とある科学の超電磁砲 第10話
自分の手の中で生まれた力、、、それはほんの
小さなものでしたが、涙子にとってはとても大きな
喜びだったのでしょうね。この気持ちは、能力者
なら誰でも一度は味わった事があるはず。本当なら
とても素晴らしい経験だったはずですが、、、彼女の
身には危険が迫っているようです。
テレビアニメ「とある科学の超電磁砲(レールガン)」、
第10話「サイレント・マジョリティ」です。
涙子と一緒に公園へ来たアケミ達3人の友達は、
戸惑いながらも自分の能力を発動させていた。彼女達
は涙子が持ってきた「幻想御手(レベルアッパー)」
を使ったのだ。一方の涙子にも変化が訪れていた。
彼女も「幻想御手」を使って能力を手に入れていた。
涙子と同じように「幻想御手」をダウンロード
した飾利と黒子でしたが、彼女達は涙子と違って
それを使ったりはしませんでしたね。黒子は既に
レベル4な事もあってこれ以上レベルを上げよう
という気持ちにはなってないのかもしれません。
飾利は、レベルを上げて黒子に仕返しを、、、なんて
考えが浮かんでいたようですが、まあ本当に使う
気にはなっていないみたいです(ところで飾利は
黒子に何をされたんでしょうか?)。
危険なアイテムだという事は黒子、飾利、涙子の
3人とも一応わかっていたはずですが、彼女達の中で
これを使ったのは涙子だけという状況なのですね。
この違いはどこから来ているのでしょう、、、。
使った人間がことごとく昏睡状態になるなんて
知らなかった、というのは大きいのでしょう。
でもそれ以上に、どうしても力を手に入れたい
気持ちが強かったのかもですね。
「憧れ」という言葉を涙子は使っていました。
小学生の頃の彼女は、純粋な思いで超能力に憧れて、
自分もその力を使えるようになりたいと望んで
学園都市に来たのでしょう。飾利達も似たような
思いは持っていると考えられます。が、涙子の
場合は能力への思い入れがより強かったのかも、
と感じられます。
数百万の人口を持つ学園都市で、学生達は
超能力の開発を授業の中で行っています。学生達
は能力レベルで分けられ、レベルが高くなるごとに
人数は絞り込まれ、レベル5の人間は7人しか
いないと言われています。すべての学生が高い
能力を身につけたいと「憧れ」ながら、本当に
そのレベルにまで達する事ができるのはわずかな
人達だけ、という状況です。
高い能力を発揮する上位レベル者は外からは
華々しく見える事でしょう。けれどその陰に、
満たされない思いを抱えている人が大勢いたと
したら、、、。すべての人が自暴自棄になって
「幻想御手」に手を出すとは思えませんけれど、
学園都市としてはこういう「サイレントマジョリティ」
の存在を深く考える必要があるような気がします。
涙子がしてしまった事に対する飾利達の反応は
どうだったでしょう。まず黒子については、今回は
涙子の状態を詳しく知らなかったためか、直接
彼女に対するアクションはあまりしていない感じ
でしょうか。でも親しくしている女の子が危ない
目に遭っているとわかった時、どんな風に行動
するかが、この後見られるのを期待したい所
です。
美琴は、以前涙子と話した事柄がとても気に
かかっているみたいです。今までの美琴は、自分の
前に現れる課題をクリアし続ける事が、生活の
大部分を占めていたようです(ファンシーグッズ
探しも大きいのでしょうけれど、、、)。その事で
無関係な人に迷惑をかけるわけでもなく、彼女は
自分の気持ちに従って自分の腕を磨いてきたの
でしょう。
彼女にとって周りからの評価でしかない「レベル」
は、別にたいした意味を持ってはいないみたい
です。この点については前回の記事でも少し
書いたのですけれど、美琴はやはり本当にレベル
の数字は気にしていないようですね。
たぶんこれまでしてきたのと同じように、美琴は
涙子の前でもさらりと「レベルなんて、、、」と
言えたのでしょう。悪気なんてないし、深い意味も
込めてはいない。涙子をちょっとは励ますぐらいの
気持ちだったかもしれません。
けれど今のような状況に陥って初めて、美琴は
自分が普段からどんな態度で何を言ってきたのか、
改めて問いかけられた形になっているのではない
でしょうか。そして彼女が感じたのは、、、。いつも
なら他の人との関係には割とあっさりした感覚を
持っているように見える美琴も、涙子を深く思いやって
いるみたいですね。
美琴がここでこれだけ相手の気持ちを考えて
あげられているのは素晴らしい事なのでは、という
気がします。彼女が、涙子や飾利、黒子達との
関わりの中で、自分以外の人間との関係を意識し
始めたという事は、この4人のグループというものを
ずっと大事にしていくきっかけになるのかも、と
思います。
そして飾利は、、、やはりいつも一緒にいる仲良し
のクラスメイトですから、涙子の身に起きた事を
