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2010年1月21日 (木)

にじぷり 第17話

 麗香の言葉に取り乱してしまう美羽。今までの
彼女は麗香のそばにいられる事が喜びだったとも
言えそうですが、それが失われてしまう可能性が
急に高まってきます。けれどそれより重いのは、
麗香にとって自分がどういう存在なのかわからなく
なってしまった事の方なのかもしれません。

 Webコミック誌「WEBコミックハイ!」で、毎月
20日に更新されている、橘あゆんさん作
にじぷり」の第17話です。
 学園祭の会場で、美羽は麗香から衝撃的な事実を
知らされる。麗香が海外留学のために虹ノ丘を離れる
つもりだという事、しかも進級してからではなく
今年の年末にでも日本を発つ予定らしい。目の前で
こともなげに言う麗香を見て、美羽はつい彼女に
強く当たってしまう。

 麗香にはこれまで全く理解されていなかったみたい
ですが、美羽は確かに麗香の後を追いかけて、虹ノ丘
に入学したのですよね。何とか彼女と同じ寮に入る
事ができて、麗香の同好会(「新堂経済研究所」ですね)
に誘われたり、せんべいの新商品をプレゼンしたり、
夏の海へ遊びに行ったり、、、。他の寮生達よりは
かなり近くに麗香の存在を感じられていたようです。
 その間ずっと美羽は、口には出せませんでしたが
麗香に思いを寄せていました。弾みとはいえキス
されてしばらく勉強が手につかなかったり(その
せいでテストの成績は大変だったようです)みたいな
事もありました。

 美羽も、麗香が自分を愛してくれている訳じゃない、
とはわかっていたのでしょう。告白したりされたり
なんて事もありませんでしたし、キスだって麗香に
とっては挨拶の延長ぐらいのものだと本人や周りから
言われていたようです。それに中学の時の約束も、
というか美羽とどう関わっていたのかについても、麗香
は美羽が入学した後かなりたってから気づいたみたい
です。
 それでもかまわない、と美羽は考えていたのでは、
という気がします。中学の時は男女問わず全校生徒
誰からも憧れられていた麗香先輩と、どんな選択にも
失敗ばかりしてきた自分が、同じ高校の同じ寮にいて、
毎日のように近くにいられる。それだけでも嬉しい事
だと美羽は思おうとしていたのではないでしょうか。
 それに麗香は、「2択で迷った時は面倒を見る」と
まで言ってくれていました。麗香の中で自分が何かの
位置づけにいられる事が、美羽の喜びでもあったの
でしょう。

 その一方で美羽は、いつかは麗香と結ばれたい、
という願いは持ち続けてきたのでしょうね。少なくとも
麗香が3年生になって卒業するまでの時間は、一緒に
いられる。それまでにチャンスを見つけて告白して、もし
受け入れてもらえたらどんなに素敵だろう、ぐらいには
期待していたかもしれません。
 ですが今回、彼女のささやかな望みも、はかなく
失われてしまいそうになっています。麗香と話している
間に、美羽はつい相手に当たってしまい、、、。
 いつもは、個性的でリッチな(?)あやめ寮のメンバーに
比べればおとなしくて一般庶民な(時々突拍子もない
行動をしますけど)美羽。特に憧れている麗香には
ほとんどされるがままの彼女ですが、今回は何かが
違ったようです。自分の密かな願いが消されそうに
なったから、ではないように思えます。中学の時の
約束だけでなく、面倒を見るとまで言ってくれた言葉
まであっさりと流されてしまった事に、美羽は大きな
ショックを受けたのでは、という気がします。
 憧れているからと言って、何をされても許す、
という事は、今回だけはどうしてもできなかったの
でしょうね。美羽は、自分でもわけがわからないまま
行動してしまったのかもしれません。
 後になって冷静に考えて、彼女はかなり落ち込んで
いるようです。誰とも会いたくなくなるぐらいに
ふさぎ込んでいます。

 その姿を見ていたのは葵でした。彼女は美羽の
ルームメイトですし学校でも一緒ですから、相手が
何に喜びを感じたり悲しんだりするのかわかって
いるようです。それに彼女はほとんど最初から、
美羽が麗香を追いかけてこの学院に入学したのを知って
いるのですよね。はじめの頃はあきれてものも言えない
気持ちだったかもですけど、美羽がいつでも麗香の事を
思っているのだとわかって、応援するつもりにも
なれたのでしょう。
 だから今回彼女は、大浴場の場面で麗香にあんな風に
言えたのでしょうね。麗香のあまりの考えのなさに、
先輩であっても怒りを感じずにはいられなかったの
では。

 それでは、麗香はどうだったのでしょう。彼女は
中学の時は、たぶん憶えきれないぐらいたくさんの
人達から慕われていたのでしょう。美羽に「待っている」
と言ったのも、もし本当に虹ノ丘で再会できたら素敵、
ぐらいの意味だったのかもしれません。
 それに、中学から高校へ進学する時に、父親の
経営する「新堂コーポレーション」の関係でもめ事が
あったのも影響しているのでしょう。これをきっかけに、
彼女は中学までの自分を捨てる覚悟をしたようですし。
 だから、自分の昔の姿を知る美羽を、「父親の回し者」
と勘違いもしていました。こういう状況では、美羽が
昔の約束を持ち出しても素直には受け取れなかった
とも考えられます。

 その後いろいろなエピソードを経験して、2人は
打ち解けていきました。麗香は美羽に新しい約束の
言葉をあげてもいます。
 麗香にしてみれば、仲良く学院生活を過ごしてきた
美羽なら、あきらの時と同じように、自分を笑顔で
送り出してくれると思ったのでしょう。留学の事を
一番最初に美羽に言ったのも、親しさの証だったと
言えそうです。
 ところが美羽の反応は、予想もしなかったもの
でした。美羽は本当に自分の後を追ってこの学院に
入ってきたのだと言うし、それにあの怒り方、、、。
麗香には状況がつかめなかったみたいです。
 でも例えば事情がわかったとして、彼女達の関係が
どうなっていくのかが気になります。美羽が自分を
慕ってくれているとわかったとしても、それじゃあ、
と言って麗香が美羽を愛してくれるわけではない
ですよね。それに、今回も含めてこれまでずっと、
麗香が美羽に恋愛感情を感じるような雰囲気は
描かれてこなかった感じです。ここから麗香が美羽に
好意を持つようになるのだとしても、ほとんど一から
始めなければならないような。それだけの時間は
麗香に残されているのでしょうか。

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