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2011年1月 5日 (水)

まんがの作り方 第3巻

 表紙の雰囲気や帯の文句などからは、何となく
2人の間の距離みたいなものも感じられる気が
しますね。川口と森下は、本当はお互いを
どう感じているのか、自分でも気づかずに
いた部分を、彼女達は意識するようになるの
かもしれません。

 発行徳間書店コミックリュウに連載中の、
平尾アウリさん作「まんがの作り方」第3巻
です。って既に第4巻が発売されてしまって
いるため、簡単に触れておこうかと。(というのは
第2巻の時も書いたような。)
 ストーリーは、、、川口の家に外出から戻って
きた川口と森下は、寒い中、玄関口に武田が
座り込んでいるのを見つける。川口は経緯を
知らずなかったのだが、原稿が遅れている
彼女ために、編集部の要望で武田が遣わされた
らしい。その武田が待っている間に、川口と
森下は映画を見に行っていたのだった。

 川口と森下の関係は、この所特に外から邪魔も
入っていないようです(政人の存在は、、、2人
にとってはあまり危険に思われていないらしい
ですね)。編集部としても、女流漫画家2人の
間で親しいおつきあいがあったとしても、別に
とやかく言ったりはしないでしょう。問題は
原稿がちゃんと上がるかどうか、なのですよね。
川口との仕事が続いている編集部は、彼女の
作業のスタイルが何となくわかっているようで、
締め切りに間に合わせるために、一度アシを
やった事のある武田を送り込んだようです。

 果たしてその時の川口がどんな状況だったか
というと、、、予想は当たっていたみたいですね。
帰ってきた川口が、質問する武田に答えたのは
カタカナたった3文字です。けど、それだけで、
川口と森下がどんな雰囲気で何をしていたのかが
もう手に取るようにわかる気がします。こういう
ちょっとした受け答えでも笑える部分はあるの
ではないでしょうか。

 もっとも、武田としてはとても面白くない
ようです。寒い中待たされたとか、帰ってきた
川口が森下と一緒にいて嬉しそうにしている
とかいうのもあるかもしれません。が、それ
以上に、原稿を描く気がなかなかわいてこない
(前回よりもさらにやる気が下がっているように
さえ見える)川口が、プロとしてデビューしていて、
しかも連載まで持っている事に、何となく腹が
立っているようです。
 13歳で一度漫画家デビューしている川口と、
(まだ学生ではありますが)原稿を描き続けても
なかなか取り上げてもらえない武田との間には、
意識の差みたいなものがあるのかもですね。
お互いをもっと理解するように努力したら、とも
思うのですが、まあそう簡単にはいかないの
でしょうか。

 途中で、さちの事が話題になるエピソードが
あります。武田は以前、さちのファンだと言って
いましたが、そこがもう少し詳しく語られて
いますね。
 武田は、さちの作品の一部だけを評価している
ようです。けれどそれ以外はというと、価値が
ないとさえ思っているようです。この時の言葉は、
森下(=さち)には影響が大きかったようです。
前にも、ネットでの評判を気にしすぎて一喜一憂
するほどだった彼女ですから、(武田が森下の
ペンネームを知らなかったとはいえ)目の前で
あれだけ言われてはやはりショックは大きそう
です。

 けれど、森下のファンは武田だけではありません。
川口だって、森下の作品の大ファンなのですよね。
 川口も、最初は森下がさちだとは知りません
でした。が、流行の漫画をわざと見ないよう
にしていた彼女が唯一読んでいたのは、さちの
作品でした。
 武田とは違って、川口はさちの作品のすべてが
好みのようです。こんな風に良い評価をしてくれる
人がすぐそばにいるのは、森下にとっては嬉しい
事なのではないでしょうか。

 とはいいつつも、森下はまだ武田と親しく
なりたいと思っているようです。漫画の事を
気兼ねなく話せる同年代の友達があまりいない、
というのが理由のようです。それなら川口と
語り合ったら良いのでは、とも思うのですが、
彼女の中では、愛しい人との語り合いと、友達
とのおしゃべりはまた別格らしいですね。
 人となれ合いになるのを嫌がる所のある武田と、
森下は友達になれるのでしょうか。みたいな部分は、
どうやら第4巻に描かれていくようです。

