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2010年1月13日 (水)

とある科学の超電磁砲 第14話

 涙子達が一つの場所に集められたのは、特別講習の
ためではありました。けれど彼女達がお互いに近づき
自分自身の言葉で相手と話す事で、教室で勉強したり
先生から教えられたりするだけではわからない何かを、
自分達で見つける、または予感する事ができたのでは
ないでしょうか。

 テレビアニメ「とある科学の超電磁砲(レールガン)」、
第14話「特別講習」です。
 美琴と黒子は、休みに4人で何をして遊ぶか計画を
立てていた。そこへ飾利がやって来るが、涙子は
一緒ではない。理由を聞くと、涙子は休日にも
かかわらず「特別講習」を受けるためによその学校へ
行っているのだという。その講習は、複数の学校から
何人かずつ生徒を集めて行われるものだった。

 最初に特別講習と聞いて、「学園都市」ではそういう
ものもあるんだぐらいに思っていたのですけど、途中で
アケミやマコちん、むーちゃんが合流してきて、
これは、という感じがありました。そんなわけで
今回は涙子の気持ちの動きがメインになっていて、
第12話までの事件の関係者が登場してきています。
 涙子達は、「幻想御手(レベルアッパー)」を使った
人達1人1人を知らなくても、この特別講習に
集められたのがどういう人達だったのかは何となく
最初にわかったようです。他の友達が夏休みのさなか、
自分達だけが学校で勉強をしている。それもレベル
アッパーで不正に能力レベルを引き上げた人達ばかり、
つまりは元のレベルが低い生徒達ばかりが一つの教室に
集められています。
 こういう状況では、この特別講習が「罰」だとしか
思えなくても仕方ないかもですね。レベルを上げる
ためにずるをした自分達に下される評価なんて
それしかない、と。

 けれど本当の事情はちょっと違っていたようです。
涙子達は授業を受ける内に、これまでとは別の考え方を
持つようになっていったみたいです。小萌や愛穂
といった先生達から教わった事も関係はしているの
でしょう。でもそれよりも、生徒達同士のふれあいの
中から、気持ちを切り替えるための大きな原動力を、
お互いに与えていたように感じられます。

 涙子は、ずっと文通していた省帆と久しぶりに
再会します。相変わらずの省帆のテンションに、涙子は
ちょっと引き気味、、、。ですが、2人で話している
間に、自分も相手もこの日の講習について同じような
気持ちでいる事に気づきます。
 また、体力トレーニングの後の場面。「姐御」の
文句に涙子が反論して2人はにらみ合いになりますが、
涙子の態度を見て、相手はその考えを理解してくれた
ようです。この事は同時に、その場にいた全員、
アケミ達だけでなく省帆にも影響を与えたのでは
ないでしょうか。

 涙子は、レベルアッパーを使ってはしまいましたが、
基本的に真面目でまっすぐな女の子なのでしょうね。
省帆との約束を守って手紙を書いていますし、体力
トレーニングの授業でもさぼったり手加減したりせずに
持久走を続けていました。(それにこれまでにも、
第1話第9話で、困っている人達を救おうと

精一杯の努力をしていました。)
 彼女は、この日講習に来る道の途中から、ずっと
考え込むような表情を見せていました。自分のした事の
何がいけなかったのか、どうすれば良かったのかを、
彼女なりに一生懸命考えていたのでしょう。だからこそ
一番強くこの講習で何かを感じ取る事ができた、とも
言えそうです。
 けれどそれは彼女だけの力でできたわけではないの
でしょう。第12話で美琴が「AIMバースト」に向かって
投げかけた言葉はちゃんと涙子に届いていたようですし、
何よりこの日、同じようにレベルの低さに苦しんでいた
人達と考え方を共有できたから、新しい何かに気づく
事ができたのではないでしょうか。

 前回第13話では、涙子も飾利もすっかり元気に
なっていましたが、涙子にはまだ越えなければならない
ものがあったようです。第12話が終わったとたんに
きれいさっぱり元通り、ではなく、いろいろと考えている
彼女の姿が見られたのは良かった気がします。
 今回の最後の部分では、涙子が美琴、黒子、飾利の
所へ戻っていくのが印象的ですね。涙子も気分を新たに
彼女達とつきあっていけそうに思えます。それに、
エンディング曲の映像につながっていく演出も良い感じ
でした。
 他にも、省帆や「姐御」など、気になる人達がその後
どうしていたのかがわかって面白かったですね。この
人達も、それぞれの立場でずっと考え続けてきたの
だろうなと思わせる雰囲気でした。

 そして百合的には、、、今回はやはり涙子と省帆の関係、
ですね。最初、教室にいる省帆に涙子が全く気づかないのが
気になっていたのですけど、これは省帆の「ダミーチェック」
の能力、というか存在感の薄さが理由だったようです。
 改めて省帆に気づいた涙子はというと、ちょっと腰が
引けてた感じですね。もしかしたら、2人がやりとりしている
手紙に、省帆が涙子を慕いまくる内容が書いてあったり
したのかもしれません。
 まあでも美琴に対する黒子の態度ほどじゃないみたい
ですし、まだかわいいものなのでは、という気もします。
それに省帆にしても、たぶん女の子に好意を持ったのは
初めてなのではないでしょうか。だからどんな風に接したら
いいのか、省帆自身うまく答えが出せていないのかも。
 なのでこの点については2人とも初経験なのでしょう。
ですから焦らずに、それこそ「お友達から」始めても良いの
では。

 手始めとしては、手作りお弁当(しかもとてもおいしい)
を一緒に食べる、というのは素敵ですね。省帆はこの日、
特に涙子に食べさせようと思って作ってきたわけでは
なさそうですから、省帆の手際が普段から良いとわかって、
涙子の中ではポイントが上がったとも言えそう?
 それに涙子は、省帆との関係の中で新しい感覚を経験
したのでは、と感じられます。それは「慕われる」という
感覚、、、。年下の家族とかにではなく、他の価値観を
持った誰かに思いを抱かれるのは、涙子にとってこれまでに
なかった事かも、と思えます。
 自分を見ている人がいる、というのは、責任感を
感じたりもするでしょうけれど、自分を思って胸を
温かくしてくれる人がいる、と知るのは、ちょっと
くすぐったいようなうれしさもありますよね。そんな
感覚が、涙子をより優しく、強くしてくれるようにも
思います。
 今回省帆は、涙子以外の人とは話そうとしません
でした。教室ではできるだけ存在感を薄くしていて、
また涙子が他の友達としゃべっている時には間に
入ろうとはしませんでした。
 この振る舞いは、涙子や他の人達を立てている、
とも考えられそうですが、他の言い方をすれば
引っ込み思案だとも思われます。省帆は、涙子さえ
自分を見ていてくれればいいと言うかもしれません。
けれど彼女にも、涙子にとっての美琴や黒子、飾利
のような立場の人達が増えれば、学生生活がもっと
楽しくなると、涙子から教えてあげるのもいいかも
ですね。そういう積み重ねがあった上で、涙子と省帆が、
飾利達とはまた違った関係を築く、という場合も
あり得るのでは、という気がします。

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