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2009年8月22日 (土)

大正野球娘。 第7話

 小梅は、困っている人を放っておけない性格
みたいですね。でも自分の体は一つですし、
誰にでも手を貸していると、その内大変な事に
なってしまいそうです。そして晶子の方も、
だんだん自分にとっての小梅の大切さに気づき
始めているようです。

 テレビ放送中のアニメ「大正野球娘。」、第7話
麻布八景娘戯(あざぶばっけいむすめのたわむれ)」
です。
 夜の闇が辺りを包む頃、辻を歩く野球部の
中学男子を呼び止める者があった。ずきんで
顔を隠した2人組は、どうやら女性のようである。
彼女達は、相手に野球での勝負を申し入れる。
これが後に人々の知れる所となり、「辻打ち」と
呼ばれ噂されるようになった。

 今回みたいなコミカルな感じのエピソードも
楽しいですね。相手の男子達もノリが良くて、
純粋に勝負をする意気込みみたいなものが
感じられます。
 小梅達も野球がうまくなりたいと思っている
から、いろいろ練習方法を考えているのでしょうし、
その中の一つがああいう形で表れた、という事
なのかも。まあ巴にしてみれば、他の人には
言えない秘密を小梅と共有する、という狙い(?)も
あったようです。

 小梅は、巴と一緒にしている事が良くないと
感じているみたいですが、なかなかやめられない
ようですね。これは、小梅が自分の意見を
はっきり言えないらしいのと、困っている
人を放っておけない性格からきているみたい
です。巴が、うまく打撃ができるようになりたい、
とか、晶子ばかりかまっていて自分を相手
にしてくれない、と寂しそうな顔で言われたら、
小梅の胸の中は揺れ動いてしまうのでしょう。
 巴のこういう言い方は、実は彼女の得意技
なのかも、という気がしますね。以前にも、
寮で同室の双子の妹、静に甘えて勉強を教えて
もらおうとしてました。巴と静は、お互いに
他の誰よりも長く一緒にいたように見えますし、
2人の生活の中で、甘える姉と厳しい妹、という
構図ができていったのかもしれません。
 それだけ年季が入っている巴の「甘えん坊」
は、小梅にとっては大きな位置を占める可能性も
ありますね。何かと頼ってくる巴の面倒を
見ている内にだんだん小梅の気持ちも、、、
みたいな。そうなったら巴の望みは叶うとも
言えそうですけれど、どうなるでしょうか。

 そこで黙っていられないのが、「登場人物」の
相関図に「ライバル?」と書かれている晶子、
ですね。今回は正にライバルらしく小梅の
取り合いが展開していました。
 晶子は、最近特に、投球の練習に力を入れて
いるようです。ピッチングフォームもかなり
様になってきていますし、アンナにも上達ぶり
を認められています。次は小梅と2人で「魔球」
(公式サイトの「編集後記」によると変化球の事
らしいです)を編み出すように言われていました。
 それで晶子は小梅と一緒に投げ方の工夫を
始めるのですけれど、その経過の描かれ方も
ちょっと面白いですね。ボールの握り方を
あれこれ変えていく所とか(小指が立って
しまうのはやはりお嬢様だから?)。何の
ヒントもないまま自分達だけで魔球を考案
するのはとても難しいと思いますが、他に
手だてが思いつかない以上そうするしかない。
そうやって身につけた技ならこれほど強力な
ものはないのでしょうね。、、、でも今の時点
ではあまりうまくいっていないようです。
 今回、弾みで実現したような巴との直接
対決は、晶子にはあまり面白くない流れに
なっていたみたいです。小梅は、途中で
表情が変わった晶子を見て、相手が何を
感じているのかすぐわかったっぽいですね。
こういう所が「夫婦」なのだと思えますが、
その事には、小梅も晶子も、周りの人達も
まだ気づいていないかもしれません。

 晶子は、隠し事をしている小梅と巴の
関係が気にくわなかったのか、秘密を暴こう
と行動します。ここで彼女の目的が、2人が
何をしているのかを知る、とか、小梅が
困っているならそれをやめさせる、という
ぐらいだったら、暴いて問いつめれば解決は
しそうです。
 が、晶子がしたのは、小梅を取り返す
だけではなくて、その事実を皆の前で堂々と
巴に言い渡す事でした。つまり自分と小梅
こそが「夫婦」なのだとはっきりさせたかったの
でっしょうね。
 こんな行動は、晶子にとっては初めての
事だったかも、という気がします。小梅が
他の人の所へ行きそうになるのをはっきりと
意識したのも、またそうなってほしくないと
願ったのも初めてだったのでは。
 彼女達が知り合ってからどれぐらいに
なるのかはわかりませんけれど、第1話から
2人の間の役割はきちんと決まっていたように
見えます。お互いにとって相手は一番近い
存在で、喜ぶのも悲しむのも2人でともに。
それが彼女達のあり方で、少なくとも晶子は、
自分達の絆が一番強く、またこの関係が
ずっと変わらないと信じて疑わなかったの
では、と思えます。そしてあまりにも
当たり前すぎて、小梅の大切さを忘れて
しまいそうになっていたのでは。
 ところが今回の事件で、晶子は、小梅が
自分のそばにいない状況を意識させられて
しまいました。これを通じて、晶子は、
小梅の存在を改めてきちんと考えるきっかけ
を与えられたのではないでしょうか。この先、
晶子が小梅を一生懸命思いやる姿など
見られるようになると良いですね。
 、、、しかしながら、小梅の方には、男との
「夫婦」の話題も前回から登場してきています。
(晶子はこの事を知っているのでしょうか?)
次回予告でも何かその関係が描かれそうな
カットが見えていました。これは年頃の
女の子なら意識するような話題かもしれません。
でも小梅には、そちらよりも野球や晶子を
大切にしてもらいたいですね、、、。この
結末はどうなるのでしょうか。

 それからもう一つ、胡蝶の行動もちょっと
気になりました。泥棒から逃げてきた彼女が
飛び込んだのは、小梅の胸の中。「小梅先輩!」
とも言っていましたし、胡蝶は迷わずに小梅
を求めていたのでしょう。
 陸上競技に自信をなくしていた胡蝶に、新しい
希望を与えてくれたのは、小梅でした。第5話
で、小梅は彼女に「私達にはあなたが必要なの」
と言っています。自分を必要としてくれる
人達がいる、というのは、胡蝶にとっては
とても嬉しかったでしょう。そしてそれを
はっきりと教えてくれたのは、先輩の小梅。
胡蝶が小梅を大切な人として意識するには
十分な理由だったのでは。それが百合な感情に
つながるかどうかはわかりませんけれど、
胡蝶は小梅に対して特別な思いを持っている
ように思えます。

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