ささめきこと 第13話
何日か一緒にいられない、電話をかけられない、
そう考えただけで、こんなにも恋しくなっている。
相手を強く思う純夏だからそんな気持ちになって
しまうのでしょう。では汐はどうなのでしょうか?
今回は女子部のメンバーをはじめ他のクラスメイト
達が登場してこない事で、2人の間に流れる空気が
より色濃く描かれているような気がします。
テレビアニメ「ささめきこと」、第13話
「その十三 CALLING YOU」です。
親の実家へ墓参りに行くため駅にやって来た
純夏は、汐へ連絡の電話をかける。向こうへ
着いたら連絡するから、と言ったものの、実家は
ぼやを出して大騒ぎになっていた。代わりの宿泊
場所として案内された寺は山奥にあり、携帯電話の
電波が届かない。さらに地元の子供達の面倒を見る
事になってしまい、純夏には電話もメールもする
余裕がなくなっていった。
純夏に対する汐の意識って、どんななのでしょうね。
、、、真面目で成績優秀でスポーツ万能な純夏は、
鈍い自分にも嫌な顔一つせず手を差し伸べてくれる。
何か考え込んでいるように見える時でも、すぐに
「何でもない」と言って元気な笑顔を見せてくれる。
だから汐は安心して純夏に頼ったり、問題を一緒に
解決してくれるようお願いできたりしていたの
かもしれません。
それもこれも、純夏がそばにいてくれたり、
電話ですぐに連絡できたから、とも言えそうです。
じゃあ連絡が付かなくなったら、どうなってしまうの
、、、という所で、汐の気持ちの動きも今回の見所
なのでしょうね。
純夏と汐の2人とだいたい一緒にいる、きよりや
朋絵&みやこ、あずさといったキャラが姿を見せない
事も、2人の関係に集中できて良かったような気が
します。アニメ版でも特徴だった落ち着いた色合いの
風景も、夏のエピソードをしっとり描き出していた
感じですね。汐が洗い物を干していて、メールを見る
ために部屋の中に戻る場面での逆光の加減とか、
純夏と子供達が沢遊びをしている場面の木漏れ日の
まぶしさなども雰囲気が出ていたような。
声の方でも、特に汐の感情を表す部分が聞けた
ように思います。純夏から電話がかかってこないのを
待っていて、だったら自分からかければ、と
言われた時の返事「すみちゃんからかけてくるって
言ったんだから!」とか、その後行き先を聞かれて
「、、、図書館!」と返す辺りの間とか。どちらも即答
じゃなかった所からすると、汐は相当気持ちが揺れて
いるのでは、と思えます。
その頃の純夏は、いとこの清香(さやか)と久しぶりの
再会をしています。(この部分、Webラジオでは、
「ここで新キャラ?」と驚きで表現されていました。)
清香は、沢遊びの時、ちょっと大人っぽい水着を。
高校生になった純夏は、都会にもいるしおしゃれに
気を配っているに違いない、と考えてのセレクト
だったのかもですね。
清香は、純夏の恋愛関係が気になっているみたい
です。彼女は、年上の人達の恋愛がどういうもの
なのか気になっているのでしょうか。それとも、
気になるのは純夏本人? 百合的には、純夏への
愛情があるのを期待したい所です。が、清香は、
純夏が電話をしきりに見ているのにも気づいています。
それが何を意味しているのか事情がわかったら、
彼女はどんな風に感じるのでしょうね。早ければ、
夏祭りの会場で、電話で話す純夏の姿を見て、何か
思うのかもしれません。
純夏から電話がかかってくるのを待つ、という
格好になった汐。ですが、街の人々や風景を見るに
つれて、不安と寂しさが高まっていきます。やがて
ついに自分から電話をかける事に。
汐としては、純夏がどうしてしまったのか心配に
なったから電話をかけようとした、という気持ちが
最初にはあったのでしょう。何しろいつでも自分に
優しく手を差し伸べてくれていた純夏から、約束
だった連絡が来ないわけですから。
でも少しずつ、汐のその思いは変わっていったの
かも、という所を期待したいです。汐は何度も、
純夏に電話をかけています。その理由が、単に
純夏が無事かどうか知りたかっただけなのではなく、
汐が純夏という女性を求めていたのだと気づく事が
できたなら、汐の思いと純夏の思いがつながって、
物語は新しい舞台へ進んでいけるような気がします。
今回のエンディング曲の後では、純夏と汐が
2人でいる場面が描かれています。いつも通りの
純夏を見る汐の表情には、何か自分の中にある
新しい気持ちを知ったのでは、と思わせる雰囲気が
ありますね。また、第11話で重要な意味を持って
いた言葉を、汐は口にしています。
2人の夏はまだ続くのでしょう。そこでお互いが
相手を思う気持ち(周りにはばればれかもしれません
けれど)が、彼女達を親友以上の関係へと結びつけて
いくようになると良いですね。
、、、といった感じで、彼女達の間に愛が芽生える
雰囲気を予感させるような形になっていたのでは、
という気がします。ストーリーの運び方はほぼ原作
コミック通りで、第2巻までが描かれていますね。
原作はこの後も続いていて、第3巻ぐらいでは純夏の
気持ちは相変わらず汐にはほとんど伝わっていない
みたいです、、、。でもアニメでは「CALLING YOU」
までを描く事で、2人が結ばれる未来をほんのりと
予感させていて、百合な恋愛的にも良い感じになって
いますね。
このアニメ作品は、原作のエピソードにあまり
手を加えずに制作されていますが、キャラや背景の
絵柄、色合い、それに音楽などによって、落ち着いた
雰囲気を醸し出しています。キャラ達は突飛な行動や
ギャグな表情を見せたりしますが、この演出によって、
女の子同士の恋愛という切ないテーマがしっとりと
描かれていたように思います。
他にもオリジナルな要素が見られる部分が何個か
ありました。第12話は1話まるごとオリジナルの
エピソードでした。それと第1話で純夏達が読んで
いた本とか。純夏は「『風』立ちぬ」を持っていましたし、
汐は図書室で「『雨』月物語」を見つけています。
それぞれ「『風』間汐」と「村『雨』純夏」を連想させる
タイトルですね。それに、本当なら第3話で出てくる
はずのキスシーンを第1話の一番最初に持ってきたのが
良かったですね。この作品が女の子同士の恋愛を中心に
進んでいくのだと確認(?)する事ができました。
後は今回の作中で、純夏と汐の間で連絡が取れるか
どうかという場面もありました。ここは原作の方でも、
2人の距離の遠さと気持ちの近さを表すような
感動的な描き方になっていました。アニメでも、
2人が見る風景があまりにも違っている事を示し
ながら、彼女達はその風景の先にいるはずのお互いを
見ようとしているような視点が描かれていました。
これはこのアニメらしい表現の仕方なのかもですね。
原作のある作品だとついそちらとの差が気になって
しまうのですけれど、今回はできるだけその辺りを
考えずに見るようにしていました。また作品自体も
その差が気にならないような作りだった気がします。
さて作品としては、この次があるのかどうかも
気になる所ですね。このシリーズでは原作の1話が
アニメの1話に対応するという、他ではあまり見ない
形式だったように思います。原作の第2巻までが
今回のシリーズで描かれていて、今発行されているのは
第5巻まで。という事はこの形式なら1クールや
2クールぐらいはアニメが制作できちゃうようにも
思えるのですけれど、、、どうでしょうね。もし続きが
作られるなら、この落ち着いた雰囲気の中で百合な
恋愛模様をたっぷりと描いていってもらいたいかも
です。
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