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2011年1月13日 (木)

コミックス「Candy boy」 第2巻

 2人がいつも一緒にいられるように、、、その
願いは奏も雪乃も同じですが、立場の微妙な
違いが、彼女達の間に距離を作ってしまう
みたいです。進路という現実を前にして、2人は
どうするのでしょうね。
 そして咲夜が主人公のモバイル版の方も、
百合度がアップしていて良い雰囲気です。

 ネットで無料配信されていたアニメ「Candy boy
は、峠比呂さんの作画によるコミックス版が
メディアファクトリーより発行されています。
その第2巻を見てみました。
 冬休みに北海道へ帰省した奏と雪乃だったが、
両親は横浜のおじの見舞いに行ってしまって
いて、雫だけが留守番をしていた。仕方なく
3人で年越しの準備を始めるものの、慣れない
ためか要領を得ず、雪の中の買い出しに苦労
するのだった。

 前半の、コミックフラッパーに連載されて
いたストーリーは、奏と雪乃と雫の年越し
エピソードから始まっています。アニメ版
ではここに咲夜も参加(乱入?)していました
けれど、こちらではちょっと別になって
いますね。(彼女がどうしていたかは後で
わかります。)

 年越しそばを食べて、紅白歌合戦を見て、
初詣をして、、、両親は用事があってここには
いませんでしたけど、姉妹3人で以前と同じ
ような年末年始を過ごしていたようです。
奏と雪乃は春から高3になりますし、気持ちも
新たに、という所なのかもですね。

 ですが、現実的にはなかなか簡単にはいかない
みたいです。奏が将来の自分の生き方をきちんと
頭に描いているかどうかはわかりませんけれど、
美術の道を進むつもりで上京しているのですよね。
彼女に飛び抜けた才能があってもなくても、
勉強を続けるには気持ち以外のものも必要
らしいです。

 その問題に直面した時、奏と雪乃がそれぞれ
どうするのかが描かれていきます。普段なら、
寮も同じ部屋ですし、2人で同じ答えを出し
一緒に行動していく場面でしょうけれど、ここ
ではそうでもないみたいです。
 奏の悩みは大きいですが、雪乃の方も実は
深く考えさせられる部分があったのでしょうね。
高校進学の時、自分に生かせる才能があるか
どうかはわからず、とにかく奏と一緒にいたい、
という思いだけで雪乃は上京してきた、とも
考えられます。親に学費や生活費の面倒を
見てもらってまで自分が今ここにいる意義は、
奏しかない、、、そう思ってしまうと、雪乃は
どうしても何かせずにはいられなかったのかも
です。

 同じ日に同じ家に生まれ、それからずっと
一緒にいて、これからも変わらずに寄り添う
つもりでいる双子の姉妹でも、微妙な立場の
違いが、だんだんすれ違いを大きくさせている
ようです。それに、高2の彼女達には、どんなに
力を振り絞ってもどうにもならない事もある
みたいです。

 いつものラブラブさえ見せられなくなって
いく奏と雪乃。でも2人の周りには、彼女達を
心配してくれる人がちゃんといますね。
 ゆりっぺは、奏をどやしつけるぐらいの勢い
ですが、それでも本当に親身になって奏の
相談に乗っていますね。それに咲夜も、雫
だっていつでも2人の味方です。これだけの
人が手を差し伸べてくれるなら、ちょっとした
問題なら解決できてしまうのでは。

 それでも、奏と雪乃は、彼女達に甘えすぎる
事はないみたいですね。一番大事な事は、ちゃんと
2人で決めて、自分達で何とかできるように考えて
いるようです。
 これからも、2人は一緒に暮らしていくつもり
なのでしょう。2人が大人になり、何でも自分達
の責任でやっていかなければならなくなった時に、
困ったりしないよう、今から練習している、とも
言えそうですね。

 このストーリーの中でちょっと気になったのは、
雫の気持ち、のように思います。年が明けて
また東京へと旅立つ奏と雪乃を見送る彼女は、
明るく振る舞っている感じです。
 アニメ版では、第3話第4話で、雫は東京
という遠い場所へ行ってしまった姉達に自分の
思いをぶつけています。自分だって同じ櫻井家の
3姉妹の1人なのに自分だけ一緒にいられない
というのはやはり寂しいのでしょうね。
 コミックスでは雫の心情はあまり扱われないの
かな、と思っていたのですけれど、そうでは
なかったようです。巻末の描き下ろしepisode:5.5で
彼女の気持ちが語られています。雫本人としては、
姉達には言うつもりもないし、誰にも尋ねられない
から自分の胸にしまっておこう、みたいに考えて
いた思いだったかもしれません。でもここで誰かに
聞いてもらえたのは、とても良かったのでは、という
気がします。

 素晴らしい家族や友達、後輩に恵まれて、
奏と雪乃は力強く歩き出していけるのでしょうね。
その2人がepisode:11で見せていた2人のラブラブ
ぶりは、ビジュアル的にもなかなか素敵な感じ
です。

 さて後半は、携帯サイトのモバイルフラッパーに
掲載されていたストーリー、「Candy boy~Young girls
fall in love~」が収録されています。第1巻では
それほど百合度は高くない雰囲気でしたけれど、
第2巻ではかなり盛り上がってきているようですね。
 ストーリーとしては、奏と雪乃と雫が北海道の
家で年越しをしようとしている頃、同じく北海道に
やって来た咲夜、一茶子、眞澄、エリが途方に暮れて
いる場面から始まります。咲夜が、奏と一緒にいたい
ばかりに、計画も立てずに北海道へ来てしまった
らしいです。

