ハートキャッチプリキュア! 第49話
これまでの戦いの中で、4人は知ったのでしょう。
愛が、救いのきっかけになるのだという事を。
憎しみや悲しみは、確かに簡単にはなくなったり
しないのかもしれません。けれど愛を持ち続ければ、
鎖を断ち切る事はできるのではないでしょうか。
、、、という「すごい事」を、彼女達は成し遂げたと
実感してるっぽいですね。
テレビアニメ「ハートキャッチプリキュア!」、
第49話「みんなの心をひとつに! 私は最強の
プリキュア!」です。
ブロッサム、マリン、サンシャイン、ムーンライト、
4人のプリキュアが力を合わせ、渾身の「プリキュア
ハートキャッチオーケストラ」が炸裂する。ハートは
確かにデューンの胸を撃ち抜いたかに思われた。
だが、その存在は浄化されていなかった。ゆっくり
と身構えるデューンの口から、言葉がこぼれる。
「この程度では僕は倒せない、僕の憎しみは消えない」
と。
50年前に一度キュアフラワーと戦い、今また
地球へ、惑星城とともに攻めてきたデューン。
この人はどうして「こころの大樹」にこだわり、
世界を砂漠にするなんていう激しい思いに駆られる
ようになったのでしょう。
第48話でブロッサムの懸命な呼びかけで我に
返ったムーンライトは、「私達は愛で戦いましょう」
と言いました。その通りに、ブロッサム達は愛を
込めた技、「ハートキャッチオーケストラ」を
繰り出します。
ですがデューンは、持ちこたえます。それだけ
この人の抱えてきた憎しみや悲しみが強かった、
と言えたりもするのでしょう。
デューンが、これまでどうやって生きてきたかは
作中ではあまり語られていないですね。花の咲かない
不毛の宇宙を、長い間旅してきたのでしょうか。
その間たくさんの人達に出会い、いろいろな出来事
があったのかもしれません。
「憎しみ」が消えない、と言うほどですから、とても
つらい経験もたくさんしたのでしょう。それがだんだん
積み重なっていって、最後に「砂漠の王」が誕生した、
とも感じられます。
つぼみ達には、デューンの経験を一つ一つすべて
理解しろと言ってもとても無理な事なのでしょう。
それにたとえ全部知り尽くしたとしても、それで
デューンの過去が変わるわけではなさそうです。
でもだからといって、デューンのする事が正しい
とは言えないはず。憎しみはどこかで断ち切ら
なければ、、、という所に、プリキュア達の力が
重なって立ち向かっていくのですね。
ブロッサム達の力が高まり、「宇宙に咲く大輪の花」
に、、、。彼女達の新しい「シルエット」が生まれて
いますね。ここで解き放たれる技にも、大きな愛が
込められているようです。、、、過去の悲しみは
消せなくても、憎しみを抱く理由を知り尽くす事が
できなくても、愛はある。この優しくて強い思いで、
悲しみを包み込み癒す事はできるのでは、と感じられ
ます。
「食らえ、この愛」っていうせりふも、言い方が
何かかっこいいですね。技の決まり方もとても
穏やかで、戦いだと言ってもそこには優しさが
あふれているようです。(でも技の名前が、、、
それって普通のパンチなのでは? と思って
しまいました。)
その後、少し時間がたった頃の希望ヶ花市の
様子が描かれていきます。丘や公園、河川敷、それに
植物園。どの場所も、「砂漠の使徒」達との戦いの
舞台であり、また街の人達が胸に希望を取り戻した
場所でもあります。こうして改めて見ると、つぼみ
達も懐かしさを感じるのではないでしょうか。
制服を夏服に替えたつぼみとえりかは一緒に
歩いています。が、えりかが少し茶化すような
事を言って、つぼみはちょっと怒ってしまって
いますね。これって、オープニングでずっと
使われてきた映像の中にある場面と同じですね。
服装は替わっていますけれど、彼女達の仲の良さ
と絆はずっと変わっていない、という意味なの
かもしれません。
いつきは少しイメチェンしているようです。
明堂院流の跡を継ぐために男のように振る舞う
必要がなくなったいつきは、自分で作った鎖から
自分を解き放つ事ができたみたいです。女子の
制服に袖を通し、髪も伸ばして、、、やっと本当の
自分を皆の前でも出せるようになったのでは。
相変わらず「僕」と言ってはいますけれど、それは
彼女自身がチャームポイントとしてキープしてるの
かも(サンシャインに変身している時は「私」と
言っていますし)。
ゆりは、大きく変わっているわけではなさそう
ですね。でも以前あった冷たさのようなものは
薄まって、穏やかな雰囲気が感じられます。
確かに4人は、「すごい事」をしたのでしょう。
えりかが鼻息を荒くして誇らしげにするのも無理は
なさそうです。それに一時期はつぼみといつきも
つられて胸を張っていたっぽいですね。「無限の○○」
なんてつい言ってしまうのは、やはり「中2」だから?
