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2010年2月17日 (水)

ソラノヲト 第7話

 フィリシアは昔、極限の状況に遭遇し、そこから
生きて帰ってきた経験があるようです。けれど自分が
見聞きしたものについて、彼女は周りの人にはあまり
語ってはこなかったみたいですね。それが彼女の信頼感
を弱めてしまっているとも思われますが、フィリシア
自身は別にかまわないと考えているのでしょう。
そんな彼女を、カナタはどう思うでしょうか。

 テレビアニメ「ソラノヲト(ソ・ラ・ノ・ヲ・ト)」、
第7話「蝉時雨・精霊流シ」です。
 リオ達の代わりに洗濯をしていたクレハとノエルが
部屋に戻ってくると、カナタがテーブルで何かを
作っていた。野菜に細い木の棒を差し込んで動物の
形に仕上げている。彼女の郷里では、この時期になると
あの世に旅立った霊魂が地上に戻ってくるのを
迎えて祭りが開かれるのだという。実はセーズにも
似た祭りがあった。

 いつもにこやかにしていて何事にも動じない(第2話
にもあったように雷だけは苦手みたいですけれど)
フィリシア。空々しいほどの穏やかさに、クレハや
ノエルは何か裏がありそうなのを感じ取っていた
みたいですね。(第5話では、フィリシアが目の前に
いないのをいい事に言いたい放題でした。)
 ではその「裏」って何なのでしょう。この話数では、
フィリシアが過去に経験したエピソードが多く
描かれていました。
 いったい何年前なのか、旧時代の街の廃墟で、
いつ終わるともわからない戦闘が続いています。
戦っているのは、人間と人間。大量の燃料と弾薬を
費やして、滅ぼしあうだけの戦争なのに、誰も
武器から手を離そうとしません。
 いきさつまでは語られていませんが、フィリシアは
兵士としてそこにいました。多脚砲台に乗り組み
(乗員は全員女性らしいです)、弾薬の装填などを
担当しているみたいですね。上官や先輩達には
かわいがってもらっていたようで、彼女も皆のために
精一杯任務をこなそうとしています。
 ですがその場所は、敵も味方も一瞬で命を落とす
可能性のある戦場。気がつけば、彼女もいつの間にか
1人きりに、、、。ここからさらに彼女の苦しみが
強まっていったのでしょう。

 フィリシアは、閉じ込められた廃墟の中である
兵士と会話しますが、この人って、本当に生きて
そこにいたわけではない、ですよね。そうだとすると、
この人との会話はフィリシアが自分で作り出した幻
だったと言えそうです。であれば会話の内容も、
彼女自身の経験や普段からの考え方が反映されて
いるのかもしれません。
 兵士は、世界の終わりを口にしていました(この
辺りは、今のオフィシャルサイトを表示する時に
最初に必ず出てくるメッセージ「誰かが、世界はもう
終わりだと言っていました」とつながりそうです)。
そしてその事について「すまない」と謝っていました。
 この言い方は、ある意味身勝手な決めつけ、とも
感じられます。聞いている側は、あなたが今住んで
いるその世界には価値がない、と言われているような
気分にされてしまうのではないでしょうか。
 仲間達と一緒にいた時なら、フィリシアは迷わず
この意見を否定もできたのでしょう。けれどこの時は
彼女は1人。生きる望みも失われてしまった彼女の
意識に隠れていたものが、兵士の言葉として彼女の
耳に聞こえてきたとも思えます。

 その後フィリシアは救助されますが、助けに来た
女性兵士(この人はリオやカナタとも関係がありそう
です)が最初に言った言葉は、「ごめんなさい」でした
、、、。部隊の到着が遅くなった事を謝っていた
ようですけれど、この言葉にもちょっとした考え方の
違いが含まれている気がします。確かに彼女の部隊が
早く着いていたら、フィリシアの小隊も、フィリシア
自身も被害は受けなかったかも、と思われます。
でも結果的にはそうはならなかったわけですし、
たとえ助かったとしてもフィリシア達の負担が消える
わけではなさそうです。すまないと思う気持ちは
あるとしても、それをどう表現するかについては
注意が必要なのかも、とも思えます。

 精霊流しの場面では、フィリシアも、カナタに
向かって「ごめんなさい」と言っていました。カナタ
達に心配をかけた事をすまないと思う気持ちから出た
言葉なのでしょう。けれどこの言葉がかえって彼女と
カナタ達の間の壁を高くしている感じもあります。
「ごめんなさい、でも大丈夫」と言う事で、自分に
関わるのをあきらめさせようとしているような。
 もともとフィリシアとしては、自分がしたような
経験を他の誰にもさせたくないという思いから、
自分ですべてを背負い込む生き方を選んだとも
考えられます。少なくとも第1121小隊の中では、
誰も苦しんだり悲しんだりしないように、と。

 でもそうやって壁ができてしまう事自体が、
カナタ達の悲しみを生み出す場合もあるみたいですね。
フィリシアは、カナタ達の涙を見てやっとそれに
気づけたのかも。
 ではフィリシアは自分で何もかも抱え込むのを
やめたかというと、、、まだそんな感じでもなさそうな。
彼女はもう、自分の生き方を変えるつもりはないの
でしょうか?
 ここまでの話数でカナタが愛情のこもった言葉を
言ったのは初めてなのではと思いますし、カナタの
気持ちには精一杯答えてもらいたいような気がします。
クレハもノエルも考えは同じみたいですので。
(リオだって同じなのでしょうけれど、リオが
恥ずかしさをこらえてやっと言ったせりふには、
フィリシアの反応はなぜか薄かったようです。)

 フィリシアがカナタ達に感じた思いも、カナタが
フィリシアを慕う気持ちも、愛しさの表れと
言えそうです。これで小隊メンバーももう少し親密に
なれたのかな、という雰囲気がありますね。
 とはいえ百合的にはもうちょっと別の愛情を
見たみたい気がします。誰かから誰かへの恋愛感情
などを描いてもらいたいようにも思います。

・「ソラノヲト」レ ビューリストレ ビューセンター

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