GIRL FRIENDS 第4巻
ようやく自分の中にある気持ちに気づき
始めたらしいあっこ。わかってしまえば
あれこれ納得がいく所が多いのかもしれません。
でもそれは自分の感じ方であって、まりが
どんな感情を抱き続けていたのか、という所
にはすぐにはたどり着けないようです。2人の
関係はどうなるのでしょうか。
発行双葉社、「月刊コミックハイ!」で連載中の、
森永みるくさん作「GIRL FRIENDS」の第4巻です。
あっこがキスを返してくれた。まりにはとても
嬉しい出来事だったが、同時に改めて思い知らされる
事もある。あっこにとっては、女の子同士のキス
なんて遊びのようなもの。自分が抱くような
恋心は、あっこの中にはないのだ、と。まりは
今度こそ自分の気持ちを胸の奥深くに隠し、
あっことは「友達」としてつきあおうと決めるの
だった。
「友達とちゅーなんて、挨拶っていうか、、、
遊びじゃん?」、、、あっこがまだ何も気づかない
頃の言葉だったとはいえ、やはりまりには相当
こたえていたのでしょうね。あっこが自分に
何をしてくれても、それは友達として、友情から
出た行為なんだとしか思えなくなってしまって
いるのでは。
美人で明るく気さくなあっこが、1人がちだった
自分に優しくしてくれて、いろいろな事を教えて
くれた。新しいタイプの友達だと思っていた
彼女に、いつの間にかどきどきして、恋心を
抱くようになって、、、。まりはその先の何かを
手放しで期待していたわけではないのでしょう
けれど(というか女の子同士の恋愛がふれあった
先に何があるのかなんて知らないのでしょう)、
自分の中で育っていく気持ちに、驚きながらも
愛しさを感じていたのかもしれません。
ですが、、、あっこの何気ない言葉に、自分の
周りにある現実を知らされてしまったのでしょう。
女の子同士で恋人になる、だなんて、少し前
までは自分だって信じられなかったような事、
あっこが考えているはずもない、と。
そこからのまりは、かなり徹底していたように
見えます。一番の友達という位置づけをキープ
しながら、恋愛という意識には決して踏み込まない
ように。彼女はかなりうまく立ち回っている気が
します。前の記事で、まりは忍耐強いかも、と
書きましたけれど、ここでもそんな一面が出ている
っぽい感じです。
それではあっこの方はというと、まりがどんな
思いを抱えているかまでは、なかなか気づけて
いないみたいですね。まりと比べて恋愛感情に
遅れて気づいたのだから仕方ない、と言う事も
できそうではあります。が、この2人の間で
感じていた事はかなり違っていたみたいです。
あっこの目から見れば、自分の中の恋心に
気づいたとたんに両思いだと判明した、みたいな
所なのでは、と思えます。彼女的にはラッキー、
といった印象だったかもしれません。
けれどまりにしてみたら、さんざん悩み苦しんだ
後で、友達のままでいようと決心したタイミング
なのですよね。この食い違いは大きいと言えそう
です。
お互いに相手の気持ちをつかみきれない内に
時は過ぎ、修学旅行が始まります。大親友で
クラスメイトのまりとあっこは、当然のように
同じ班。まりとしては今まで通り友達として仲良く
振る舞う事で、せめて学生時代の大切な思い出を
残したい、みたいな気持ちだったのでしょう。
一方のあっこは、、、自分達の新しい関係を
育てていこうと彼女なりに一生懸命考えていた
ようですね。女の子同士で何をしたらいいのかは
まだよくわからないけれど、とにかくもっと
仲良く、そして「恋愛」と名前の付くものにも
挑戦してみたいと考えているっぽいです。
あっこがまりとの関係を、悩んだり不安に
なったりしていないみたいなのはさすがかも、と
思えます。よくあるパターンでは、女の子同士
なんてあり得ない(確かに以前彼女も、すぎさん
に相談している時にそう叫んでいました)と思う
所でしょう。でもそれより、たとえ相手が女の子
であろうとも、お互いに愛し合っているなら
それでいいじゃない、と、あっこは考える
ようになったのかも、という気がします。
あっこの素直さは、ある意味心強いとも言えそう
です。まりを、悩んでいる気持ちごと包み込んで
くれそうな。
けれど冒頭の時点では、2人が愛を分け合うには
まだ至っていないわけで、、、。それがこの第4巻
全体を通してどう変わっていくのか、という
部分が見所になるのでしょう。
これまで第1巻から第3巻にかけて、巻末に
印象的な(衝撃的な?)キスシーンが入るのが、
この作品のポイントでもありました。が、
この第4巻では微妙に違っているみたいです。
これは単に収録話数の都合だったのでしょうか、
それとも何か新しい展開の予感?
すぎさんは、同時に複数の男の子達とつきあって、
しかもそれを持続できてる、という所がかなりの
技量(?)のように思えますね。でも他の男性から
ひどい目に遭わされる場合もあるみたいですし、
特にこの第28話では彼女的には密かにヘビーな
状況だったのでは、という気もします。彼女の
男性観がこれで変わっちゃう、とまではいかない
かもですけれど、女性のありがたさを改めて
知るきっかけにはなった?
すぎさんとたまみんの関係は、百合な方向には
たぶん発展はしないのですよね。でもそうだと
すると、この2人の間柄こそが「女の子(GIRL)」の
「友達(FRIENDS)」という事にもなってしまいそう
、、、。この物語の中で、百合な恋愛をするのが
まりとあっこだけの予定なら、他の女の子達に
スポットを当てると作品のテーマが揺らいで
しまいそうな気もしますね。とはいえまりとあっこ
の気持ちだけが描かれ続けると世界観の広がりが
少なくなってしまいそうでもありますし、、、。
まあその辺りは取り越し苦労で、この後も彼女達の
百合なラブが描かれていくのでしょう。素敵な
エピソードをたくさん見てみたいですね。
第4巻でのあっこの行動って、何かうきうきと
はしゃいでいるような感じがします。彼女の
これまでの恋愛経験がどれぐらいかはよく
わかりませんけれど、何というか初々しい
雰囲気もありますね。まりにしても同じでしょう
から、2人の仲がうまくいけば、ラブラブな
エピソードが見られるのかも。そういう展開も
期待したいですね。
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コメント
レビューと言いつつ見事なアオリ文でしたよw
もう読みたくて仕方がなくなりました。
でも巻数順番に追っかけます。。
物語の趣旨からは ずれますが…
girl friendは邦語訳すると、
友達というよりは「彼女、女の子の恋人」という意味なので
『GIRL FRIEND"S"』というタイトルには、
『彼女達はお互いがお互いのgirl friend」
という意味が込められてるのかな、素敵だな☆
などと勝手に思い込んでおります。
投稿: greenfiddler | 2010年6月18日 (金) 00時44分
アオってしまいましたか、、、w。第4巻も
かなり楽しめる内容ですので、順を追ってじっくり
堪能されると良いと思います。
「girl friend」にはそういう意味があるんですね、
勉強になります。複数形の「S」には、おっしゃる
ような気持ちが込められているかもですね。
森永さんならそんな風に考えていらっしゃるの
ではないかと期待しちゃいます。
投稿: ギンガム | 2010年6月19日 (土) 22時34分