た事もない女性だけの世界へ迷い込み、
戻るのもままならなくなってしまったみたい
です。
 そうなった彼女は、この世界で天下を取る事を
志しました。他の誰かではなく自分が、伊達家の
代表者として天下統一を成し遂げる、というもの
です。
 代々伝わってきた念願を果たすのは、彼女の
先祖達が生きていた世界で実現してこそ意味が
あるような気もするのですけれど、今の彼女は
そうは考えていないみたいです。伊達の血筋を
引く自分がすべての責任を背負い込む、という
覚悟が彼女にはあったのでしょうけれど、その
実現の仕方は、危うい方向へと進んでいるようにも
見えます。

 マサムネは本当に最初から、こうする事を望んで
いたのでしょうか? 不思議な出来事に遭遇する
まで、彼女は中学校の教師をしていました。先生
という職業は、伊達家再興とは直接つながらない
気もしますね。、、、もしかしたら、以前の彼女は、
伊達という家柄から離れようとしていたのでは、
とも感じられます。
 回想の場面で、母親からからメールが届く所が
描かれていました。内容は、家の事についてちゃんと
考えなさいというもの。
 こういうメールが送られてくるのは、彼女が
家と距離を置いていたからなのではないかな、と
思えます。彼女自身、親達がずっと昔から果たそう
としてずっとできなかった淡い夢に、興味を
持てずにいたのでは。家を重要に考える母親達から
逃げるように、彼女は教師の仕事に就いた、といった
事はあるでしょうか。

 もしそうだとしたら、深紅の甲冑の力を信じ切って
いる今のマサムネとはかなり違いますよね。彼女が
どうして今のような考え方を持つようになったのかが
気になります。

 そしてもう1人、天下を狙うイエヤスの存在も
あります。彼女は妖術使いではあるらしいですが、
甲冑を発動させるための宝玉は持っていなかった
(というかその存在自体知らなかった)のですよね。
ところが、、、予想できない事態が起き始めます。
こんな事を実現させられるほど、彼女の天下への
執着心は強かった、のかもしれません。その辺りの
彼女の心境などが描かれると面白そうですけれど、
どうなるでしょうね。

 この作品は、コミカルな展開やお色気、それに
百合テイストなどいろいろな要素が含まれて
います。が、やはり舞台が戦国ですから、戦いにも
大きな意味があるのでしょう。それぞれの立場から
主張をする彼女達の間で、どんな決着がつくの
でしょうか。
(ところで、ちょっと思ったのですけれど、甲冑を
発動させる宝玉が伊達家にずっと伝わっていた
事を考えると、深紅の甲冑は伊達家のもの、とも
言えそうです。そういう、所有権みたいなものは
後ではっきりするのでしょうか。
 それと、何だかシロが活躍しそうな雰囲気も
ありますね、、、。話す犬なわけですし、何か事情は
ありそうです。それに、考えてみればシロがかぶって
いる兜の前立ては弦月、これは伊達の兜の特徴
でもあります。実はシロはマサムネの家と何か関係が
ある? でもこの作品は「女子絵巻」でもあります
から、できれば女性キャラに存分に活躍してもらいたい
所ですね。)

 百合的な点でいえば、イエヤスと、ハンゾウの間
に何かあっても良さそうな気がしますね。ハンゾウ
は、常にイエヤスのそばにいる忍です。また、この
話数で描かれているのですけれど、実は彼女は
たくさんいるようです。
 まあクローンみたいなテクノロジーではなく、
黒い忍装束に丸眼鏡という出で立ちでイエヤスに
仕える女性の事を総称して「ハンゾウ」と呼んで
いるのかもしれません。偵察や破壊工作など、
イエヤスの代わりにダーティな仕事を引き受けて
いるみたいです。

 ポイントは、ハンゾウがイエヤスを慕っている
所なのでは、と思えます。配下の者としては主君の
ために命を捨てる覚悟で努力する、というのは
ありそうです。ハンゾウの場合はさらに、愛しい
人を喜ばせたい気持ちもあるのでしょう。時々
失敗はしてしまいますが、彼女(達)はいつでも
イエヤスの事を思っているのではないでしょうか。
 そのイエヤスが、今危険な事を始めようとしています。
「鳴かぬなら鳴くまで待とう」がモットーだった
はずの彼女は、待ちきれなくなったのか、自分から
手を差し出して甲冑をつかみ取ろうとしています。

 イエヤスの言う事には何にでも従ってきたハンゾウ。
ですが、もし主君の言う通りにして主君が危険な
目に遭うというのなら、彼女はどうするでしょうね。
どんなに危ないとわかっていても主の言いつけは
守るでしょうか、それとも、、、。

 作中で、倒れたハンゾウの眼鏡がずれて、彼女の
瞳がちらりと見える場面がありました。これは、ずっと
個性を隠し、主君のために自分を押し殺してきた
彼女達の統一性に、ほころびが見えた瞬間だったの
では。
 もしかしたらこれは、彼女達が「自分」を取り戻し、
自分達自身の考えでイエヤスを救おうとする始まりの
合図なのかな、とも感じられます。実際の所はどう
なのかよくわかりません。けれど、イエヤスと
ハンゾウ達、それ以外にもヨシモトをはじめとした
イエヤスに愛しさを感じている武将達が、天下を
狙わなければならなかったイエヤスの気持ちを救い、
愛してあげられるようになると良いですね。

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