探偵オペラ ミルキィホームズ 第４話

　結果として「バリツの秘密」はわかったのかというと、
やはり謎のようですね。それよりも何か息もつかせぬ
急展開がいっぱいだったような。というか理解の
範囲を超えていたようにも思えます、、、。これが
この作品の特徴なのかも？　そして同じように、
百合なエピソードも突然登場していました。これから
彼女達は発展していく？

　アニメ「探偵オペラ ミルキィホームズ」、第４話
「バリツの秘密」です。
　ミルキィホームズ達をからかっていた事がばれて、
小衣（こころ）は彼女達と同じツイスターの罰ゲーム
をさせられていた。自業自得と冷ややかな目で
見守っている平乃と次子の所へ、咲がやって来る。
事件発生だ。ホームズ探偵学院の裏に広がるヨコハマ
大樹海で、アイリーンという名の少女が行方不明に
なったのだという。小衣達Ｇ４は早速出動し、
シャロ達も後を追う。が、捜査の邪魔だと言われ、
４人とも太い木に縄でくくりつけられてしまった。

　前回第３話で、シャロ達は、トイズが戻るかも
しれないと小衣にそそのかされて恥ずかしい事を
させられてしまいました（ここは百合なビジュアル
にもなっていましたね）。それがこのエピソード
では立場が逆転、仕返しとばかりに今度は小衣が
無理なポーズをとらされています。
　こういった場面を見ていると、ミルキィホームズ
とＧ４の力関係がちょっと謎に思えてきますね。
シャロ達にトイズがあった頃は、ミルキィホームズ
は次々にお手柄を立てて、Ｇ４、というか特に
小衣は苦い思いをしていたようです。
　それが第１話でトイズが失われて以来、小衣は
今までの屈辱を返すつもりでかなり強く当たって
いるみたいですね。確かにトイズのないシャロ達は
失敗続きで捜査の役には立たないほどになって
いるようです。
　ですがその割には、冒頭の場面のように小衣が
痛い目を見ていたりするのですよね。彼女達の間には、
トイズや捜査能力などとは別のバランスがあるの
かも？

　という事を考えていたりもしたのですけれど、
何だかその後のストーリー展開がすさまじくて
それどころではない感じになってますね。
「縄を食いちぎる→縄を食う」とか予想もできません
でした。しかも完食、、、！　そこから先も、
「集団で夢のような世界に旅立つ」ネズミとか、
トゥエンティのハートの「ドキンドキン」に
目隠しがされていたり、樹海のあちこちに
どこかで見たようなキャラがいたり、シャロが
金色の野に降り立ったり、、、ツッコまれないボケが
たくさん詰め込まれていた気がします。
　そういえば「バリツ」も、作中で何度も語られて
いました。（特に最初なんて、コーデリアの
せりふとは関係がないのにいきなりシャロが
話題を振るという、ちょっと無理目な流れに
なっていました。）が、その割には、シャロは
使いこなせていなかったみたいです。
（ちなみにバリツって、「シャーロックホームズ」
の小説の中に出てくる言葉らしいです。何でも
日本の伝統的な武術で、ホームズはこれを身に
つけていたため、滝に落ちても奇跡的に助かったの
だとか。でもそういう名前の武術って日本にはない
、、、ですよね。）

　この技を成功させようと何度も挑戦するシャロは、
失敗しても全くあきらめていない感じですね。
それどころか必ず成功させられるという自信を
持っているようで、目の前に危険が迫っていても
平気な顔をしています。
　ですが物事は彼女の夢見るようにはいかない
ようで。バリツではなくトイズが彼女を救っていた
ぐらいでした。
　こういう風に、成功を夢見て何度も挑戦しても、
いつも失敗してしまうという状況は、現実の厳しさを
描いているような気がします。シャロ達は、意外と
ハードボイルドな世界に生きているのかもしれません。

　それでも全然くじけない所が、彼女達らしさ
なのかもですね。この物語のクライマックスでは、
彼女達は努力を続けた事でトイズを取り戻せるの
かも。もしその時が来るなら、彼女達はそれまでの
３ヶ月間の経験を糧に、大きく成長していくのでは、
とも思えます。（もしくはもっとギャグな落とし方に
なる可能性もありそうですね。）

