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2010年11月25日 (木)

映画「マリア様がみてる」

 何の変哲もない普通のリリアン生として学園
生活を送っていた祐巳。ですが突然、山百合会
という夢のような世界と、憧れの祥子のそばに
、、、。ストーリーとしては祐巳と祥子が少しずつ
近づいていく関係が描かれていくわけですが、
これが実写になっている事で、原作とはまた別の
しっとりした感じが出ている気がします。

 発行集英社コバルト文庫の、今野緒雪さん作、
ひびき玲音さんイラストによる「マリア様がみてる
は、実写による映画が公開されています。この作品を
見てみました。
 ストーリーは、、、改めて言うまでもないかも
ですが、幼稚舎からの一貫教育を実践するお嬢様
学校、私立リリアン女学園高等部1年の福沢祐巳
は、取り立てて目立つ所もない普通の女の子。
1人の先輩が1人の後輩を指導する「姉妹(スール)」
制度のあるこの学園で、祐巳はまだ姉を作って
いません。学園の生徒会に当たる「山百合会」の
メンバー、小笠原祥子に憧れるたくさんの女生徒の
1人だった彼女ですが、ある事をきっかけに事態が
大きく変わっていきます。

 小説が原作で、コミックドラマCDアニメ
などが作られています。他にも仮想空間に「薔薇の館」
が作られてバレンタインイベントが行われたり、
4thシーズンアニメの第1話を劇場で先行上映したり
(その時はアニメの立体バージョンも上映されて
いました)など、数多く展開していますね。実写
での映画化は初めて、という事になるでしょうか。

 実写版だとこれまでとはまた別の表現方法に
なるため、どういう雰囲気になっているのか興味
深い所でした。見た感じとしてはなかなか良かった
ような気がします。
 学園ものなので映像上の特別な仕掛けとかが
あまり必要ないというのも、すんなり見られる
特徴なのかもですね(リリアンという「お嬢様学校」
を映像化するには場所選びとかに苦労されたかも
しれません)。それと、原作小説のストーリーを
あまり変えずに映像に取り込んでいるのも、見やすさ
を高める工夫の一つとも考えられます。

 舞台となるリリアン女学園の建物は、シックな
造りになっていて落ち着いたたたずまいですね。
途中に祐巳が廊下を走る場面や、祐巳、由乃、志摩子が
ベンチに座って「マリアさまのこころ」に耳を傾けて
いる場面なども、由緒正しい歴史のある学園らしさ
を感じさせます。
 それから「薔薇の館」もかなり雰囲気が出ていますね。
さすがに間取りまでは違うみたいですけれど、
外から見た大きさや形がけっこう似ているような。
(原作にも出てくる)階段を上る時にギシギシ音が
する場面も、実写で見ると味わいがあります。

 そういった景色の中、祐巳役の未来穂香さんや
祥子役の波瑠さんが物語を重ねていきます。お2人
をはじめとして、メインのキャストは皆20歳以下
で(穂香さんは最年少で中学生だそうです)、学園の
他の生徒達も近い年齢の方が担当されているみたい
です。その関係もあるのか、例えば登下校の時に
あちらこちらから聞こえてくる「ごきげんよう」の
声が何だかはつらつとしている感じですね。リリアン
らしさからはちょっと離れるのかもしれません
けれど、高校生っぽい部分が表されているとも
考えられそうです。

 祐巳のナレーションで物語が進んでいく事も
あって、彼女の視点から見た山百合会のメンバーと、
そこに飛び込む事になった自分、といった構図が
展開されていくようです。祐巳の想像もしなかった
日々(エンディング曲のタイトルからすると
「Heavenly Days」なのかもしれません)が描かれて
いきます。
 「薔薇の館」へ通されて、祥子と思わぬ急接近を
したり、雲の上の存在のような薔薇様方と同じ
テーブルに着いたり、といった場面で、祐巳が
目を丸くしたり緊張したりする表情が割と出ていた
気がします。祥子の、負けず嫌いでちょっと子供
っぽい部分も表現されていました。

