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2010年1月18日 (月)

とある科学の超電磁砲 第15話

 新しい登場人物に、新しい謎、、、次の物語
が始まる予感ですね。けれど根底にあるのは、
能力の高い者と低い者との意識の差、みたい
です。もしかしたらここでも、美琴と涙子達の
関係が重要になってくるのかもしれません。

 テレビアニメ「とある科学の超電磁砲(レールガン)」、
第15話「スキルアウト」です。
 ビルの陰、光子が柄の悪い男共に取り囲まれて
いる。レベル3以上の能力者しかいない常盤台の
学生である光子はそれでも余裕の態度だ。おもむろに
反撃に出ようとするが、そこで突然奇妙な音が
鳴り響いた。するととたんに彼女は力を失い、
思わずその場にかがみ込んでしまう。

 能力のレベルが幾つなのかにはあまり関係なく、
学園都市には何だかけんかっ早い人が多いような
気もしますね。美琴なんてそのナンバー1
みたいな所もありますし、「スキルアウト」に
限らず街にはごろつきがけっこういて騒ぎを
起こすのが日常的になっているような。それに
光子のような「お嬢様」でも、常盤台の生徒で
あれば能力の高さを自覚しているみたいで、
風紀委員に頼らなくても自分の腕で問題を
解決しようとする傾向があるようです(とはいえ
絹保や万彬はあまり戦いには積極的ではなさそうな
イメージがありますね)。
 本編中で誰かが言っていたように、学園都市
での生活は弱肉強食、とも考えられそうです。
学校での評価は能力レベルが絶対的で、レベル
が低い生徒は高い生徒に対する劣等感を持って
いるようです。
 レベルの低い生徒に対して、学校の側から
具体的な扱いの差が出ているのかどうかは
よくわかりません。少なくともこのアニメ
シリーズの中では今の所そういう描き方は
なかったような。けれど学園都市側も、単純に
システムスキャンを行ってレベルが低い人間を
低いと決めつけるだけでは、何か足りない気も
します。レベルが高くても低くてもそれなりの
対応の仕方はありそうですけれど、、、どういう
方針で生徒を受け入れているのかは、上層部が
考えを持っているのでしょう。そしてそれは
必ずしも教育のためではない可能性もありそうで。
「幻想御手(レベルアッパー)」の事件の時に
春生が美琴に言っていたような隠された事実が
あるなら、いずれはその部分も明るみに出され
なければならないのでしょう。といってこの
シリーズでそこまでカバーされるのかどうかは
何とも言えなさそうです。

 能力開発に絶望して「ストレンジ」をたまり場に
するようになった人間達は、能力者達を襲って
倒す事に喜びを見いだしているようです。そう
させる原動力は、実は「能力への憧れ」、、、これは
皮肉のようなものなのかもしれません。自分も
能力を持ちたいという希望と、システムスキャン
の結果という現実とのギャップが大きいほど、
(人によりますが)劣等感が強まっていっている
ように見えます。
 レベルが低いとされる人達がした事はというと、
「レベル『アッパー』」で自分の能力を上げるか、
「キャパシティ『ダウン』」で相手の能力を下げるか、
といった行為のようです。そこまでしても、自分
達の位置づけを手に入れたいと考える人達がいる、
という事みたいですね。
 けれど問題は、手段を選ばずに同じ位置づけに
立てたとしても、その時その人達がどうするか、なの
でしょう。そこで本人達の本当の価値が問われるの
かもしれません。

 今回は、鍵になりそうな新しい登場人物の男女が
現れていますね。しかも2人とも美偉がらみらしい
です。彼女を含めた3人の間にある過去が、これから
起きるかもしれない大きな事件を解決するヒントに
なるのかもですね。
 となれば美琴が男の方をつい向いてしまう可能性は
低そう? 作中でも体の事を言われているのに特に
何も思わなかったようですし。それにこの男性、
腕っ節は強いみたいですけれどどこかツッコミ所の
ありそうな雰囲気が。物語のオチの付け方がコミカルに
なる場合も考えられそうです。

 登場人物といえば、オープニングとエンディングの
曲と映像が今回から新しくなってますね。オープニング
では、春生や小萌などの姿も見えます。春生とかは
もうほとんど出てこないのかなと思っていたの
ですけれど、この分では重要な情報を持って美琴達の
前に姿を現しそうです。
 曲の担当は、前から引き続きfripSideとELISAさん
です。前の曲も今度の曲も良い感じですね。
 曲と一緒に流れる映像では、美琴、黒子、飾利、涙子
の4人のつながりが変わらず表現されています。
第2クールでも彼女達が育てていく絆の強さを
見られるのではないでしょうか。

 彼女達の関係は、まだまだ発展途中なのかな、
という気がします。ファミレスで4人が話し合っていた
場面とかは、彼女達それぞれが抱える、割り切れない
部分を表していたように思えます。
 「警備員でも風紀委員でもないのに力を行使する」
人間の代表格みたいな美琴と、「自分にできる事を
やろうともしないで現実から逃げてる」と言われても
仕方のない事をした涙子。一般的に見れば、2人とも
あまりほめられるような素行はしていない感じです。
でも彼女達がそこに至るまでには、いろいろな苦しみや
選択があったのでは、と思われます。良くない事は
良くないですけれど、それをどう変えていけるかで、
自分の行く先を良い方向へと導いていけるの
かも。
 それともう一つ、レベルの高い人間と低い人間は、
永久に分かり合えないものなのか、という命題も
ありますね。学園都市の中では、レベルの高い人間の
一部が低いレベルの人間をさげすんだり、低い人間の
一部が高い人間を襲ったりという状況はあるようです。
でもすべてがそんな構図になっているわけではない
ですよね。
 美琴はレベル5、涙子はレベル0、2人はこんなにも
両極端な位置にいます。けれど、一緒に買い物を
したり遊んだりしていますし、時には苦しみや喜びを
分け合ったりもしています。(それともう一つ、
涙子と省帆の組み合わせもありますね。省帆は涙子より
レベルが上ですが、涙子は十分省帆の救いになって
あげられているみたいです。)
 美琴と涙子の間はまだちょっとぎくしゃくしている
雰囲気もあります。美琴が別に悪気ではなく言った
言葉が、涙子にはちょっと重い内容だったり。
 けれど涙子はため込んだりせずに早めに自分の
気持ちを言い返しています。こういうやりとりを、
あきらめないで続けていけば、お互いにより深く
理解し合えるのかもしれません。
 美琴にも涙子にも、それを続ける意志はあるはず。
なぜなら彼女達はお互いを大事な友達だと考えて
いるでしょうから。彼女達に黒子、飾利が加わる事で、
4人はもっと親密になっていけるのでは、という
気がします。そしてこの後彼女達の関係がどうなって
いくかが、学園都市全体の未来の姿を描いている
ようにも思えます。

・「とある科学の超電磁砲」レビューリストレビューセンター

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