　この作品では、「探偵」や「怪盗」は登場しますが、
推理劇のようなストーリーはあまりなさそうですね。
例えば第２話では、容疑をかけられたコーデリアを
救うため、パンを食べた張本人を捜そうとシャロ達が
奮起します。探偵の服に着替えて心機一転した彼女達
が最初にしたのは、学院の皆に普通に質問する事
でした。
　またこの話数では、アイリーンを探す小衣達も、
レーダーがきかなくなると普通に草むらを無造作に
かき分けるだけでした、、、。小衣とかは「IQ1300」
で「ヨコハマ市警のエリート」らしいのですけど、
その能力があまり生かされてない？　アニメの方は
こういう雰囲気でこれからも描かれていくのかも
ですね。

　さてその小衣に、突然百合なエピソードが訪れます。
彼女はかなり気に入られてしまったようですね。
（ところで個人的には、この話数では、ストーリーの
流れ上あまり百合な展開がないのではないかと
思い込んでいました。なので急にアイリーンの
目が変わったときは驚きました。こういう場面を
見ていると、この作品ではとにかく何か女の子同士の
いちゃつきが毎回入るようになっているのかな
という気もしますね。もしそうならこれからも
楽しみかもです。）

　アイリーンの溺愛ぶりは相当なもののようです。
年齢的にはたぶん小衣の方が年上なのでしょうけれど、
アイリーンはそういう目では見ていないっぽいです。
お姉さんでもついかわいがってあげたくなって
しまうのは、それだけ相手への愛しさがあるから
なのではないでしょうか。
　アイリーンは、単に小衣をかわいがるだけではなく
ちゃんとお世話もしようとしている感じがあります。
年下のように扱っている割には、少ない食料の分け前
の内、一番多くを小衣にあげていました（これには
裏があるようなのですがまあそれはおいておくという
事で）。眠っている時も無意識に小衣を求めている
ようです。
　小衣とアイリーンが出会ってからほんの少しの時間
しかたっていません。なのにここまで気持ちが強く
なってしまうのは、アイリーンが小衣に対して本当に
愛情を抱いているから、なのかもですね。

　ですが小衣は、素直にその感情を受け入れられない
みたいです。大きな理由があるとすれば、それは
相手が自分を子供扱いしているから、でしょうか。
　小衣は、シャロが自分を「こころちゃん」と呼ぶのも
気にくわないようです。シャロがそう呼びかける
たびに毎回律儀に(?)「こころちゃん言うな！」と叫んで
います。

　小衣は、知能が発達していたおかげでハーバード
大学を飛び級で卒業できるほど学業が優秀らしいです。
そのため、幼くして市警のエリートにまで上り詰める
事ができました。
　たぶんその間、彼女はずっと、自分よりもはるかに
年上の人達の中に混ざって生活してきたのでしょう。
優秀な大学を飛び級で卒業する少女、、、。たぶん周りも、
特別な目で彼女を見ていたのでは、と考えられます。
「こんなに小さいのにこんな難しい問題が解ける
なんて」といった言葉は、日々当たり前のように
彼女の上に投げかけられてきたのでは。

　それを聞いた小衣は、どう思っていたでしょうか。
本人は、自分にとって普通な事を淡々とこなしていた
つもりだったのでしょう。それなのに、小さい子が
大人以上の知能を磨く事がまるで受け入れられない
現象のように周りの人達が言い続けていたとしたら
、、、。もしかしたら小衣は、自分の外見と内面との
ギャップにコンプレックスがあるのかも、なんて
思ってしまいました。
　なので、シャロが何の屈託もなく、親しい笑顔で
「こころちゃん」と言ってくるのにどう対応したら
いいのかわからず、つい強い言い方をしてしまうの
かな、とか考えてしまいます。自分はシャロとは
違うんだ、という思いと、シャロと同じように
振る舞いたいという気持ちが混じり合っていたり
するのでは。

　シャロは、小衣がどんな態度をとろうとも、
彼女と仲良くなりたい気持ちは変わらないようです。
それに今は、アイリーンもいてくれます。小衣が、
自分にもっと素直になれる日も近いのかも。もし
そうなるなら、小衣には年相応らしい愛情を、
女の子同士で育てていったもらいたいかもです。

　とまあそんな事を想像してしまいました。この
作品でそういった設定があるのかどうかはわかりません
けれど、シャロやアイリーンが好意を持っている以上、
小衣にもそれなりの態度を見せてもらいたい気も
します。

　最後の場面も、たぶんアイリーンの強い愛情が
ああいう方法をとらせたのでしょう。けれど、
無言の一撃で相手を仕留めるアイリーンの技が
切れ味抜群で驚きました。次回とかで小衣が
どんな姿で戻ってくるのか、気になります。
　それと、アイリーンを見送る平乃のモノローグも、
さりげなく決まってますね。明智の名前が「こころ」
だったのは、このせりふを言わせるため？　とか
思っちゃいました。