でも3人がそろって威張っていた時に、一応
ゆりも隣にいたように描かれています。顔までは
映っていないのでよくわかりませんけれど、
実は彼女もつぼみ達と同じ格好をしてたりしたら
ちょっと面白そうです。
(そういえばゆりだけは17歳なのですよね。
プリキュアのシリーズでは、高校生プリキュア
ってたぶん初めてなのでは。(そう考えれば
キュアフラワーも新しいタイプかも?))
戦いの最中、4人は相手の強大さに体が動かなく
なりそうになっていました。そんな時声をだしたのは、
マリンでした。「笑っちゃうよね」という軽々しい
口の利き方をしたのはわざとだったのでしょう。
自分達が今からしようとしているのがどんなに
困難な事かわかった上で、軽くあしらうように
言う事で、他の3人の気持ちは一気に軽くなった
ように思えます。
このせりふを言った時のマリンの声が、少し
震えていたように感じました。実は彼女自身は
本当に怖かったのかもしれません。でも空威張り
でも空元気でも、とにかく言っておかなきゃ、
と考えて、マリンは奮起したのでは。
もう一つ、その後の場面で、ブロッサムが
ムーンライトに謝っている所がありました。これは
前回ムーンライトに対して自分が言った事を反省
したものだったようです。
やっと再会できた親の変わってしまった姿や、
親に最後まで抱きしめてもらえなかった事など、
ムーンライトの悲しみは大きかったでしょう。
そんな状態の彼女に強い言い方をしてしまった事を、
彼女はちゃんと自覚していたみたいです。
そこまでわかっていれば、ムーンライトは何も
言う事はないでしょう。それに彼女の方も、
ブロッサムが本気で自分を助けようとしてくれて
いた事を理解しているのでは。
こんな風に、4人は、一緒に戦う内に、揺るぎ
ない絆を手に入れたと言えそうです。平和に
なった世界でも、その関係は変わる事なく続いて
いくのでしょうね。
という感じなのですが、百合的にはあまり
度合いが高くなっていない感じがしちゃいますね。
特につぼみとえりか、、、。2人は第1話の出会い
から印象的で、第4話では2人だけでプリキュア
解散の危機を乗り越えて強く結ばれたはずですし。
あの時のえりかのせりふ、「つぼみでいい、、、
ううん、つぼみがいい!」は、プリキュアをやる
としても他の誰かじゃ嫌、という意味でしょうから、
その原点へ、この第49話でも立ち返ってもらい
たかったようにも思います。
例えば、後半の場面では、最初に4人一緒にいて、
そこからゆりやいつきがいったん離れていき、
つぼみとえりかだけになって2人で今までの
思い出を話し合う、とか。そして最後にまた4人が
集まれば、このシリーズでのプリキュア達の成り立ち
みたいなものを描けるようにも思うのですけれど
、、、まあ演出はいろいろあるのでしょう。
考えてみると、このシリーズでは割と百合な
雰囲気があちこちにありましたね。つぼみとえりかが
2人で戦っていた頃は彼女達の仲は何だかいい感じ
でした。
また、転校してきたつぼみがいつきを女の子
だとは気づかず惚れてしまう辺りも。その後真実を
聞かされてつぼみは目が覚めたっぽかったのですが、
それでも麗しいいつきの仕草をみるたびに、頬を
赤くして、何度も惚れ直している感じです。
いつきといえば、なおみもいつきには、友情以上の
感情を持っているように思えます。第26話では
彼女は、いつきと友達になりたいのにうまく声を
かけられないと悩んでいました。でもいつきを前に
した彼女の表情からは、ほとんど恋愛感情しか
見えない気もします。
それから中学生ばかりでなく高校生の方でも、
ゆりとももかの関係も良いですね。ももかは、
ゆりが何かトラブルを抱えていると察してはいる
みたいです。でも無理に踏み込む事はせず、
ただ隣にいて一緒に時間を過ごしていました。
カリスマ読モのももかとしては本当は忙しいの
でしょうけれど、ゆりの隣にいるひとときは
何物にも代えられない貴重な瞬間なのでしょうね。
後は、第4話に出ていたテニス部員でダブルスを
組んでいるまおとあゆみとか。まおは、テニスで
あゆみの足を引っ張っているのではと悩むあまり
「こころの花」をしおれさせそうになってしまって
いました。が、プリキュアの助けもあり、2人の
関係はうまくいったようで、最後の場面で夕日が
差す中、寄り添う2人のシルエットが印象的でした。
惑星城からの攻撃で地球が砂漠化した時は、
まおだけが無事だったみたいです。たぶんあの時
あゆみはクリスタル化されていたと思われます
けれど、地球が元通りになった後、ちゃんと再会
できてそれまで以上に仲良くしている姿とかを
見てみたかったかもです。
未来に向けては、、、ふたばが活躍しそうな予感?
「妹」として、つぼみや、それにえりかからもとても
かわいがってもらえそうです。それに、未来の
プリキュアとしても、新しい物語を紡いでくれるかも
しれませんね。
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