コミック百合姫 Vol.19

　巻頭カラーの新連載も楽しみですし、他にも
最近本誌に参加された作家さん達による作品が
見られます。こんな風に新しい雰囲気をちょっと
ずつ入れていく事で、また違ったテイストの
百合をたのしんでいけそうですね。

　発行一迅社、コミック百合姫のVol.19を
見てみました。
　以前、密かに３号連続（百合姫ＳのVol.10と
Vol.11、百合姫のVol.18）で、「ささめきこと」の
特集が組まれていたそうですけれど、このVol.19
でも取り上げられていますね。三浦しをんさん
のコラム「百合の花粉は落ちにくい」で紹介
されています。裏表紙にもアニメ版の広告が
載っていますし、他の出版社の作品ではあります
けれどかなりプッシュされているみたいです。
、、、それにしても、星野リリィさんの描く
純夏と汐が見られるなんて貴重かもです。
　では部分的にご紹介、、、。

（・作品名（作者名（敬称略）））

・妄想HONEY（三国ハヂメ）
　花越高校に、友達の奏と入学した乃ノ花は、
妄想癖のある女の子。登校初日から、彼女は
奏の言葉も聞かずに妄想にふけっている。
　乃ノ花の妄想は昔からだったみたいですが、
花越の生徒会には彼女の想像を超えるほどの、
美しくてかつクセのあるキャラが多いのかも
しれません。乃ノ花が現実の中で自分の望む
ものを手に入れられるのかどうかが気になります。
また奏にも、自分の気持ちに素直にならなければ
ならない日が来そうですね。

・くまさんについて（田仲みのる）
　真子の学生時代からの友達、光子は、大の
テディベア好き。真子が思いを寄せているのも
知らずにぬいぐるみの事ばかり話している。
　握っていた手を離さなかった事、仲良くなって
から今までずっと一緒にいた事、それが２人の
つながりの強さを表しているのでしょう。
けれどそこに恋愛感情を期待できるのか、と
考えると、真子は急に自信がなくなってしまって
いるようです。そこには女の子同士という関係の
切なさがありますね。

・Spike girls（竹宮ジン）
　家族のためにバイトが忙しいジュンのバレーの
部活は、朝練がメイン。先輩のユキがつきあって
くれて、朝はいつも２人で練習していた。
　小さいけどかっこよくて、自分という後輩の
ためにいろいろしてくれるユキは、ジュンには
素直に憧れの存在だったのでしょう。そこから
恋愛感情が生まれていく過程をもう少し詳しく
見てみたかった気もしますけれど、彼女達が
どうやってもう一度向き合い、何を話し合うのか
という部分も見所かもですね。

・スウィートルーム（青木光恵）
　１人ブルーな夜を家飲みで過ごすのぞみ。ふと
外に出た時、彼女は制服を着た女の子に出くわし、
つい部屋に上げてしまう。
　のぞみは奈々が放っておけなくて部屋に置く
ようになってのでしょう。けれど好みのタイプ
だったらしく、無防備な姿を見るたびに何か
癒されたりいけない事を考えちゃったりしてる
ような？　女性同士だから自分を抑えている、
というよりも、相手の事を大切に思っているから
手が出せない、という雰囲気なのでしょう。

・砂糖菓子は夢を見る～猫目堂ココロ譚～
（東雲水生）
　潤の家庭教師先の女の子、ちあさは、潤に
いつも恋の経験談を聞きたがる。ちあさの目には
彼女はよほど大人の女性に見えるらしい。
　相手が１０代だから、２０代だから、といった
固定的な考えでいると、大切な事柄も見失って
しまうのかもしれません。とはいえいつも
物事の真実を見続ける、というのはちょっと
難しそうですね。ところで、猫目堂へ行った
後の展開がいつもと違っていたような感じが
します。少し潤に都合がよいかも？
　それと、コンビニの場面で袋に入れていた
ビールの銘柄が、「UNICORN BEER」とされて
いました。これってもしかして、「～Ｓ」に
連載中の「絶対少女アストライア」からの
イメージだったりするでしょうか、、、？

・魔女の掌（四ツ原フリコ）
　心理学の本読みに余念がない那須。人に
もてあそばれないための自衛だという。そこへ
同じクラスの鈴白がやって来た。
　だまされて遊ばれないようにするために人間
心理の勉強をして、那須には確かにそのかいが
あったみたいです。何が起きても冷静に状況判断
できてはいるようです。けれど状況がわかった
としても、それですぐ相手を打ち負かす事ができる
わけではありませんし。というか那須にはそれ
さえももうどうでもいいのかもですね。

・「百合姫」レビューリスト、レビューセンター