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2010年9月11日 (土)

ひらり、 Vol.2 前半

 新しく参加されている作家の方達の作品でも、
女の子同士の間に生まれる友情以上の感情が
表れていた気がします。恋愛感情という点では
もう少し踏み込んで表現してもらいたいようにも
思うのですけれど、この辺りが本誌のカラー
だったりするでしょうか。

 発行新書館による、年3回刊の「ピュア百合
アンソロジー」となる「ひらり、」のVol.2を
見てみました。
 前号Vol.1は4月の発売でした。年3回だと
どうしてもこれぐらいは間が開いてしまうのですね
、、、。もう少し早めに次のを見られるように
なると良さそうですけれど、まあなかなかそうは
いかないのかもです。

 表紙は、前号に続いて遠田志帆さんが描かれて
います。以前にも書きましたように、浴衣姿の
2人の女の子が夏の雰囲気を出しています。
寄り添う体の柔らかい線や、ふれあっている手
などが2人の親密さを表している感じがします。
巻末の遠田さんのコメントによると、2人が
薬指にはめている指輪はお祭りの出店で買った
ものらしいです。

 カラーの口絵は今村陽子さんが担当されて
います。お姫様2人の絵だそうで、後ろにいる
黒髪の姫が、手前にいる金髪の姫を支配している
といった構図でしょうか。でも黒髪の女の子の
表情は、攻撃的な印象もありますが、どこか
切なそうでもありますね。また金髪の女の子の
方は、苦しそうでもあり、恍惚としているみたい
でもあり、、、。後ろの娘が花びらを踏みつけて
いたり、前の娘が小石のようなものを持って
いたりなど意味深げな所もあります。また、2人の
服装はかなり違っているようにも感じられますが、
よく見ると、黒と白の布の色使いや、小さい花を
胸にあしらっているデザイン、髪飾りやマント
など、共通している部分が多い気がします。
彼女達の間には何か深い関係がありそうな
感じですね。

 では収録作品を部分的にご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・あさがおと加瀬さん。(高嶋ひろみ)
 夏休みの少し前、山田は学校のプランターに
自分で植えた朝顔に水やりをしに行く。が、他の
女の子が既に水を与えていた。その美人の名前は
加瀬、隣のクラスで陸上部所属だ。
 山田は前から加瀬の事を美人でかっこいいと
思ってはいたみたいです。けれどときめきを覚える
ほどになったのは、話し合うようになってから、
かな? その時加瀬がどう感じていたのかは気に
なりますね。「朝顔なんてビミョーになつかしい」
というのも、実は加瀬のほめ言葉だったのかも。

・指先の声(前田とも)
 めんどくさがりで何にも真剣になれない佐伯は、
進路調査を提出するのにさえ気が乗らない。
そんな彼女がつい目を向けてしまうのは、よく
スケッチをしている同じクラスの倉田だった。
 まともに話した事もなかったのに、なぜか
佐伯は倉田が気になるみたいです。その後少し
ずつ言葉を交わすごとに、彼女は相手の事が
どんどん気になって行っているのではない
でしょうか。最後の場面の倉田から佐伯へ渡した
メッセージが良いですね。

・箱庭コスモス(桑田乃梨子)
 永原風和(ながはらふわ)は、2学期から
私立秋櫻女子学園に転校してきたばかり。彼女の
目下の目標は、この学園で「ふしぎ研究会」に
入る事だ。
 風和こそが「ふしぎ」な存在という感じです。
が、彼女自身はマイペースで周りの反応もあまり
気にしないみたいですし、それほど周りに迷惑を
かけているわけでもなさそうなのであまり問題
にはならないのでしょう。ところでコスモスの
「ふしぎ」はその後話題になったのでしょうか?

・ビスケット心中(三嶋くるみ)
 祖母の葬式で花を手向けようとした千秋。だが
のぞき込んだ棺の中にあったのは、親友のゆたか
の姿、、、。そんな夢を、千秋はなぜか最近見る
ようになっていた。
 千秋は、なぜ自分がそんな夢を見るのか、理由は
わかっていたのでしょうね。でもゆたかにその
事を話していないらしいのは、自分の感情が
相手に受け入れられないと思っていたから?
それにしても恐がりのはずのゆたかが千秋のため
なら何でもできちゃう所は素敵ですね。

・ほんのともだち(ささだあすか)
 暑い日に涼しい図書館へやって来た北沢幸知
(きたざわさち)は、本を読む美しい声に気づいた。
声の主は同じクラスの西森。彼女は妹のみこに
絵本を読み聞かせていたのだった。
 西森は自分を「話術とぼしい」と言っていますが、
表情はけっこう豊かみたいですね。作中で時々
アップになる彼女の表情はいろいろな事を語って
いるような気がします。幸知もそういう所が気に
なったのでは。そして最後に取り出された絵本の
タイトルが良いですね。

・夏が終わっても暑い(仙石寛子)
 夏も終わりとはいえまだ暑いある日、真希は、
実は新しい水着を買ってあった、とつぶやいた。
だがふと思い出すと、夏のはじめには「水着を
持っていない」と言っていたはずだった。
 真希の相手の娘(名前は出てきていないみたい
ですね)は、水着の事で疑問が浮かぶととたんに
あれこれ質問したり涙を浮かべたり。かと思うと
真希に飛びついて嬉しそうにしたりなどいろいろな
姿を見せていますね。でもそのどれもが、真希への
愛情を感じさせる気がします。

・雨降れば(湖西晶)
 潤と陽香が外へ出ると、雨が降っていた。潤が
外出するといつもこうなるのだ。しかし彼女には
密かな喜びもあった。雨が降れば、陽香と相合い傘
ができる。
 相手には迷惑かもしれないけれど、自分には
嬉しい。そんな気持ちを相手に気づかせない事で
潤は精一杯になっていたのかもしれません。でも
ふと気がつくと、、、という感じでしょうか。
雨の日に一つの傘の中で密着、というシチュが
効果的かもです。

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