ひらり、 Vol.2 後半
「七海先輩とありさちゃん」のように、普段の行動の
裏に隠された思いや、「あなたといれば」のように
ひたむきでまっすぐな気持ちなど、いろいろな感情が
描かれています。思いが通じ合えたらそれは素敵な
事ですよね。その後の愛情表現ももう少し見てみたい
ように思うのですが、、、そうなるかどうかは本誌の
制作意図とも関係しそう?
発行新書館による、年3回刊の「ピュア百合
アンソロジー」である「ひらり、」の Vol.2を
見てみました。以前に別の記事でも書いています
ので、よろしければそちらも見てみてください。
では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。
(・作品名(作者名(敬称略)))
・ピンク・ラッシュ(TONO)
アイドルのマールには、サナという同じ事務所の
ライバルがいる。サナがマールの衣装やステージに
あまりにも文句をつけてくるので、マールは
言い返そうと相手の舞台の映像を見た。
Vol.1に続いてこの2人の登場、です。前回は
サナがマールの大ファンという事が描かれていました
が、マールはその時まだ知らなかったのですよね。
サナも秘密にしておく気だったみたいですけど、そう
お高くとまってもいられないようで、、、。2人には、
百合な関係を手に入れてもらいたいかもです。
・七海先輩とありさちゃん(石堂くるみ)
ありさにとって合唱部部長の優子は憧れの人。
いつも彼女のそばにいて甘えたいのだが、一つ問題
が。それは優子の同級生の七海で、自分は優子と
ラブラブだと言ってありさの邪魔をするのだ。
ありさの目からは、優しい先輩としての優子しか
見えていないため、相手がどういう思いを抱いて
いるかを考える余地もなくアタックするばかりに
なってしまうのでしょうね。七海は彼女なりに
あれこれ手を尽くしているようで、そこを「察する」
事ができればありさの視界も広がるのでしょう。
この作品は、Vol.1の「原田さんと美咲ちゃん。」
とタイトルの構成が似ている、と思ったのですが
物語の舞台も一緒のようです。原田静香と小倉美咲
が登場していますね。彼女達のおつきあいは
順調みたいです。
・あなたといれば(朝丘みなぎ)
信号機のトラブルで停止している電車の中、
篠田愛は人目もはばからずお菓子やジュースを
広げ始める。そこへ他校の女生徒が現れ、フィギュア
スケーターの篠田愛かと尋ねてきた。
本人にやる気も才能もあったとしても、希望が
通らない場合があるようです。絶望的な気持ちの
中で出会ったもう1人の「篠田愛」は非力かも
しれませんが、「希望」という一番大切なものを
持ってきてくれたのではないでしょうか。その後の
エピソードもなかなか良いですね。
・マイン(スカーレットベリ子)
これまで1人で過ごす事が多かった猫俣柚子
(ねこまたゆず)は、最近深海真姫(ふかみまき)と
一緒にいる事が多い。真姫は、何にでも興味を
持つが、すぐに飽きる性格だった。
真姫のそばにいられるのを柚子はとても嬉しく
思っていますが、同時に不安でもあるようです。
それは自分に自信がないのと同時に真姫がどういう
つもりで一緒にいてくれるのかを正確にわかって
いないから、なのかも。2人のこれからが気に
なりますが、松本の存在も興味深いですね。
作中では柚子の表情が豊かに描かれていた
ように思います。特に目元が、彼女の感情を
反映してくるくる変わっていく所が素敵なのでは。
柚子が自分の意見をうまく口にできない代わりに
目で語っている、という事なのかもです。
・泣いて笑ってまた明日(藤沢誠)
ソフトボール部のあおいは、密かに慕って
いる先輩のマリと、いつも一緒に下校していた。
だが3年生のマリは、今の大会が終われば引退、
2人で一緒にいられる時間もなくなってしまう。
「仲の良い後輩」の位置にたどり着くまでに、
あおいは相当努力したのでしょうね。それも単に
仲良くなるだけではなく、自分の気持ちを悟られ
ないようにしなければならないわけですし。でも
今のままでいいのか、、、これはあおいだけでは
解けない問題なのでしょう。
・even(未幡)
千歳と奈央は幼なじみ。昔の千歳は、無邪気で
無防備な奈央を自分のものだと言ってはばから
なかった。しかし今では奈央はバスケ部の注目株、
ゴール一つ決められない千歳とは雲泥の差だった。
幼なじみなら、昔から一緒にいるため記憶も
共有しています。けれど、周りの見る目はいつも
同じではないようで、、、。千歳は扱いの差を
ひしひしと感じていて、奈央との関係にも悲観的に
なっているのかもですね。というかこの後2人が
どうなるのかとても気になります。
・純粋セカイ培養(作:榊花月、絵:平尾アウリ)
地元の私大に二浪している川名は、母親が世間体
を気にするため外出にも気を遣う。ある日、自分が
卒業した小学校にいつの間にか足を運んでいた彼女
は、同級生の石元に呼び止められる。
昔、確かに同じ学校に通って、同じクラスにいた
川名と石元。ですが、当時の印象はかなり違って
いるようです。それは川名が事実を知らなかったから
なのかもしれません。もう一度会わなければ気づか
なかった気持ちが、川名をどう変えていくのか、
想像の余地がありそうですね。
この作品は榊さんのノベルで、イラストを平尾さん
が描かれています。平尾さんの絵柄は、今号の中
ではちょっと別のテイストを感じさせるものかも
しれませんけれど、小説の醸し出している雰囲気が
絵としても表れていたような気がします。本誌で
平尾さんのイラストが見られるのはなかなか良い
ですね。
、、、といった感じで、今号でも女の子同士の
友情以上恋愛未満的なエピソードが甘く切なく
描かれていっている感じですね。そのためなのか、
女の子同士のスキンシップは少なめな気もします。
個人的にはもう少し進んだふれあいを描いて
もらいたいようにも思います、、、。今号の中では、
スカーレットベリ子さんの「マイン」だけ、
(口同士の)キスシーンがあったように思います。
今後はそういう表現も広めていってもらいたい
かもですけれど、どうなるでしょうか。
本誌では、ネット上でアンケートなども行って
いるようです。Twitterのアカウントもありますので、
感想など投稿してみるのも良いかもです。
次号は12月の発売予定だそうです。また素敵な
百合作品がたくさん読めるのを期待したいですね。
| 固定リンク
「百合レビュー」カテゴリの記事
- 星屑テレパス 第2話(2023.11.17)
- 16bitセンセーション ANOTHER LAYER 第1話(2023.11.15)
- 星屑テレパス 第1話(2023.11.09)
- アサルトリリィ BOUQUET 第5話(2023.10.30)
- アサルトリリィ BOUQUET 第4話(2023.10.23)
「雑誌 ひらり、」カテゴリの記事
- 2020年12月辺り発行の百合なコミック作品など(2020.12.21)
- 2019年7月辺り発行の百合なコミック作品などのリスト(2019.07.31)
- 2018年10月からとその後のアニメ作品リストなど(2018.10.03)
- 2018年4月からとその後のアニメ作品リストなど(2018.06.30)
- 2018年4月から5月辺り発行の百合なコミック作品などのリスト(2018.06.23)
コメント