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2010年5月 3日 (月)

つぼみ Vol.5 その3

 百合的なポイントは作品によってそれぞれありそう
ですね。作品の中で百合をどれぐらい感じるかは、
描く側と読む側両方がどういう捉え方をするのか
にもよるかもですが、、、いずれにしても百合テイスト
たっぷりの作品をたくさん読める機会があるのは
素敵なのかも。

 発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.5を見てみました。以前に別の記事でも書いて
いますので、よろしければそちらも見てみてください。

つぼみ Vol.5
つぼみ Vol.5 その2

 では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・わんらぶ(杉浦次郎)
 飼い犬のモプコに入れあげる夢子は、気持ちが
届かないと知りつつもラブレターを出してしまう
ほど。しかしモプコは突然夢子の前から姿を消し、
そのまま1週間が経過した。
 夢子はモプコとどうなりたいと思ってラブレター
を出したのかが気になりますね。モプコの方は
たぶん何か意志があって家出したはずですし、
その気持ちに夢子が応えてくれたら良さそうな
気がするのですけれど、、、。でなければ純子が
横取りしちゃうかも?

・葵ヶ丘珈琲店(ほた。)
 自分が屋敷住まいの金持ちの娘だと知られた事で
周りとの壁を思い知らされた経験を持つ櫻子。今
同じ店で給仕をするつばめに思いを寄せる彼女は、
自分の素性を明かす事がどうしてもできなかった。
 歳も同じなため、見聞きするものや感じる事柄も
たぶん近いのでしょう。2人は友達としてとても
いい関係にあるようです。櫻子が引け目を感じるの
は自分の家柄のせいらしいですけれど、実の所は
女の子同士で恋愛感情を抱いているからだったり?
この感情ばかりは、家柄とは無関係ですよね。

・スノードーム(堀井貴介)
 大雪の日、学校にたどり着いた松川が教室で
見つけたのは竹本の姿だけ。悪天候のため全校が
2限で終了したためだ。天気が悪くても松川が
学校へ来る理由を、竹本は知っていた。
 松川と梅吉の仲の良さをよく知っているらしい
竹本。たぶん彼女は松川が普段からどういう行動
をしているかよく見ているのでしょうね。でも
梅吉の名前を聞いた時の松川の反応とか、肝心な
部分は見逃しているようでもあります。彼女が
どんな時に真実を知る事になるのでしょうね。

・プライベートレッスン #2(ナヲコ)
 雪の中、今日もいとこのとりこにピアノを習いに
来たたまこ。いつもなら一緒にいてだらだら過ごす
事が多いのに、今日はなぜかすぐにピアノを弾くと
言い出した。
 たまこから見えている世界は限られていたみたい
です。本人もその点は少しは意識していたかも
ですけど、とりこがあまりにも優しくしてくれる
から、知らないふりをしていたとも考えられそう
です。けれど今度の事で考えは変わったかもですし、
ここからたまこのアタックが始まる?

・しまいずむ その9 ちょうひなまつり(吉富昭仁)
 折り紙を切り貼りしてせっせと何かを作る桜と舞。
遥と芳子が尋ねると、ひな人形の自分達バージョン
なのだという。隣に並べるおムコさんの人形の事を
考えていると、やおら遥と芳子が立ち上がった。
 女の子だけのひな人形、というモチーフは百合的
にも何となく面白いですね。いつもは姉達の奇妙な
行動を疑う桜と笑ってしまう舞ですが、ここでは彼女
達の意見を受け入れたようで、遥と芳子にとっては
とても嬉しい状況だったのでは。嬉しくてその後は
どうでもよくなってしまったのかもですね。

・「つぼみ」レビューリストレビューセンター

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