つぼみ Vol.4 その２

　ずっとそばにいて思いが伝えられない人もいれば、
久しぶりに再会して過去の出来事を思い出す人もいる
ようです。それぞれの関係性がどういう形になって
いくのか、読者の側としても物語を楽しめる部分が
あって面白いですね。

　発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.4を見てみました。以前に別の記事でも書いて
いますので、よろしければそちらも見てみてください。

・つぼみ Vol.4

　では前に書いたもの以外の作品について一部
ご紹介、、、。

（・作品名（作者名（敬称略）））

・ふへんの日々（３）、ふへんの日々（４）（秋★枝）
　「男なんてめんどくさい」が口癖だった慧子に、
思いを寄せている人がいると聞いて、雪子は心底
驚いた。いったい相手はどんな人間なのか。本人は
口を割りそうにないため周囲を調査する事にした。
　２人とも同じ事を考えて同じ問題で悩んでいた
なんて、さすが幼なじみ、なのかもですね。それに
２人とも自分の悩みを全く相手に気づかせないとは、
慧子はまだしも雪子は相当頑張っていたのでは。
ちょっとうまくいきすぎのようにも思えますけど、
彼女達の関係はこれから、なのでしょう。

・思い出箱（久遠あき）
　神田環は、何年ぶりかで川口藍と偶然再会した。高校
時代、環は女同士で群れるのを嫌っていた。藍は、そんな
彼女に積極的に話しかけてきた唯一のクラスメイト
であり、恋人でもあった。もちろん「ごっこ」だ。
　環でも不思議がるぐらいに、藍があきらめもせずに
彼女に話しかけ続けた理由は、興味があったから以外の
何ものでもないのでしょう。でもその頃の２人には、自分
達の間にあるものを、本当にはわかっていなかったの
かも。再会しなければ２人とも気づかなかったかもしれない
この思いに、彼女達はどんな答えを出すのでしょうね。

・恋人。（大朋めがね）
　同棲していたもなよと喧嘩してしまい、実家に身を
寄せていたまゆに、いつの間にかお見合いが設定されて
いた。拒みきれずに会った相手は「いい男」だったが、
まゆは全く興味を示さなかった。
　まゆは昔、男にひどい目に遭わされていたみたいです。
回想部分のコマの描き方にも、どれだけ苦しかったかが
表されているような。男の中にはまともな人間もいるの
かもしれない、まゆにもそれはわかっているのでしょう、
けどだからといって「更生」をするつもりはないようです。
彼女にとって、やはり「恋人」は１人きりみたいです。
　Vol.3に掲載されていた「恋路」で、もなよが恋人と
喧嘩した、と言っていました。その物語がここで描かれて
いますね。こんな風に、男性も出てくるけれど女性同士の
恋愛もいろいろな形で描かれている、百合として成り立って
いる作品も良いですね。

・恋のさんかく（小川ひだり）
　最近、エミの周りに不審な気配を感じる。彼女が
危険な目に遭いはしないかと舞は気が気ではなかった。
ある日、茂みが動くのに気づいて大声を出すと、そこ
から１人の少女が現れた。
　一途な思いをエミに伝えようとするくりすを、舞は
なぜか追い払おうとします。口ではもっともらしい事を
言っていたものの、くりすに核心をつかれてしまいます。
でもその気持ちは、エミも舞本人も気づかなかったもの。
こういう３人の関係も面白いですね。また最後のコマの
エミの表情もなかなかかも。

・ガールズトーク（コダマナオコ）
　かわいいものが大好きな由花は、自分を磨くのにも
余念がない。涙ぐましい努力のおかげで、彼女は学校の
女生徒達から一目置かれる地位を手に入れていた。そんな
彼女の前へある日突然、見た事もない美少女が現れた。
　かわいいものをいっぱい集めたい、自分自身もかわいく
なりたい、っていう気持ちは女の子ならではですよね。
由花は芙夕子を意識しまくっていますが、それはやっぱり
相手をかわいいと思っているから、、、。この気持ちが、
相手とぶつかり合うほど近づいた時、２人にとって新しい
何かが始まるのでしょうね。

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