ストパニの二人語りを再現する作品？

　別のレビュー記事にも少し書きましたけれど、
ストパニキャラの会話の内容がほぼそのまま
再現されていました。こういう仕掛けも
ちょっと良いかもしれませんね。百合についての
イメージが広がる気がします。

　この事は別記事でもふれていますが、面白い
出来事なので独立させて改めて書いてみます。
テレビアニメ「咲-Saki-」は、麻雀で圧倒的な
力量と強運を持つものの、家族との思い出から
麻雀を好きになれない高校１年生の宮永咲が、
同級生で全国中学生麻雀大会覇者の原村和との
出会いをきっかけに、麻雀で勝つ事の意味を
見つけ出し、麻雀部に入部して全国大会優勝を
目指す、という物語になっています。
　また、咲達清澄高校の麻雀部員だけでなく、
他の学校からも魅力的なキャラがたくさん登場
します。そして彼女達の間に、百合な関係が
描かれていくのも、大きな特徴になっています。

　咲と和は、最初の出会いからお互いの事が
気になっていたようです。彼女達は同じ部で
麻雀を打つようになってから、その打ち方の
違いのために対立する事もありました。が、
２人ともそのギャップを乗り越えて強い
絆で結ばれ、一緒に全国大会を目指します。

　それで、気になる描写があったのは、第２４話
「夏祭り」の中です。県予選の団体戦と個人戦
が終わった後のエピソードで、期末テストの
追試を受けなければならなくなった同級生の
麻雀部員、優希のために、咲と和は勉強の
手伝いをします。落ち着いて勉強できる場所を
探して図書館へ行く途中にわか雨が降り出し、
ほとんど人のいない図書館の学習室で、３人
は服を乾かしながら勉強の準備を始めます。

　その時、雨音が響く学習室の中で、ふと
咲が話し始めます。「雨の日に部屋の中に
いると、たまに、世界がこの部屋だけに
なっちゃったような気がする」と言う彼女
、、、。
　どこかで聞いた事のある言葉だな、と
感じたのですけど、すぐに思い出しました。
アニメ「ストロベリー・パニック」で使われて
いたものでした。
　ストパニでは、本編の後に入る次回予告の時、
蒼井渚砂と涼水玉青がストーリー紹介をする、
という設定になっています。第２２話「決闘」の
後の予告の時に、今回の言葉が使われています。

　それも、咲のせりふは玉青が言っていたものと
ほぼ同じ（キャラが違うため言い回しは変わって
います）、しかも答える和のせりふも渚砂の
言葉とそっくりでした。見ていて個人的に
ちょっと感動してしまいました、、、。

　どういういきさつでこの演出になったのかは
よくわかりません。けれど、どちらの作品も
百合な雰囲気にあふれる作品ですし、こういう
つながりが思っていなかったタイミングで
出てくるのは楽しいかもですね。
　以前は別のアニメ作品でも渚砂と玉青と
思われる女の子達が（１カットだけではあります
けれど）登場したりしていました。彼女達とその
物語は、制作する側にも愛されているの
でしょうね。

　「咲-Saki-」と「ストパニ」、２つの作品は、スタッフや
キャストが重なっていたりするためなじみやすい
とも言えそうでしょうか。ちなみにキャストでは、
玉青（＆絆奈）役の清水愛さんは一役の担当で、
渚砂役の中原麻衣さんは照役を担当されて
います。また夜々役の桑谷夏子さんは智美役
を、天音役の甲斐田裕子さんは純役を担当
されていますね。
（そういえば、涼水玉青という女の子について、
愛さんは以前Webラジオか何かで、水のイメージが
あるとおっしゃっていました。髪の色もそうですし、
名前にも「水」や「青」が入っているという事で。
私もこれはわかる気がします。個人的にSSでも
雨のイメージを重ねて書いたりしました。）

　この「雨の日の部屋」のたとえは、ストパニの
次回予告では何話分か続いて語られていきます。
この作品では渚砂と玉青は学園の寮で同室に
なっていて、２人のいる部屋を、玉青は、
海に浮かんだ船にたとえます。２人きりの
船では船長は２人、乗客も２人。彼女達の
航海の先には何が待っているのか、といった
内容になっています。玉青は文芸部所属なので、
こういう文学的な表現ができるのでしょう。

　ストパニでの渚砂と玉青の関係は、、、
咲と和とはちょっと似ているような違っている
ようなつながりになっていますね。咲と和が
この先どういう絆を育てていくのかは想像の
余地のある所だと思います。２組とも素敵な
関係になれると良いですね。