 ではなぜ一茶子達が咲夜についてきたのか、といった
辺りで、一茶子は眞澄にからかわれていますね。でも
そんなに外していないみたいです。
 ですがそれよりさらに百合な場面を見せていたのは、
眞澄とエリですね。彼女達って、これまでは咲夜や
一茶子の猛烈さを生暖かく見守りながら時々ツッコミ
を入れる、といった位置づけとも感じられましたが、
彼女達自身にも、女の子を愛する気持ちはある
ようです。

 思い出してみると、これまでの作中で、眞澄とエリ
が登場する場面って、いつも咲夜や一茶子が一緒に
いたような気がします。でもそういう時は、
眞澄とエリのある一面しか表れていなかったの
ですね。2人になれば、、、彼女達の関係ももっと
見てみたかったかもです。

 さらに、一茶子の家の秘密も明らかになって
いってますね。なぜ言葉遣いが丁寧なのか、
家が貧乏なのはどうしてか、という所にも彼女の
家族なりの理由があったようです。
 が、彼女は、その事をこれまで咲夜達には伝えて
こなかったみたいです。それにこのエピソードの
中でも何だか隠し通そうとしているようです。
 もしかしたらこれは、友達に余計な心配を
かけたくないという彼女なりのけじめ、みたいな
ものなのかもしれません。本当はそこで悩まずに、
自分の本当の姿を見せたってかまわないのでは、
とも思うのですけれど、こればかりは一茶子
本人が決める事なのでしょう。
 彼女って、普段の行動が派手なために見えづらく
なっているようですけれど、実はけっこう真面目な
性格みたいですよね。こうしなければならない、
と一度決めたらなかなか変えようとはしないの
かもです。今までそうやって自分と親との小さな
家庭を支えてきたのではないでしょうか。

 一茶子は、そのルールを、自分の愛情にも
当てはめていたようです。それは、今の学校に
入学する前に見つけた、かわいらしい1人の女の子
に抱いた感情、、、。
 もし恋してしまったのなら、女の子同士だなんて
気にしないでいつもの調子でアタックしても
良かったのでは、と思ったりもするのですけど、
やはり彼女はそうはしなかったらしく。何かが
あって、一茶子は自分を抑えた、とかなのかもです。
(ところで最後の方の場面で、一茶子が写真を
置いた場所の周りには、奏の写真も何枚か
飾られていました。一茶子って、ポーズとか
ではなく本当に奏のおっかけをしていた、のかな?
だとしたら彼女が本当に愛しているのは誰なの
でしょう、、、。というかその辺りをきっぱり
決めつけないのは、揺れる乙女心なのかも?)

 そんな事情が見えてきた咲夜は果たしてどう
するのでしょう、、、。その辺りがクライマックスに
なってきますね。
 咲夜が一茶子にした事は、一茶子にはちょっと
複雑な気持ちを呼び起こさせたような気がします。
相手が誰を愛しているのかはよく知っている。
その相手に自分の愛情を打ち明けてしまった。
その相手が精一杯の事を自分にしてくれた、、、。
 相手をこれまで以上に近くに感じる事ができた
一茶子は嬉しい気持ちになった、とも言える
でしょう。でも同時に、相手が本当に愛している
人が誰なのかを思い知らされた瞬間だったようにも
思います。
 もしかしたら、将来、相手が自分を振り向いて
くれる可能性もあるかもしれません。けれど
そうなったとしても、一茶子は相手の好意を
手放しで受け止められるのかどうか、ちょっと
わからないですね。またそうならなかった場合
でも、一茶子はここでの相手との出来事を、
美しい思い出として記憶にとどめていけるのか
どうか、ちょっと気になりました。

 一茶子と相手との間にある距離は、奏、雪乃姉妹
と雫との間にある距離と似ているようにも思えます。
どちらの組も、距離があるからと言って我慢を
しすぎないようにうまくやっていけると良さそう
です。

 この作品は、アニメではとてもラブラブな
奏と雪乃の姿をあちこちで見る事ができました。
コミックスではさらに登場人物も増えましたし、
1年生達のエピソードが描かれる事でいろいろな
角度から作品の世界観を楽しめたように思います。
 それに、ここでは、恋してる女の子達は、
気が引けたり後ろめたい気持ちになったりせず、
堂々と、爽やかに、女の子として女の子への愛情を
言葉に表しています。こういう雰囲気は百合的
にも素敵ですね。

 巻末に寄せられた、アニメ版の監督のほしかわ
たかふみさんのメッセージによると、この作品では
もっといろいろ表現してみたい事があるようです。
もしかしたらまた何かの形で奏や雪乃達のラブを
楽しめるかもしれませんね。

・「Candy boy」レビューリストレビューセンター

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コメント

こんなにしっかり読んで下さってありがとうございました。描き手としてこれほど嬉しいことはありません。僕もアニメが再開されることを願っております。

投稿: 峠比呂 | 2011年1月14日 (金) 13時13分

つたない文章を読んでいただきありがとう
ございます。気に入ったもの、気になったものが
あるとついあれこれ書いてしまうもので、、、。
アニメ、新作が作られると良いですね。
そして峠さんの新作(の百合作品w)を、
楽しみにしてます。

投稿: ギンガム | 2011年1月15日 (土) 21時05分

アニメ続き見たいです…!
そして同じく、峠比呂さんの(できれば百合な)新作、
読んでみたいです!
これからのご活躍にも瞠目してまいりますので…!

投稿: greenfiddler | 2011年1月29日 (土) 11時36分

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