咲-Saki- ピクチャードラマ 第5話
鶴賀学園の麻雀部員が、待ち合わせをして、海へ
、、、。この流れはどこかで見たような気もします
が、以前とはちょっと、というか大きく意味が
違っているようです。前回の分を取り返すだけでなく、
それ以上に楽しもうとしたのかもしれませんね。
2人きりで、、、。
テレビアニメ「咲-Saki-」のDVDの第7巻特典
となるピクチャードラマの第5話です。
清澄、風越女子、龍門渕、鶴賀4校による合同
合宿も終わった後のある日、待ち合わせの場所に
集合したのはゆみと桃子の2人だけだった。智美、
睦月、佳織は、麻雀の勉強という名目のもとに
自動車で別の場所へ遠出している。ゆみと桃子は
連れ立って電車に乗った。行き先は、海である。
第7巻に収録されているエピソードは第17話、
第18話、第19話で、県予選の団体戦決勝、
大将戦が描かれています。そのためゆみの出番も
多くなっています。
その本編から続いてこのピクチャードラマを見ると、
ゆみの語り口が少し違っている感じがしますね。
アニメでは、桃子といる時の口調は何か声の
トーンが高くてふわふわしているようで、それが
ドラマの方になると、ちょっと風格のある、
威厳のこもったしゃべり方になっているように
思えます。
ドラマの設定時期は、県予選が全試合終わった後
らしいです。団体戦でも個人戦でも全国大会出場の
権利を獲得できなかった鶴賀学園では、麻雀部の
3年生、ゆみと智美は引退している、という状況に
なります。
これを考えてみると、ゆみと桃子は部活の先輩
後輩の関係から一歩立場を変えた、とも言えそう
です。学年は2つ違うけれど、ゆみと桃子は2人の
女性として対等な位置づけになった、という
ような。
そうなった時、2人はそれぞれ相手に向かって
どういう態度をとるのか、、、そんな部分がこの
エピソードでは見られる気がします。ゆみの厳かな
しゃべり方も、実は、桃子に安心してもらって
頼ってもらうための、彼女なりの態度の示し方
なのかもしれません。
桃子の方はというと、ゆみとの距離をかなり
縮めている感じですね。アニメ本編中だと、特に
最初の頃は、ゆみを先輩として立てているのか、
少し離れて後ろを歩く、みたいな姿が見られた
気がします。それが県予選を通じてだんだんに
ゆみとの思いが重なり合い、やがては遠慮したり
する事なく近づけるようになったのではない
でしょうか。
、、、ていうかもうラブラブですよね。智美達の
目がないのも手伝って、桃子はかなり積極的に
なっています。ゆみにぴったり寄り添うので、
必然的に上目遣いになって相手を見上げます。
彼女のその視線に、ゆみは常に照れてしまって
いるのでは。
そんなゆみを見て、桃子はさらに愛しさを
爆発させているようです。「かわいいっす!」、
「かわいすぎ」と連発していて、あれこれかまって
います。この人にならついていける、と決めた
女性であっても、かわいいものはそうとしか
言いようがないのでしょうね。
こういう部分が、2人の立場が対等になって
きている事を示しているようにも感じられます。
2人をしばりつけるようなしがらみはもうなくて、
どちらもためらったりせずに思ったように近づいて
いけるようになっているのではないでしょうか。
桃子からゆみへの呼び方はまだ「先輩」ですけれど、
この辺りを彼女達がどうするのか、といった所も
エピソードになったりするかも。最初に相手を
呼んだ時の言葉だからずっと「先輩」という言葉
を大事にするのか、それとも2人が新しい関係に
なるのをきっかけに名前で呼び合うとか。ちなみに
名前呼びで言えば、アニメ本編の第18話の回想
場面で、華菜が美穂子に名前で呼んでくれるように
お願いしてました。その願いは見事に叶って、今の
2人の関係になっているようです。さらに第25話
では、咲と和がお互いの呼び方を改めていました。
こちらはもう2人とも照れて真っ赤になりながら、
お互いを名前で呼び合う所が初々しかったですね。
ゆみと桃子もいつかそうなったりするのかな?
まあそこまでは語られていないわけですけれど、
この第5話では彼女達の親しいふれあいが
描かれています。海へ行った2人のしている事
なんて正に恋人同士のような雰囲気。麻雀部の
5人で行った時には彼女達はこんな風には
しなかったのでしょうね。ゆみは部長っぽく
振る舞い、桃子はできるだけ目立たないように
フェードアウト気味だったり。2人きりだから
こんな表情にもなれるのでしょう。
さて海で遊んだら、後は帰るだけ、、、と思ったら
その先がありました。次の場面では2人で食事
をしているのですが、畳部屋のような場所で
目の前にお膳が置かれ、2人とも旅館の浴衣姿の
ような出で立ちです、、、! お泊まりですか?
彼女達のラブも本格的(?)になってきてますね。
この場面でも2人はかなりいちゃついています。
厳かなしゃべり方をしていたはずのゆみも、桃子の
アタックにめろめろで声がうわずってしまうほど。
彼女達にはより仲良くなっていってもらいたい
かもです。
電車で移動している時、桃子が、最近自分の
周りに起きた変化について語っていました。
どうも彼女独特の影の薄さが和らいできている
みたいです。
これは桃子にとって喜ぶべき事なのでしょうか、
それとも惜しむべき事なのでしょうか。彼女は
小さい頃から存在感が薄く、やがては自分から
周りとのコミュニケーションをとらなくなって
いきました。麻雀での彼女の得意技は「ステルス
モード」です。自分の存在を極限まで消し去る
事で、相手に自分の手を読ませず、有利に対局を
進める、というものです。桃子はこの能力を
生かして試合に勝ち続ける事で、少しでも長く
ゆみと一緒にいられるようにと懸命になって
いました。
その力が弱まっている、、、。これは桃子に
とってあってはならない事態なのでは、とも
考えられそうです。
でも本当はそうではないのでしょう。確かに
県予選では、桃子のステルスが大きな威力を
発揮していました。が、もともとゆみが望んで
いたのは、存在感とは関係なく、ネット麻雀
越しに見た、桃子が本来持つ麻雀の腕だったの
ですよね。だからステルス能力が失われた
としても、ゆみから桃子への評価は変わらず
高いものなのでしょう。
それに、これは以前別の記事に書いたかも
しれませんが、桃子にはゆみ以外の人ともっと
交流を持った方が良いのでは、という感じも
あります。ゆみに出会い、手を差し伸べられた
事で、桃子は色のない、沈んだ世界から踏み出す
きっかけをもらえました。
けれど今のままではまだ、彼女は皆のいる
世界で生きる喜びを感じているとは言えないの
では、とも思えます。これまでなら、桃子は
ゆみさえ隣にいてくれれば他に何もいらない、
誰にわかってもらえなくてもかまわない、と
考えていたかもしれません。でもそれだけだと、
ゆみと彼女の関係はまだ弱いもののような気が
します。
ゆみ以外の人達とふれあう事で、桃子は
もっとたくさんの感情に気づけるようになるの
ではないでしょうか。そうすれば、世界の中で
自分の力で生きていける力を手に入れられるの
かもしれません。
では、もし桃子が独り立ちできるようになった
として、それは、2人が離ればなれになる事を
意味するのでしょうか? たぶん違うのでしょう。
桃子にとっては何があっても一番はゆみなの
でしょうし、ゆみも、桃子の存在をこれまで
ずっと意識して目で追ってきていたはずですし、
これからも彼女の存在を感じ続けたいと思って
いるのでしょう。
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