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2009年8月18日 (火)

つぼみ Vol.2

 恋愛のまっただ中というよりは、もうちょっと
淡い感情に包まれた雰囲気の物語が多いような
気もします。「あまくてやさしい」はこういう所
からも名付けられているのかも?

 発行芳文社による百合アンソロジー「つぼみ」の
Vol.2を見てみました(既に次の号が発行されて
いますけれど、、、)。今回の誌面も構成的には
Vol.1とほぼ同じで、306ページの中に多くの
百合作品が収録されています。表紙の担当は
玄鉄絢さんで、前にも書きましたけれど雨の
竹林、鳥居の前、という雰囲気のある絵になって
います。カラーイラストは、「voiceful」などの
作品も描かれているナヲコさんですね。空に
ふわりととけ込んでしまいそうな2人の女の子
の姿がファンタジックです。
 では収録作品を部分的にご紹介、、、。

(・作品名(作者名(敬称略)))

・しまいずむ その2 にゅーすぺーぱー
(吉富昭仁)
 お互いの妹達にそれぞれ恋をしている遥と芳子
は、今日も頭の中で妄想を膨らませている。
その頃妹の舞と桜は、古新聞を使って折り紙
作りで遊んでいた。
 桜と舞のあどけない仕草や行動に当てられ
っぱなしの遥と芳子。下心全開で近づいても
毎回失敗してしまうのは、実は遥達も舞達を
大事にしているからなのでは、という気も
します。妹達も姉達の妄想にはまだあまり
気づいていないみたいですね。

・コブリアワセ 下編(宇河弘樹)
 戦争で亡くなった母の代わりに、その妹の
ミヤコが継母になる。事実を受け入れられない
エリは、軒先で夕闇にたなびく白い洗濯物の中に
たたずんでいた、幽霊のような彼女の姿を見た。
 今回は「上編」とは違って、登場するのは
エリとミヤコの2人だけですね。彼女達の間
にある気持ちに集中できたかもです。でも
この流れは、百合というか親子の愛情みたいな
感じもありますね。歳の近いこの2人なら、
この後発展する可能性もある?

・∞遠点(関谷あさみ)
 京子は、生徒会や部活で活躍していた姉の
敦子を遠く感じていた。当時は「姉になりたい」
とまで思っていた彼女も成長し、姉も嫁いで
いる。ある日、その姉が実家へ戻ってきた。
 妹にとっては姉はいつまでも姉で、幾つに
なっても追いつけた気がしないものなの
でしょうね。京子は敦子といったん離れる事で、
冷静に周りを見て考える時間ができたのでは、
と思います。その結果出た答えは、、、。彼女の
これからの行動も一つの物語になりそうですね。

・エビスさんとホテイさん 第2話
(きづきあきら+サトウナンキ)
 ふとしたいきさつで真代の弁当を譲られた
ちづる。当然の礼儀だからと、「お返し」の
クッキーを渡す彼女の表情は紅潮し、胸は
高鳴っていた。
 真代との間の出来事一つ一つにときめいて
しまうちづるの姿を見れば、恋してる以外の
何ものでもない、って感じがしますね。本人は
そこをどう感じるのか、、、という所で少しずつ
意識し始めてはいるようです。それが具体的
な行動につながるのは、もっと先?

・愛の研究(小川ひだり)
 頭が良くて美しい、化学部所属の純先輩に、
ミカは憧れている。何とか近づくきっかけは
ないかと思案していた所、純が、新薬の
被験者を募集するポスターを貼り出した。
 純と一緒にいられるなら、男になろうとも
ミカにとっては問題なしだったようです。
が、その気持ちは思いもよらない方向へ行って
しまったようで。それにしても純は、最初から
ミカを「モルちゃん」呼ばわりしてますね。ミカ
の思いが通じるにはまだ何かが必要かも?

・「つぼみ」レビューリストレビューセンター

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