つぼみ Vol.9 その２

　「prism」と「むすんでひらいて」は新連載、という
形になるでしょうか。どちらの作品も、主人公達は
お互いの気持ちを意識するようになるみたいですが、
その後はどうつながっていくのでしょうね。他の
連載作品では、エピソードがもっと続いていきそうな
雰囲気が多い感じです。

　発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.9を見てみました。以前に別の記事でも書いて
いますので、よろしければそちらも見てみてください。

・つぼみ Vol.9

　では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。

（・作品名（作者名（敬称略）））

・prism #1（東山翔）
　小学生の時の恋が忘れられず、中学時代を無為に
過ごしてしまった恵も、今日からは高校生。気持ちを
切り替え、仲良しの友達グループと新生活に乗り出す。
その朝、校門の前で、彼女は１人の美少女を見かけた。
　何でもできちゃう光は、自分の気持ちを抑える事も
できるような気がします。ずっと男の子だと思ってた、
と恵に言われて軽く受け流す彼女は、最初のハグ以外、
（その後のじゃれ合いも含めて）ずっと我慢をしていたの
では、と思えます。もしそうなら、恵にはその時の
光の心情にも気づいてあげてもらいたいですね。
　くっきりした輪郭の絵柄で、恵達のくるくる変わる
豊かな表情が描かれていくのが何か素敵ですね。
「#1」とあるのでこの後も作品は続いていくと思われ
ます。そこではどうなっていくのでしょうね。まだ
恵と光の間でいろいろ起きるのか、それとも英梨香や
実希が主人公になったりするのでしょうか。

・むすんでひらいて その１！（イコール）
　昼休み、教室で机を並べてお弁当を食べる、とも、
のどちゃん、ももみ、いちか。いちかの好みに合わせた
献立を用意したももみはいちかにほめてもらいたがって
いたが、代わりにももみはいちかにキスをした。
　人がたくさんいる教室で女の子同士が口でキスしても
引かれない学校って、百合的には素敵な空間ですね。
例えば男女で同じ事をしたとしても後が大変そうです
けど、ここではうらやましがられるぐらいみたいです。
それでもともとのキスをためらうのどちゃんの本当の
気持ちは、、、このちょっと大人な展開も良いですね。

・ロンリーウルフ・ロンリーシープ 第２話（水谷フーカ）
　病院で偶然出会った、同じ名前で誕生日も１日違い
の２人、垣本伊万里（かきもといまり）。どちらも
恥ずかしがってメール交換ぐらいしかできなかった
が、今日はやっと、一緒に昼食をとる事になった。
　第１話では、切れかけたお互いのつながりを

つかみ取った彼女達ですが、同時に自分が相手と
釣り合う価値がないとも思っているみたいです。
ここでは「小さい伊万里」の悩みが明かされましたが、
「大きい伊万里」の方にも胸につかえているものがある
ようです。彼女の普段の様子からは引け目とかは感じ
ないのですけれど、何か過去があるのかもですね。
　ところで、同姓同名の２人がどう呼ばれるか気に
なっていたのですけど、「大きい」、「小さい」で
決まりになりそうでしょうか。まあ少なくとも
彼女達がお互いを呼ぶ場合は呼び分ける必要はないと
思われますので、周りがどう判断するか、なの
でしょうね。たぶんこれから彼女達が一緒にいる
場面はどんどん増えていくでしょうから、２人の
伊万里の存在は皆に親しまれていくのではないで
しょうか。

・無限遠点（関谷あさみ）
　敦子は、仕事先の店長の男性から相談を受けて
いた。交際中の彼女が浮気をしていたらしい。
しかも相手は女性なのだという。敦子の脳裏に、
学生時代の思い出がよぎった。
　敦子と京子、紫（ゆかり）と菜純（なずみ）、、、
Vol.2に掲載された「∞遠点」から描かれている
世界観の中で、キャラ達がつながり始めた感じが
しますね。敦子が京子に恋愛感情を持つのかどうか
はわかりませんけれど、もしそうなるなら、百合な
上に姉妹ですから、壁も高そうな気がします。

・キャンディ 第３話（鈴木有布子）
　別所千秋とつきあい始めた宮本可南は、人前でも
かまわず彼女を抱きしめ、そばにいればちょっかい
を出して反応を楽しんでいた。そんな２人が、
校内で噂の的になるのは簡単な事だった。
　それまで女子から憧れられ続け、嫌というほど噂
されてきたと思われる可南ですが、皆の前で堂々と
いちゃついてる所を見ると、千秋の存在は他のどの
女子とも違っていたのでしょう。ラブラブを
見せつけすぎるのはちょっと問題かもですけど、
彼女達はこれからどうしたらいいんでしょうね。

・「つぼみ」レビューリスト、レビューセンター