 それから3人の薔薇様方もけっこうハマっていた
感じですね。優しく包容力があるけれど手厳しい
指導もする蓉子とか、にこやかに微笑みながら常に
何か面白い事が起きないか探している江利子とか、
気さくな雰囲気でいつも冗談めかしているのに
どこか人と親しくなりたがらない聖とか。また
この3人をはじめ山百合会のメンバーが勢揃いした
薔薇の館の場面は、1人1人の個性が出ていて
登場人物の存在感を感じました。

 百合な表現も、大きく目立っているわけでは
ありませんけれど、割とポイントを押さえていた
ように思います。例えばビジュアル的には、
祐巳と祥子のピアノの連弾の場面で、祥子が
さりげなく祐巳の背中に手を添えていたりしてます。
それに温室の場面では、祐巳と祥子がたくさんの
薔薇の花びらに囲まれた絵作りになっていて、
これも一つの見せ場なのではないでしょうか。

 もうちょっと直接的なふれあいでは、聖が
祐巳に抱きつく場面が描かれています。しかも
2回も。聖に抱きすくめられて体を硬くしている
祐巳、という構図が見られます。
 また、シンデレラの衣装合わせの時に、祐巳が
薔薇様方3人に囲まれて胸を触られまくる場面も
ありました。祐巳は困っていましたが、聖達は
けっこう喜んでやってる感じですね。

 後は、舞踏会の場面の練習で、ダンス部と一緒に
踊る所とかも何かいい雰囲気ですね。リリアンの
学生達による劇なので、当然ながら男役も女役も
女生徒が担当します。あの濃い緑に白いカラーが
映えるセーラー服を着た何組もの女の子達が、
リズムに合わせて清らかなダンスを見せているのは、
リリアンらしいというかなかなかのビジュアルの
ような気がします。(なお、この場面からのスチルと
思われる写真が、今の公式サイトにある「公開劇場」の
ページの背景に使われています。他のページでも
作品からの場面写真が使われていますので参考に
なるのでは。)

 そんな麗しい光景を部屋の隅の方から眺めながら
萎縮していた祐巳ですが、突然聖に引っ張られて
練習をする事に。慣れなくて足下がおぼつかないのに、
彼女はつい祥子のダンスする姿に目が行ってしまい
ます。部活でダンスの心得のある部員達よりも、
彼女の目には断然、祥子の美しい姿勢や身のこなしが
気になったのでしょうね。

 そして祐巳と祥子、2人がダンスをする場面も
登場します。まだ慣れない時は、祐巳は相手の足を
踏んだりしないようにぴょんぴょんはねたり腰が
引けたりしていました。でも志摩子や由乃に
手伝ってもらい一生懸命練習して上達していきます。
後半、2人きりで踊る所とかは息も合っていて
良かったように思います。

 2人といえば、学園祭が終わった後の最後の
場面も、彼女達の親密さが見えるようでした。少し
原作とは違うアレンジがされていたようですけれど、
それも映画としてはあり得るやり方なのかも、と
思えます。

 、、、といった感じで、原作小説と実写映画とでは
異なる部分もあるかもしれませんけれど、個人的には
割と楽しめました。せりふの緩急をつけるとか
もう少し身のこなしを柔らかくしたりするとより良い
ようにも思いますけど、まあそれは細かい事なのかも
ですね。

 マリみても実写映画化までされました。次は、、、
舞台やテレビドラマに進出、とか? この作品の
持つ百合な雰囲気がより広まっていくと、百合の
ジャンルも展開しやすいかもですね。(ちなみに私の
見た回ではけっこう観客の人達がたくさん入って
いました。)後はそういえばゲーム化とかもされて
いないですよね。新しい展開が続くのを期待したい
ですね。

 それと、百合な実写作品ももっと増えてもらいたい
かもですね、、、。女性同士の恋愛について深く描く
作品もこれまでにはいろいろあったように思います。
そこからさらに、この作品のようなライトな(というの
でしょうか)百合テイストを持った映像ももっと
たくさん見てみたい気がします。まあそれがどうなるかは、
これからの百合ジャンルの発展とも関係があるのかも
しれませんね。

・「マリア様がみてる」レビューリストレビューセンター

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