にじぷり 第１９話

　今のままではこれ以上近づく事ができない、、、。
それなら変わらなければならないわけですけれど、
そう思っているのが片方だけなら、むなしい
結果になってしまう可能性もあります。彼女達
の場合はどうなのでしょう。、、、というか
もう少し２人が寄り添いあうビジュアルを見て
みたい気もします。

　Webコミック誌「WEBコミックハイ！」で、毎月
２０日に更新されていた、橘あゆんさん作
「にじぷり」の第１９話です。
　麗香が留学のために今年いっぱいで虹ノ丘を
離れる、、、このショックな事態から、ようやく
美羽は立ち直り始めていた。葵との会話にも
明るさが戻ってきている。心配をする必要は
なさそうだとあきらは考えていたが、一方の
麗香は、普段のように振る舞う美羽の姿が何か
気になっているようだった。

　ずっと２択をはずしまくってきた美羽が
ここで見せる選択が、果たして素晴らしい
未来を引き当てるのかどうか、一番気になる
所ですね。このエピソードの中で、彼女は
幾つかの道を選んでいます。そのどれもが、
今までの彼女だったら決して足を踏み入れようと
しない領域だったかもしれません。クラスの
委員長になったのはちょっとした不可抗力
みたいなものでしたし、当時美羽自身は責任の
ある仕事なんて絶対に自分にはつとまらないと
考えていたのではないでしょうか。
　ですが、クリスマスパーティで彼女が宣言
した事は、、、。この場合、選ばされたという
よりは、自分から進んで発案した、みたいな
感じなのかもしれません。まあ何にしても
美羽は自分をより高めるために、寮の皆の
前で宣言したようです。

　では麗香の方はというと、、、美羽とは
片が付いて心おきなく旅立てるはずでした。
が、ここへ来てちょっと思いが揺らぎ始めて
いるような。
　気がつけば美羽を目で追っていたり、彼女が
何事もなかったかのように笑うのを見て
なぜか切ない気持ちになったり。何だか
ちょっと前の美羽を見ているような感じも
ありますね。
　麗香は、虹ノ丘で美羽と再会した時、中学で
美羽に言った約束の言葉は思い出さなかった
ようです。全校生徒の憧れの的だった彼女が、
卒業式でごった返している中で、話すのも
初めての女の子と交わした会話なんてそう
深くは憶えていないのかもですね。本当の所は、
中学から高校へ進学する間に父親と激しく
衝突して絶望的な気持ちになっていたために、
中学の思い出を皆忘れようとしていた、あるいは
忘れてしまったとも考えられますけれど。

　やがて麗香は、美羽との記憶をきちんと
思い出せていました。それならそこから
急速に接近、かと思うとそうでもない感じ
でした、、、。美羽にはキスまでしてあげて
いましたけれど、それさえも麗香には挨拶
ぐらいだったのですよね。
　そんな麗香が、突然、、、具体的には１コマ
ぐらいで、大きく変わっていた自分の気持ちに
気づいたようです。やっと本当の自分の思いを
覚ったらしい麗香。ここからは彼女の持ち前の
行動力で美羽を落とすのか、とも思ったの
ですけれど、そういう流れにまではならなかった
みたいですね。

　美羽の方も、何か急にかたくなになって
しまったようです。アプローチしてくる麗香
を拒むほどにまでなっています。
　彼女も必死に変わろうとしているのでしょう。
ここでの彼女の行動からは、自分のこれまでの
考えを戒めようとしている、とも思えます。
　けれどそれで本当に良かったのか、というのは
気になりますね。彼女はこの２択に関しては
間違った方を選んでしまったのでは、という
感じもあります。誰にも頼らずに立派になる
には恋愛しちゃいけない、というわけではない
とも思いますし。距離も離れる上にふれあい
まで拒んでしまっては、美羽の望まない結末に
なってしまうような。
　まあもしかしたら、美羽はそういうふりを
見せて麗香を挑発している、のかも？　初めて
自分を振り向いてくれた麗香をじらすために、
彼女はあんな素振りをした、なんて想像する
事もできそうでしょうか。

　どういう形になっても、彼女達の気持ちは
深い所ではつながっていると思いたいですね。
なのでその証に、思いが通じてラブラブになる
場面を、瞬間でもいいので見てみたかったかも
です。せっかくのクライマックスですし、
それこそ以前のキスシーンを超えるような
どきどきの場面とか。ビジュアルな部分で潤いが
ほしかったような気もします。

　この作品の連載は今回までとなるそうです。
単行本は５月に発売される予定だとか。
　ちなみに単行本の描き下ろし要素としては、
美羽の中学時代の友達で、彼女のアドバイスを
受けてアイドルになった女の子のストーリーが
描かれています。それも面白い内容ではあります
けれど、今度は美羽と麗香のラブラブな
エピソードなどあると良いかな、とも考えたり
します。

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