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2010年6月 7日 (月)

まんがの作り方 第2巻

 2人が交際を始めて1年。お互いの関係も
落ち着いてくるのかと思ったら、ライバル
発言(?)があったり2人の関係を見直そうと
したり、新キャラも登場するなどいろいろ
展開しているようです。そのエピソードの
端々に見える、初々しい言葉のやりとりや
表情が良いかもですね。

 発行徳間書店コミックリュウに連載中の、
平尾アウリさん作「まんがの作り方第2巻
です。、、、とはいえもう第3巻も発売されて
しまったのでここではさらりと書いてみようかと、
思ったのですけれど結局長くなってしまいました。
 ストーリーは、、、森下の連載が4ヶ月で
終了してしまった。本人は「面白くなかった
から」と言うが川口はまだ納得できない。
どうやら森下は、ネットでの自分の噂が気に
なっているらしい。自分の作品を叩く書き込み
を見て落ち込む彼女に、川口は自分の経験を
語ってきかせた。

 この第2巻でも、彼女達の間に漂う甘い
雰囲気と、時々はさまれるコミカルなやりとり
が楽しめますね。いつの間にか2人のおつきあい
は1周年になったようで、川口も森下も、
いつも一緒にいる事が素晴らしいものだと
実感しているのではないでしょうか。
 特に川口の感じ方は強いのでしょう。
交際の始まりは彼女の打算みたいなもの
でした。が、森下も自分と同じ漫画家だと
知らされ、彼女の一途な思いにふれていく
内に、自分の中のよこしまだった思いを
反省していきます。そしてそれだけではなく、
森下に惹かれていく自分に気づいていったの
でしょう。それに、森下が「さち」だったと
教えられる前から、川口はさちの漫画の
ファンでした。他の作家の作品を見ない
ようにしていた彼女がほとんど唯一
読破している作家が森下だったというのは、
川口が森下のような人を求めていた証拠
なのかも。

 そうやって思いを確かめている間にも、
少しずつ2人の周りの時間は進んで
いるようです。森下は高校卒業が近づいて
自分の進路を考えていますし、川口も
大人になろうとしています。お互いに
漫画家として仕事をしていく中で、相手
をライバルと認めたりするのも、2人の
成長を示しているのでは。

 とはいえ、いつも一緒にいる上、仕事も
同じだと何でも見透かされているような
気になって、たまに重苦しく感じる場合も
あるようです。川口は突発的に、森下の
そばに戻りたくない気持ちになってしまった
みたいです。が、それがかえって森下の
大切さを思い知る結果になったらしく、
川口は前よりも強く森下を求めるように
なったのかもしれません。
 その流れの中で、新キャラの武田が
登場していますね。彼女も漫画家を
目指す女の子で、歳は森下より少し下の
ようです。
 彼女はどうもクールな性格のようで、
相手が誰であろうと思った事はきっぱり
言うみたいです。おかげで川口は、森下
とのゆるい生活をとがめられるような
気持ちになってしまっていたわけです
けれど、、、。でも川口と森下が、外から
見たらどんな風に見えるのかを知る機会
にはなったのではないでしょうか。

 武田が川口に送ったメールの内容で、
川口と森下の関係を指摘する文面が
ありました。それを見た川口の反応は
、、、別に気にはしなかったみたいですね。
 武田のメールが示していたのは、川口と森下
が女同士で愛し合っているという事と、
それが武田以外の誰かに知られると
良くないのではないかという事。後半の
部分については、今の所川口も森下も被害
みたいなものにあったりはしていない
ようです。川口の弟の政人が友達を連れて
きた時に姉の女好きが暴露されましたが、
友達の方は、自分には関係ない事だと
思ったのか特に騒ぎなどにはならなかった
ようです。(でも川口の相手が、学校で男子の
憧れの的になっているらしい森下だと
知られたら、ちょっとした事件になるの
かもです、、、。)
 では武田のメールの前半の部分はというと、
川口には改めて自分達の関係を教えてくれる
メッセージになっていたのではない
でしょうか。自分の中ではまだ決まった
感情を持っていないつもりだったとしても、
外から見れば、2人は恋人同士なのだ、と。

 この第2巻では、森下がどのような
いきさつで川口に出会い、惹かれるように
なったのかが描かれている話数があります。
このエピソードは森下の胸の中にだけ
しまわれているようですが、2人の関係を
考える上では重要な出来事になるの
でしょうね。
 森下は何か川口との出会いの瞬間から
ときめきを感じていたようでした。初めての
バイトだったから何もかもが新鮮だった
とも言えるのかもしれませんけれど、でも
その後の彼女の気持ちの動きを見ていれば、
最初に抱いた感覚が気の迷いなんかじゃない
と考えられそうです。

 ここでちょっと切ない感じがしたのは、
森下が、川口に対する自分の感情に気づき
始める場面だったりします。森下は、
「小早川のの」という作家の漫画を読んで
いる時、登場人物の2人の女の子に、
自分と川口の姿を重ねてしまいます。
想像の中で2人は抱きしめあい、お互いの
ぬくもりを確かめ、、、。
 これまでずっと漫画の仕事をしてきた
森下は、バイトの経験もなく、学校生活
以外の事には疎かったとも考えられます。
そんな彼女の生活の中では、自分から何かを
送り出すのも、誰かから情報を受け取るのも、
すべて漫画を通じてだったと言えるのかも
しれません。このやり方は森下にとっては
自然な事なのでしょう。彼女達の生活の
一部となっている漫画を巡って、彼女達が
一生懸命紡いでいく物語が、これからも
切なさと感動を与えていくのではない
でしょうか。

 切なさでもう一つあるのは、森下が
女の子同士の恋愛のはかなさを感じ取って
いる所なのでは。自分の恋心を一度は
川口から否定されてしまった経験が、森下に
よけいに刹那的な思いを持たせてしまって
いるようです。
 そんな彼女の心情を見た後で、彼女が
川口に対して向ける屈託のない笑顔や
一途に甘えていく所などを見ると、より
彼女の存在が際だってくる気がします。
川口のモノローグなどを見ている限りは
あまり心配しなくても良いようにも思えるの
ですけど、森下にしてみれば川口の気持ちが
見えているわけではないですから、不安
には思うのでしょう。

 後半にある「誌上私信」とかデートの場面
などは、もうラブがあふれていて見所満載
なのでは。また特に、上に書いたような
森下の気持ちが描かれた事で、2人の
ふれあいが輝きを増しているように感じ
られます。彼女達の未来が明るいものに
なっていると良いですね。

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コメント

まだ1巻しか読んでいませんが、
この人の作品のじらし方とせつなさと
時折はさまれるコミカルは本当に好きです。
作家さん自身が、女の子達の関係を描くのが本当に好きなんでしょうね。

余談ですが、作中に時折数カットはさまれる
「さち」の画の漫画の方も読んでみたい…
と思っているのは僕だけではないはず。

投稿: greenfiddler | 2010年6月 9日 (水) 02時10分

何というかせりふの一つ一つがきらきらしている
感じで良いですよね。それぞれ挙げていったら
きりがないほどかも。こういう語り口の作品で、
女の子達の百合なやりとりが読めるのは楽しいです。

「さち」の漫画、見てみたいですね。何か特別版
という形とかで単行本に収録されたりすると
面白そうです。

投稿: ギンガム | 2010年6月10日 (木) 22時00分

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