真・恋姫†無双 第10話
自分に妹ができる事を、朱里は望んでいました。
それは漠然とした思いで、特にかなう当てがあった
わけでもありませんでした。ところが今回予想
しなかった形で、彼女の願いが現実的になってきます。
でも、より強い気持ちで姉妹を求め、待ち続けて
いたのは、実は相手の方だったのかもしれませんね。
テレビアニメ「真・恋姫†無双」、第10席
「孔明、妹を欲するのこと」です。
愛紗(関羽)の姉になると宣言した桃香(劉備)は、
姉らしく振る舞おうと愛紗にかいがいしく世話を
焼く。そこへさらに、愛紗と契った妹である鈴々
(張飛)が甘えてきてちょっとした騒ぎに。星
(趙雲)は呆れ気味だったが、なぜか朱里(孔明)は
切ない表情で彼女達を見ていた。
愛紗達とはまだ本格的に関わり合いになって
いませんけれど、張3姉妹の方では何か陰謀が
動き始めているようですね。彼女達のピンチに
鈴々や桃香達が駆けつけて決着をつける事に
なるのかどうか、気になります。
そんな桃香は、前回大胆にも愛紗の姉になると
宣言をしちゃいました。元は愛紗の大きな志に
感動して一緒に「世界をよくするための仲間」に
なろうとした彼女ですけれど、さらに親密な「姉妹」
の関係を望んだようです。
この流れを見ていると、桃香が、愛紗の志だけ
ではなく彼女本人に親愛の気持ちを持ったから
姉妹になりたがった、という心境を期待したく
なってしまいますね。けれど「姉妹宣言」をした
後の桃香の行動の感じでは、そこまでいって
いるのかどうか、まだちょっとわからないような
気もします。
例えば、、、桃香は食堂で、愛紗が食事をする
手伝いをしようとします。この辺りは、お姉ちゃん
だから妹の世話をするのは当たり前、みたいな
風にも見えます。でも、親しさの証として、真名
で呼んでもらうのではなく、「お姉ちゃん」と
呼ばせようとするのは、より近い間柄になりたい
気持ちの表れのようにも思えたり、、、。桃香が
愛紗とどうなりたいのかについては、これから
描かれていく、のかな。
もっとも、愛紗の方は、桃香が姉になる事を
まだ認めたわけではなさそうです。今は桃香の
押しの強さのために言い出せずにいるようですが、
いつかは2人の(鈴々も入れれば3人の)関係を
はっきりさせなければならないのでしょう。
もし仮に、愛紗が桃香を姉として受け入れたら
どうなるでしょうね。桃香は愛紗の曖昧な態度に
やきもきしているみたいですけれど、愛紗が本当に
「お姉ちゃん」と言ってくれたら、どんな気持ちに
なるか、、、。
やっと姉妹関係を認めてくれた嬉しさが一番に
あるとして、その後やって来るのは、責任感なの
かも、という気もします。最初は「妹がもういる
なら姉に」といったシンプルな考えだったかも
しれません。けれど姉として頼られた時、彼女の
中にあるリーダーとしての天性みたいなものが
呼び覚まされるかも?
後はやはり愛にも目覚めてもらいたいですね。
見ず知らずだった2人が姉妹の契りを交わしたの
なら、それは普通の姉妹とも仲間とも違う、
特別な関係なのではないかと思えます。愛紗と
鈴々も固い絆で結ばれていますけれど、それとは
また少し違った絆の形を見せてもらいたいかも
です。
そういえば、桃香には星、、、じゃなく「華蝶仮面」
という憧れの人がいましたね。彼女がここで
現れたら桃香はどういう反応を示すでしょうか?
今回それが見られるのかも、と思ったら、華蝶仮面
はフラッシュCMの方に間違えて(?)出てきてしまった
ようです。
さて朱里は、、、桃香、愛紗、鈴々のやりとりを
見ていて、何かを感じているようです。彼女は、
家族と離ればなれになる前には姉も妹もいた
らしいです。
幼い頃、姉妹達と一緒にいた時の記憶は、彼女に
とってはとても暖かく心地よいものだったみたい
ですね。桃香達の姿が、その頃の自分を思い出させ、
そして今の、姉妹と離れた寂しさを思い知らされる
結果に、、、。気の合う仲間達と一緒に旅をしたり
するのは素晴らしい事に変わりはないのだけれど、
それとは違う何かを、彼女は胸の奥深い部分で
求めていたのでしょう。
はっきり言ってしまえば、妹がほしい、、、聡明な
朱里なら、自分の感覚が何を求めているのかを、
ちゃんと把握できているようにも思えます。
妹がほしい、、、でも自分のそばに家族はいない。
なら桃花村の仲間の誰かと姉妹の契りを結ぶとか?
