咲-Saki- ピクチャードラマ 第６話

　どこまでも相手を包み込んで、相手のために
身を捧げる美穂子。彼女がそうする人は、華菜
だけなのでしょうか。美穂子と華菜、それぞれが
相手に抱いている気持ちが、恋愛感情なのか
どうか、そしてお互いに同じ思いでいるのか、
その辺りが気になります。

　テレビアニメ「咲-Saki-」のDVDの第８巻特典
となるピクチャードラマの第６話です。
　１年前、風越女子の麻雀部が全国大会への連続
出場記録を龍門渕に阻まれた後のある日。放課後、
２年生の美穂子の所へ華菜がやって来た。今日は
部活を早退させてほしいという。何か曇った表情
の彼女が、美穂子には気になったが、理由を聞く
事はできず、送り出してやるだけだった。後から
来た未晴によると、今日は、華菜の妹の誕生日
らしかった。

　華菜が美穂子を「福地先輩」と呼んでいて、未晴が
まだ眼鏡をかけていない、という状況みたいなので、
ピクチャードラマで言うと第２話「私のスーパースター」
と重なるぐらいかもですね。華菜は、１年生ですが
県予選団体戦に大将として出場するほどの実力の
持ち主。とはいえあまり威張ったり飾ったりしない
所が彼女の魅力なのかもしれません。
　けれど予選決勝の大将戦で彼女は龍門渕の衣と
対戦し、力の差を見せつけられて敗退してしまいます。
当然コーチも怒った事でしょう。ですがそれ以上に、
彼女は自分を責めていたのでは、と思います。

　美穂子は、華菜が自分の苦しみを誰にも見せずに
平静に振る舞っているのだと、わかったようですね。
美穂子はもしかしたらそういう気持ちの動きに敏感
なのかもしれません。それに、団体戦の事は華菜の
せいではないときちんと伝えて、自分を責めないで
ほしい、と強く考えてもいたのでしょう。

　そこで彼女がしたのは、華菜の家へ荷物を持って
押しかける事。いつも控えめで裏方に徹している
彼女にしてはかなり大胆な行動だったのでは、とも
思えます。「華菜、来ちゃった、、、」というせりふを
聞くと、咲達と戦った今年の団体戦決勝の時を
思い出しちゃいますね。

　妹の誕生日とは聞いていたものの、飛び出してきた
緋菜（ひな）、菜沙（なずな）、城菜（しろな）の３人を
見た美穂子は、驚いたみたいですね。そこからは、
得意の料理や家事なども交えつつ、美穂子は華菜達
４人と一緒に楽しい時間を過ごします。
　美穂子は妹達とも仲良くなり、そして華菜が
抱え込んでいた胸の奥の気持ちにも触れる事が
できたようです。「抱え込むな」と、言葉だけでも
言えるのかもしれません。けれど美穂子はその前に
華菜を優しく包み込んであげていました。
　これが彼女の愛情なのでしょう。自分との関わりの
中で落ち込んだり悲しんだりしている人を見ると
どうしても放っておけない。自分の事など後回しで
彼女は飛び出していきます。どうやったら相手を
救えるのかわからない時でも、自分にできる精一杯
として、美穂子は相手を抱きしめています。

　ではこれは恋愛感情なのかどうか、、、と考えて
しまうと、ちょっと切ない感じになってしまう
気もします。美穂子が後輩達をとても愛しく思って
いるのは間違いないでしょう。けれどその感情は、
誰か１人に向けられたものではないような、、、。
もしかしたら華菜は特別かもしれませんね。でも、
それでも美穂子の胸にあるのは恋する気持ちとは
少し違うように感じられます。
　華菜は、美穂子が彼女に向けてくる感情がどういう
種類のものか、わかっているのでしょうか。下級生の
中では１人だけ下の名前で呼んでもらい、下校する
時はいつも一緒。美穂子の中で、華菜が他の部員達
とは違う特別な位置にいるのは確信しているの
でしょう。ですが告白したわけでもつきあっている
わけでもない自分達の関係を何と呼んだらいいのか
、、、。

　たぶん華菜はその辺りを理解しているのかも、
という気がします。美穂子の愛に包まれるのが
くすぐったくて、嬉しくて、一緒にいられるだけで
暖かい気持ちになれる。それだけで十分だと彼女は
思っているのでは。
　自分をさしおいてでも部員達のために尽くしてくれる
美穂子の愛情に報いるために、風越の麻雀部を支えて
いく。そんな関係を築き守っていくのが、華菜の
使命になっているのかもしれません。

　最初の場面で、つい華菜を「池田さん」と呼んで
しまった美穂子に向かって、華菜は言い直すように
求めます。そして彼女の望み通りに下の名前で呼んで
もらうのですが、相手の口から本当に「華菜」という
言葉を聞いたらとたんに照れてしまったようで。
華菜には、こうして美穂子に自分を意識してもらって
ふれあってもらえる時間が、とても大切なものなの
でしょうね。

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