コミック百合姫2011年1月号 その3
「猫目堂ココロ譚」や「飴色紅茶館歓談」など、
連載作品はやはり安定して百合を楽しめる感じ
です。その一方で、読み切り作品は新しい雰囲気
を醸し出していてこちらも楽しめる気がします。
読者コーナーもリニューアルされていますね。
この雰囲気をキープしてもらいたい感じも
ありますけれど、次はどうなるでしょうか。
発行一迅社、コミック百合姫2011年1月号を
見てみました。
カラーの特集では、モバイルサイト2種類が
紹介されています。本誌発行元の一迅社が運営
する「一迅社モバイル」と、以前百合姫SのVol.14
でも紹介された「百合くらぶ」ですね。「百合くらぶ」
では、イラストがたくさん使われたゲームや
ノベルなど、内容が充実しているようです。それと
「一迅社モバイル」は、コミックス全般を扱って
いますけれど、百合作品もけっこう掲載されている
みたいですよね。ここから単行本が発行される
場合もあります。
携帯サイトや電子書籍の百合についてはここでも
別の記事で少し書きました。百合はジャンルとしては
発展途中ですけれど、これから取り扱うサイトが
もっと増えていくと良いですね。そこでやはり
「百合姫ONLINE(仮)」には期待したい所です。
読者コーナーも新しくなっています。タイトル
は、「hime cafe」ですね。毎回編集部や掲載作家
の方が担当されながらお便りを紹介していく
スタイルになるらしいです。作家の方達から
テーマに沿ったコメントをもらったりもしている
ようです。第1回は森島明子さんとぱいんさんが
担当されています。
最初のページには、タイトルの上に「あつまれ、
百合ガール。」と書かれていて、そばには小さく
「百合ボーイでもいいよ♪」ともあります。女の子
だけでなく男の子も気兼ねなく投書してね、という
事なのかもです。
その後に続いているのは、新着情報を紹介する
「ヒメトピ」と、編集者の方達がお勧め百合作品を
紹介する「ヒメレコ」、あまり知られていない作品を
コミックや小説から見つけてくる「お宝百合作品」
などが掲載されています。こうしてみると、百合な
作品ってけっこうあるのですね。
本誌については、以前に別の記事でも書いて
いますので、よろしければそちらも見てみて
ください。
・コミック百合姫 2011年1月号
・コミック百合姫 2011年1月号 その2
では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。
(・作品名(作者名(敬称略)))
・おんなのからだ(紺野キタ)
ベッドでまどろむ澄水(すみ)を、香織(かおり)
が起こしに来る。澄水は香織を「お義姉さん」と
呼び、キスをせがんだ。
2人の出会いには澄水の兄と香織との結婚が
関わっているわけですが、2人ともその事実は
あまり考えたがっていない感じがしますね。でも
これからどうしていったらいいのかを考えると、
どちらも関係を深める事にためらいも感じている
ようで。彼女達の気持ちが重なっていると自覚
できるなら、先へ進む勇気もわくのかもです。
紺野さんは、百合姫の前身に当たる百合姉妹に
コミックを掲載されていました(この2作品は
「百合姫Selection」にも収録されています)。
こうして本誌で紺野さんの百合作品が見られるのは
素敵な気がします。
・恋愛遺伝子XX(影木栄貴原作、蔵王大志作画)
サクラが振り下ろした一太刀を、アオイは
かろうじて木刀で受ける。が、木刀は折れ、アオイ
は模擬刀を頭に当てて昏倒してしまった。
美しく、武術に優れ、でも不器用なサクラ。
エリカの婚約者でもある彼女は、アオイが付け狙う
「エトワール」のメンバーでもあります。アオイ
だって目的があって試合を始めたはずなのですが、
だんだんそれどころではなくなってきている
ようですね。彼女が進もうとしている道は、この
世界では険しいものなのかもしれません。
・紅色らせん~猫目堂ココロ譚~(東雲水生)
同じ島で育った蕗(ふき)と愛海(まなみ)は大の
仲良しだ。高校に進学して町の学校へ行く事に
憧れる愛海に比べて、蕗は気乗りがしなかった。
唇が「おりてくる」という表現が、何か詩的な感じ
ですね。晴れ渡った海をバックにした場面も
きらきらしていて印象的です。すぐに先へ進んで
いく愛海と、もたついてしまう蕗が気持ちを
合わせるには、きちんとお互いを見つめる事が
重要なのでしょう。そして、猫目堂の主人が、、、。
彼女の物語も少しずつ動き始めているようです。
・オセロ-前編-(乙ひより)
ざわめく大学のカフェで、未来(みく)は、
すみれから告白された。親友だと思っていた
相手からの意外な言葉に、未来は戸惑う。
無口で表情が読めなくても、話題は合う。
最初はそんな風に思いながら、未来はすみれとの
友達づきあいを始めたのでしょう。ですが相手の
告白はあまりに意外で。その後のすみれの反応も、
未来を困惑させるものだったようです。では
すみれの方はどうだったのでしょうね。いつ頃
から恋愛感情を意識し始めたのでしょうか。
読み終わってからタイトルを見返してちょっと
驚いたのですけど、これって「前編」だったの
ですね。となると次は「後編」なのかな?