聞いて、いても立ってもいられなくなっている
ようです。電話越しでもはっきりわかるほど不安で
心細くなっている涙子を何とか力づけたい、という
気持ちで精一杯明るく振る舞っています。
けれど、あふれる涙を抑える事はできなくて、、、。
今すぐ涙子を助けてあげられない自分の無力さが
悔しいと思う気持ちと、涙子がいつもとは違う弱さを
見せて自分を卑下しているのを聞いて切なくなる
気持ちとが混ざり合った感情だったのかもですね。
この作品のエンディング曲「Dear My Friend
~まだ見ぬ未来へ~」の歌詞には「一緒に泣いていた」
というフレーズがあります。悩んでいる友達を助ける
事もできず、勇気を与える言葉の一つもかけて
あげられなくて、気がついたら自分もその子とともに
泣いていた、という感じなのかも。
そうするだけでは問題の解決にはならないのでしょう。
でも、一緒に涙を流してくれる友達がそばにいる
だけでも、その人にとってはとても大きな支えに
なるはず。飾利は、自分は無力だと思っているかも
しれませんけれど、そういう大事な事をこの場面で
涙子にしてあげられたと言えそうです。
人通りの多い道の真ん中で、拳を突き上げたり
大泣きする飾利の姿は、周りの人達には奇妙に見えた
事でしょう。けど飾利には、そんな事は全然気に
ならないようです。それだけ涙子を大切にしているの
でしょうね。
エンディング曲にあるもう一つフレーズ、「大丈夫」
というせりふも飾利は使っていました。根拠なんて
一つもありはしないのですが、涙子がどんどん
後ろ向きの考えに飲み込まれていくのを何とか
引き留めようとしたのでしょう。
同じ「大丈夫」という言葉を、春生も言っていました。
涙子を心配する飾利に向けてのせりふです。春生の
場合はさすがに専門家でもありますし、それに大人
でもあるため言葉に重みがある感じがしますね。
これを聞けば飾利も落ち着く事ができそう、、、なの
ですが、春生には何か目的がありそうです。
春生が何をしようとしているのかはわかりません。
が、分別のある大人のする事ではなさそうな雰囲気が
あります。となると、実は彼女にも、道理の通らない
わがままな子供のような面がある、という事なの
でしょうか。彼女が持っている感情については
これから明らかになっていく?
という所で今回も前回に続いて涙子、飾利、黒子、美琴
4人それぞれの気持ちと、お互いを結びつける関係が
描かれていた感じですね。悩みを抱えた友達を助ける
ために、彼女達はどう行動するのか、といった流れが
語られています。
なので百合的な見所はあまり多くなかったかも、、、。
黒子は捜査を繰り返す間にけがを増やしていきます
(前回のバトルもかなりこたえているのでしょう)が、
包帯だらけの自分の体を、美琴にだけは見せたくないと
考えているようです。
美琴は、黒子のそういう姿を見たとしても、飾利の
言うようにけがをした事実以上の事は気にしないの
かもしれません。それでも黒子は、自分が弱っている
姿を隠そうとします。そこが彼女のこだわりというか
誇りなのでしょうね。
「お姉様」の目に映る自分は常に元気な自分で
ありたい。何事にも全力でぶつかり未来を自分の手で
勝ち取ってきた美琴のそばにいるには、それに
ふさわしい自分でいなければならない、と黒子は
思っているのでしょう。彼女は自分に条件を付け、
それをクリアし続ける事で、美琴と一緒にいても
いいんだと自分に勇気を与えようとしているのかも
しれません。
それに対する美琴は、、、今までの彼女だったら、
黒子への印象は、嫌いではないけれど周りであれこれ
騒ぎ立てる後輩の女の子、といった所だったかも
ですね。でも今回の出来事で、美琴は、自分がどんな
風に周りと関わってきたのかを思い知らされたのでは
ないでしょうか。その後改めて黒子を見た時、彼女の
胸の中にはこれまでとは違った印象が浮かんだのでは
ないかという気がします。「こんな時ぐらい、お姉様に
頼りなさい」と言ったせりふも、黒子との間で新しい
信頼関係を作りたいという気持ちの表れのようにも
感じられます。
また美琴のこの言葉に対する黒子の答えも良かった
ような。「お姉様、、、」と一言だけ。これまでなら、
こういうシチュエーションになったら彼女は迷わず
美琴に飛びついていた所ですよね。今回はけがのために
過激な感情表現はできなかったみたいです。そのため、
美琴には手を貸してあげたくなる下級生としての
黒子を改めて思い出させたでしょうし、黒子本人
としても、美琴の優しさを素直に受け入れる喜びを
よりはっきりと感じる事ができたのではないでしょうか。
彼女達が、この気持ちを大切にしていくと良さそう
ですね。その先には百合な関係が花開く予感もありそう
です。
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