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2010年1月19日 (火)

キディ・ガーランド 第14話

 記憶は時にはあいまいになってしまうものですが、
ク・フィーユにはそういう感覚はなかったようです。
では彼女を形作ってきた何年もの記憶が奪われて
いったら、、、本人にはとても恐ろしい出来事なの
でしょう。アスクールの存在が、そんな彼女の不安を
打ち破ってくれると信じたいですね。

 テレビアニメ「キディ・ガーランド」、第14話
出逢いの刻」です。
 喫茶室でいつものようにトレイをひっくり返しそうに
なるアスクール。それをうまくカバーするク・フィーユ
の手際もいつも通りだったが、しかし最近、彼女は
原因不明の頭痛を感じるようになっていた。その時、
アリサとベルが2人をテーブルへ呼んだ。

 冒頭の場面は相変わらずのボケ、ツッコミっぽい
アスクールとク・フィーユのやりとりがありました。
アリサとベルも2人はそういうコンビなんだと
理解しているみたいですね。
 アスクールは基本的に天然ボケみたいな所がある
ように思いますけれど、時々ク・フィーユをちゃかす
つもりなのか、わざと言葉の意味をはずして言って
いる気もします。今回だと急に頭痛を感じたらしい
ク・フィーユに向かって「どうしたの、頭悪いの?」
なんて言っていました。このフレーズは以前別の話数
でも使われていましたね。
 いつもなら、これは天然なアスクールの言い間違い、
ともとれるのですが、その後のやりとりを聞いていると
意外とそうでもない感じです。言われたク・フィーユが
血相を変えて「頭が悪いのはあなたでしょ!」と
切り返すと、アスクールは「ひどぉい、あたしは頭
悪くないよ!」と怒って言い返してました。、、、という
事は、アスクールは「頭が悪い」と「頭が痛い」の区別が
できていてク・フィーユにわざと言っていたのかも。
「ク・フィーユをイジる」事にかけては、アスクールも
いろいろ頭が働くのかもしれませんね。

 そんな彼女達の出会いのエピソードが、今回語られて
います。アニメ本編より前の物語としては、コンプエース
に連載中の、緋賀ゆかりさん作画によるコミック
キディ・ガーランドぴゅあ」でも描かれています。
あちらは2人がESメンバー見習いとしてペアを組む
所からストーリーが始まっていますね。
 アニメの第14話では、さらにその前が舞台になって
います。アスクールとク・フィーユが一番最初に
出会った時の事ですね。

 ク・フィーユは、ESメンバーになるために、成長した
姿で生まれて、既に見習いとして特務を手伝っていた
ようです。アスクールは自分の素性もよくわからない
状態だったらしく、この時はある惑星で用心棒役を
買って出ていたみたいです。
 その頃の2人の雰囲気はというと、ク・フィーユの
方は今とそれほど違っていない感じです。任務を
こなす姿勢には堅さが少しあるかも。それは、まだ
世の中の事を(食べ物も含めて)あまり知らなかった
から、とも言えそうです。
 アスクールの方はけっこう印象が違いますね。見て
いると、、、何というか「捨てられて野良になった子猫」
って感じがしました。他人を簡単に信用しない、
誰からもふれられるのを拒む、どんな難しい事でも
自分1人だけで解決しようとする、という辺りが。
(それと、ク・フィーユのほっぺたをなめる(!)所も
猫っぽかった?)
 もしかしたらそれまでの彼女は、どこの組織にも
属さないで、街から街へ流れながら生きてきたの
かな、とも思えます。自分がどこから来たどんな
人間なのかもわからない(自分が発見された場所
だけは教えてもらえていたようです)状態では、
周りとの距離を感じ場面もあったでしょうし。彼女が
どうやって自分の能力を見つけ、磨いていったのか、
そして自分の腕っ節をどんな風に売り込んで
生活してきたのか、そこには(本人は認めたがらない
かもしれませんけれど)苦労はあったのでは
ないでしょうか。

 やがて2人は出会います。それぞれの立場の違い
から最初は小競り合いみたいになりますが、だんだん
相手の本当の気持ちに気づき始めて、、、。
 それぞれの手を無理矢理結びつける「かせ」がはずれた
後の、2人の手の動きが印象的でした。一緒に行動
した短い間に、お互い離れがたい気持ちになっていたの
でしょうね。彼女達は、拘束するものがなくても
自分達の意志でお互いを近くに感じたいと思ったの
でしょう。

 2人はその場では、特に再会の約束をしたわけでは
ありません。アスクールがGTOに入ると宣言しても
いないし、ましてク・フィーユとパートナーに
なるなんて、言った所で実現するかどうかは自分達
以外の人が決める事なのでしょう。
 でもその時は2人とも、相手と出会えた事に一番の
喜びを感じていたのかもしれませんね。能力の相性が
良かった、というよりは、胸の中の深い部分で自分を
わかってもらえた事、相手をわかってあげられた事が
嬉しかったのでしょう。またそういう人がこの世界に
いたんだと知り、そしてその人が今目の前にいるのも、
それぞれの喜びを増やしているのでは。
 ここから2人が見習いとしてパートナーになるまで
にも、いろいろなエピソードがあったんでしょうね。
それを予感させるような場面でした。

 これだけでなく今回重要なのは、2人の出会いの
記憶が、今のク・フィーユを救っている、という事
なのではないでしょうか。彼女にとってアスクールと
出会った日は、何が起きても輝きを失わない、まぶしい
思い出なのでしょう。それにその思いでは、彼女が
闇から抜け出すための道しるべにもなっているようです。
この先アスクールにもク・フィーユにもピンチは
訪れるのでしょうけれど、お互いの存在を意識する事が、
彼女達自身の救いにもなるのではないでしょうか。

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