「オセロ」というタイトルから考えると、黒ずくめ
のすみれに対応して今度は「白」がモチーフに
なったりするでしょうか。そこにすみれの心情が
描かれるなら、彼女の気持ちの動きを確かめる
事ができるのかもしれません。
・妄想HONEY(三国ハヂメ)
乃ノ花は落ち込んでいた。望に体を触れられても
いつもの反応がない。彼女のこの様子には、奏
との関係が影響しているらしかった。
「妄想」とは、根拠のない考えの事を示す
ようです。妄想しがちなののかは、現実的では
ない物事につい目が行ってしまうみたいです。
彼女の中で、現実的で頼れる存在と言えば、奏。
妄想なんてする余地もない彼女の事を考える時、
ののかはどういう結論に行き着くのでしょうね。
このエピソードの流れは何か良いかもです。
この作品の連載はここまでだそうです。1月には
単行本が発売されるそうです。
・レンアイ♥女子課 Vol.5 初めての“好き”?(森島明子)
姫乃アリスは、同じ課に務める白羽咲と恋仲に
なった。女性を愛したのは初めてだったが、
愛する気持ちには変わりはなかい。
咲と女性同士の恋愛を始めても、かっこいい
男がいたら振り向きもする。アリスの興味の範囲は
変わってしまったわけではないみたいです。じゃあ
女同士の恋愛は男女と全く同じなのかというと、、、
やっぱり違うのですよね。アリスはその点を体で
感じたようです。それに彼女は、愛する事について
かなりポジティブらしく、咲も心強いのでは。
・飴色紅茶館歓談(藤枝雅)
プレゼントの指輪を、芹穂はさらさの薬指に
はめてあげた。口をつぐみ呆然とするさらさを見て、
芹穂はおろおろし始めてしまう。
時々ですけど芹穂って大胆な事をしちゃうみたい
ですよね(紅茶館を始めた時もそんな感じなのかも)。
彼女的には偽りのないまっすぐな気持ちなのでしょう
けれど、突然言われた方は驚いてしまうのでしょう。
さらさも、心づもりはあったと思いますが、やはり
急すぎたのかも? とはいえ、ここはやはり周り
なんて気にせず盛り上がってもらいたかったような。
・きものなでしこ(八色)
あかねと莉子は今日も部活に出かける。2人が
作ったのは「和服部」だが、部活の届け出は出さず、
部室も空き部屋を勝手に使っていた。
第4回百合姫コミックス大賞で瑠璃賞を受賞した
作品です。4コマ漫画ですが、あまりオチはついて
いないような? それにしてもやはり着物は良い
ですね、、、。あかねと莉子は部員を集めようとは
考えているみたいですけれど、やっぱりちゃんと
部活として活動したい、のかな。2人きりでまったり
放課後を過ごす、という選択肢もある?
、、、といった所で、ページ数も増えて見応えのある
作品がたくさん掲載されています。ノベルも始まって
いますし、企画のページもこのペースで充実していく
でしょうか。
1月に発売予定の次号では、延期されていた伊藤計劃
(いとうけいかく)さん原作の「ハーモニー」が掲載
されるらしいです。が、コミック化の担当作家さんの
お名前はまだ紹介されていないようです。どなたに
なるのでしょうね。
それから、倉田嘘さんによる新連載も始まる予定
らしいです。タイトルは「百合男子」だとか。次号予告の
部分には、学校の制服を着た眼鏡男子が百合姫を
抱えている絵が描かれています。添えられている
文章の感じでは、百合作品に目覚めてしまった男子が
主人公になる? 、、、何というか個人的には、百合
作品を見ている人を見るよりは、百合作品そのものを
見ていたい気がしたりします。この作品はどういう
ストーリー展開になっていくのでしょうね。
後は、冬コミ79で「小百合姫」が発行されるかも
しれないという情報が掲載されていました。でも一緒に、
百合姫次号の進行もあるため本当に出るかどうかは
わからない、といった書き方もされています。確かに、
この前別の記事で調べた時には、一迅社の出展情報に
百合姫の名前はなかったようです。でもできたら
誌上販売などの形ででも販売してもらえると良さそう
ですね。
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コメント
あけましておめでとうございます。
飴色続いているんですね。良かった…
2巻の発売が待ち遠しいです。
な…指輪を…?
こればっかりは聞かなかったことにして
ネタバレしないで自分で読むのを待つことにします。
藤枝先生の作品はドラマCDも良い感じですね。
声優陣なんかかなり先生のご指名入ってんじゃないかって取り合わせで。
投稿: greenfiddler | 2011年1月 1日 (土) 22時34分
明けましたね!
飴色紅茶館は続いてます。さらさと芹穂の
関係は近づいてきていますけれど、結ばれる
にはもう少し何かが起きそうな気がします。
その辺りが物語になりそうです。
ドラマCDも良いですよね。藤枝さんは声優には
お詳しいようで、このキャスティングには
もしかしたらこだわりがありそうですね。
水樹奈々さんの、クールだけどきつすぎない
さらさとか、ゆかなさんの、大人ではあっても
ほわほわしている芹穂とか、ハマってる感じ
です。
投稿: ギンガム | 2011年1月 2日 (日) 22時06分
個人的にはこの2人に限っては、
もう少しヤキモキさせて欲しい感じです。
藤枝さんはじらし上手ですから…
話が通じますね(笑)
ちょっと声優さん自身のイメージにも通じるところがある気もします。
モブキャラですが、個人的には日乃夏とハルが結構好きで、
日乃夏のこやまきみこさんがヒットでした。
この2人の話ももっと見てみたいです。
投稿: greenfiddler | 2011年1月 3日 (月) 14時41分
確かにさらさと芹穂には、もっといろいろな
経験をしながら少しずつ愛を育てていって
もらいたい気がしますね。
2人の会話の甘さ加減をもっと見てみたい
かもです。
日乃夏とハル、いい感じですよね。うまい具合に
さらさと芹穂に茶々を入れつつ場を盛り上げて
いるように感じられます。
彼女達自身のエピソードも面白そうです。
投稿: ギンガム | 2011年1月 3日 (月) 22時38分