 この第3巻では、第2巻までの構成とはちょっと
別になっている部分がある気がします。以前は、
1話ごとに異なる日付でストーリーが展開していた
ように思いますが、第3巻では、前回から時間
的につながっている描かれ方が多くなっている
感じですね。
 考えてみると、第1巻では学生だった森下が、
今は卒業して就職していますし、川口も20歳に
なりました。これぐらいの年齢の時間は、2人の
交際の中ではとても重要だと思いますし、こういう
風にゆっくりと丁寧に描いていってもらえると
ありがたいかもです。

 そうやってゆっくり描かれていく川口と森下の
関係は、これまでにない危機に出会っている
ようです。川口が森下とのおつきあいを考え直し
始めているみたいです。川口としてはちょっと
立ち止まって整理したい、とも考えていたの
かもしれませんけれど、これは森下にとっては
とてもつらい事なのではないでしょうか。
 とにかく一緒にいたい、苦労する事があっても
(主に川口の締め切りで)、2人でするなら全然
苦しくなんかない、と森下は感じているようです。
ほとんど初めての恋愛感情を、女性同士の関係の
中に見つけてしまった彼女ならなおさら、恋愛は
理屈じゃないんですよね。

 川口に一度告白して、それを拒まれた森下には、
自分の気持ちを否定される場面が、昔起きた事実
として記憶されています。その後(漫画のネタに
できるかもという川口の下心もあったのですが)
思いがけず気持ちを受け入れてもらえた森下は、
もう二度と川口から離れたくないと考えたのでは、
という気がします。どうしたらいいのかはよく
わからないけれど、とにかく一緒にいて、愛の
言葉を紡いで、この恋を確かなものにしたいと
思ったのかな、と感じました。

 この第3巻の表紙のイラストや帯、それにカラー
の口絵からは、この巻での2人の距離感や森下の
心情がうかがえるようです。特に口絵では、
大雪なのか真っ白になってしまった視界の中に、
赤い振り袖を着た森下が、呆然とした表情で
立ち尽くしています。ちょっと演歌な感じも
しますけれど、二度も川口から突き放されて
しまったような状態の森下の胸の中は、こんな
凍えるような気持ちでいっぱいだったのかも
です。

 なのでこの状況は、森下には大変な事態だったと
思われます。それにいつは川口にとっても危ない
所だったのかなとも思えます。
 川口は、冒頭のエピソードでは、森下と自分が
恋人同士のように見えると武田から指摘された
時に、とても驚いていました。あれだけいろいろ
つきあっておいて恋愛を意識していない、というか
自覚していないのだとすると、事実とのギャップに
後々苦しむ事になるのではないかという気も
します。まあそこは、2人でうまく乗り切って
もらいたい所ですね。

 それにしても川口は、武田の言う事を鵜呑みに
しすぎのような気もします、、、。武田は、本人
自身が言っているように、人とのふれあいが
嫌いで、どうもこれまで恋と呼べるようなものを
した事がないらしいです。それでかまわないと
考えている武田からの、恋愛に関するアドバイス
が、役に立つとはちょっと思えないのですけれど、
川口は従ってしまっていますね。
 武田の気迫に押されたのか、それとも女性同士の
恋愛に自信がなかったからなのか(川口は以前男性
との恋愛経験はあるようです)、その辺りはよく
わかりません。でもこれから森下との百合な
恋愛を貫いていこうとするなら、周囲の言葉に
惑わされすぎないようにきちんと自分を持って
いかなきゃなのかもです。

 途中に、川口と森下が旅行をするエピソードが
ありました。仕事の関係でどたばたしてしまうの
ですが、一応2人で目的の場所には行けたみたい
です。ホテルに泊まる彼女達は、当然のように
同じ部屋に入るわけですが、、、あまり色っぽい
感じにはなっていないですね。
 仕事に追われてそれどころではなかった、とも
言えそうです。けれど2人は明らかに、小旅行
を計画する友達同士、というのとは違う関係の
はず、ですよね。この時は何かを考える暇も
なかったかもしれません。が、次の機会が
あったら、恋人としてお互いを意識してしまう
彼女達の姿などが描かれると面白いかもですね。

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