コミックアンソロジー「百合少女」 前半

　学園ものを中心にした、割と王道な雰囲気の
舞台設定だったりしますが、ちょっとした
ひねりが加えられていて楽しめる作品が多い
ような気がします。少なくともこの前半では、
表紙や口絵の甘く優しいテイストが全体的に
漂っているようです。

　発行コスミック出版、キュンコミック
リリータイムシリーズとして発行された、
百合コミックアンソロジー「百合少女」を
見てみました。判型はA5、参加されている
作家の方は12名で、その内10名がコミックを
執筆されています。
　表紙の担当は早瀬あきらさんです。表紙画像
は出版元の商品紹介のページにも載せられて
いますね。別の記事でも書きましたけれど、
２人の女の子のふれあいから、愛しさや
ときめきのようなものが感じられます。
　また口絵のカラーイラストは、甘味屋涼さん
が担当されています。同じ制服を着た２人の
女の子が背中合わせに立っていますが、
彼女達の小指は赤い糸で結ばれていて、、、。
振り返ってお互いの顔を見つめる表情に、
恥ずかしさや相手への興味がうかがわれる
ようです。
　掲載コミックの方も、この雰囲気をキープ
した感じで、甘く切ない、そして優しさも
あるストーリーが多いようです。、、、って
実はまだ半分しか呼んでいないので後半が
どうなっているのかはよくわからなかったり
します。が、このテイストは全編にわたって
楽しめるのではないかという気がします。

　では収録されているコミックについて一部
ご紹介、、、。

（・作品名（作者名（敬称略）））

・見つめていたい（四位広猫）
　凉（すず）は最近、さやかとの間が疎遠に
なっていた。中学からずっと一緒だった２人
にしては珍しいと周りも気にするほどだが、
凉はどうしても以前のようにはなれずにいた。
　２人の間に起きた事、これは彼女達だけの
秘密なわけですが、読者の側にも何があったのか
を見せずに物語を展開させていくのは面白い
ですね。女の子が女の子に対して抱く恋愛感情
を受け入れられるのかどうか、見ている側にも
その切なさが伝わってくるようです。

・タナカチハルのひそかな願望（井上眞改）
　チハルは友達のサトコに密かに恋愛感情を
抱いている。だが近頃のサトコは、チハルの
姿を見かけるたびに避けるようになっていて、
友達としてさえつきあってはくれない。
　相手が自分の事をどう思っているのか、、、と
いうのは、女の子同士の恋愛に自信を持てない
チハルには悩みなのでしょう。サトコが誰かに
好意を持っていると聞いてもショックを受ける
ばかりで。彼女を後押しするのは、周りの
人達の優しさなのでしょう。
　この世界観は、、、「Tokyo Pop」や、百合姉妹
に掲載されていた「Pops」と近い感じがあって
楽しめますね。チハルやサトコだけでなく、
カヤハラ部長やトーマ、マキまでが百合な
気持ちを持っているのは頼もしいかもです。

・小悪魔的コーフクのススメ（日高ジョー）
　親戚がしばらく留守にするため、その家の
小学生の女の子、ちなと一緒に留守番をする
事になった千夏。実は彼女は小さい女の子
との妄想を日記に綴るのが趣味だった。
　無防備なちなの仕草の一つ一つに、千夏は
めろめろになってますね。自分の妄想癖を、
友達には隠さずに話し、日記まで見せている
彼女は、けっこう楽天的な人なのかも？　千夏は
ちなを愛でられればいいみたいですけど、
ちなの方はどういう気持ちなのでしょう。

・スキスキス（北尾タキ）
　恋をしてるかも、と専門学校のクラスメイト
達に話す千鶴子。だが相手が女性だと聞くと
皆つまらなそうな反応をする。その中で裕子
だけは、千鶴子の言葉に真面目に答えた。
　同じ言葉でも受け取られ方は違う、、、。
千鶴子は友達の反応を見なくてもそんな事は
わかりきっているつもりでいたのでしょう。
裕子のように真面目に答えてくれる人だって、
同じように考えているはず、とあきらめて
しまってはいけないのかもですね。

・花筐（はながたみ）（未幡）
　後輩の女の子達から憧れのまなざしを一身に
受ける加賀。彼女は誰からも好意を寄せられて
いて、自分でもその状況を否定しようとしない。
雪峯も、加賀を取り巻く少女達の１人だった。
　学校の中では、自分を含めてすべての人間が、
自分を美しいと考えている。加賀は、うぬぼれ
とかではなく淡々とそう思っているようですね。
その立場から見れば周りの女の子は皆同じらしい
ですが、雪峯にだけは違う気持ちが働いている
ようで。加賀はここから本当の百合に目覚める？