ですが今の仲間達とそういう関係になりたいわけ
ではなさそうです。
気分が晴れないまま、朱里は、昔勉強を教わって
いた水鏡先生の所へやって来ます。そこで思いがけず
出会ったのは、自分と似たような境遇で、今は
先生の所で勉強している女の子、雛里(鳳統)です。
先生が「妹弟子」という言葉を使った時の、朱里の
喜びはとても大きなものだったのではないでしょうか。
今目の前にいる女の子を、「妹」と呼んでもいいと
言われているようなものですから。夢にまで見た
出会いに、朱里は思わず駆け出していました。
それに、朱里が雛里に近づきたかったのは、雛里が
妹弟子だったからとか、似たような境遇で育って
きたからとか、それだけではなかったのでは、とも
思います。嫌われてもなつかれなくても、朱里は
雛里のそばにいる事をやめられませんでした。朱里
は、雛里という女の子と純粋に仲良くなりたいと
感じていたのでは、という気がします。
考えてみれば、手助けしようとして近寄っただけで
後ずさりされたり、「知らない子」なんて言われたり
したら、朱里にはけっこうショックだったのではない
でしょうか。それでも自分を理解してもらいたい、
いろいろな事を一緒にしたい、と思うのは、朱里が
胸の奥底から雛里を求めていたからなのかもしれません。
自分の真心を相手にわかってもらうのは、場合に
よっては難しいとも言えそうです。けれどできるだけ
そばにいて、いつも自分の気持ちを相手に向けて
いれば、何も通じないなんて事はないのかもですね。
雛里がそれを受け入れてくれたら、朱里にとっても
とても嬉しい事になるのでしょう。
ではその雛里の思いは、、、。今回は朱里の視点で
物語が描かれていますけれど、実は雛里も、彼女と
同じかそれ以上に相手を気にかけていたのではないかな
という気がします。
雛里は、先生の所に来るまで、親戚の家をあちこち
回らされて暮らしてきたようです。彼女の人見知りが
激しいのもそのためなのかも。
それが先生と一緒に暮らすようになって、たっぷり
愛情を注いでもらい、本当の母と娘みたいに生活する
ようになったみたいです。先生は頼りにしてもいい人
だと確信したから、今までとは違って素直に甘える事も
できたのでしょうね。
そんな先生から、雛里は朱里の事をよく聞いていた
ようです。たぶん先生にしても自慢の弟子だったでしょう
から、愛情を込めて、何度も、嬉しそうに雛里に
話していたのでは、と予想されます。
自分と似た身の上で、勉強や料理が得意な女の子。
見聞を広めるために仲間達と一緒に外の世界へ旅立ち
活躍している「姉弟子」、、、。雛里にとっては憧れの
存在だったとも言えるのではないでしょうか。
そうやって朱里の存在を知らされてきた所が、雛里と
朱里の違いだったと言えそうです。朱里は先生の所に
戻らなければ、自分に妹のような存在がいると知る
機会はすぐには来なかったでしょう。一方の雛里は、
朱里に会った事はなくても、どんなに素晴らしい
人なのかはちゃんと教えられてきています。
雛里は、ずっと前から、朱里に会いたいと考えて
きたのでしょうね。自分と同じような境遇だった
女の子がどんな立派な人になれたのか見てみたい、とか、
自分がこれまで抱え込んできた苦しみを同じように
理解してくれるんじゃないか、とか、あれこれ願う
日々だったのかもしれません。
そして本当に、彼女の前に朱里が現れます。突然の
出来事で雛里はうまく挨拶する事ができませんでした
が、胸の中では期待が高まっていたのでは。
でも、予想していなかった事が起きます。今まで
ずっと一緒にいてくれた先生は、急に現れた朱里を
見るなり大喜びで抱きついています。2人はとても
親しそうに言葉を交わしています。
それだけではありません。2人は雛里が知らない、
彼女がいなかった頃の思い出を嬉しそうに語り合って
います。台所の調理道具の使い方も手慣れていて、
どこに何があるかもすべてわかっているようです。
これは、雛里の目にはとても奇妙に映ったのでは
ないでしょうか。彼女から見れば、自分が知る限り
今までずっと先生と2人きりで暮らしてきた家のはず
なのに、今日やって来た女の子が当たり前のように
細かい所まで知り尽くして家事をこなしているわけ
ですから。雛里はかなり困惑していたのでは。
その上、先生は朱里ばかりかまっていて、自分との
約束さえ守ってくれない、、、。雛里は、まるで自分の
居場所が全部朱里に横取りされてしまったような
気分になったのかな、と思われます。
あまりに自分に近すぎるから、そばにいるだけで
自分の存在がかき消される、と恐れたのかも。だから
朱里が親しげに近づいてくると、思わず逃げ出すという
行動に出てしまったのかもしれませんね。
自分に似ている朱里に憧れているのに、自分に
似ているから近づけない、、、。雛里の胸の中には
そんな葛藤があったとも考えられそうです。
けれどもともと似ている2人なら、打ち解ける事は
難しくはないはず、ですよね。彼女達が同じ感情を
お互いに持っていると意識しあえれば、自然に仲良しに
なれるのではないでしょうか。
、、、という所で、今回は朱里だけでなく雛里の
気持ちも見所だったのでは、という気がします。
桃香達とは違う形ではありますけれど、この2人の
絆も強いものになれるのでしょう。真名が似ているのも
彼女達の巡り合わせを示しているように感じられますね。
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