うみものがたり 第７話

　マリンは、どうしてこんな事になったのか、
「誰」がそうしたのか、その考えばかりが頭の中
で繰り返されていたようです。そしてそうする内に
少しずつ、ウリンが求めていたものに気づき
始めているのではないでしょうか。

　テレビアニメ「うみものがたり～あなたが
いてくれたコト～」、第７話「離れゆく心」です。
　これまでずっと姉のマリンから離れるのを
嫌がっていたウリンが、突然１人で海の世界へ
帰って行った。不安な表情で海を見るマリンに、
夏音は、ウリンの指に奇妙な模様が付いて
いた事を教える。

　海の世界にいた時は、マリンはウリンと一緒
に本当にのびのびと暮らしていたのでしょう。
自分がちょっと困った状況になっても、毎回
ウリンが「いつも私はお姉ちゃんに振り回され
ちゃうんだから」と文句を言いながらも助けて
くれていたのでは、と思われます。
　だからマリンは、ウリンを慈しみつつ、自分
の思う通りに生きてきた、生きる事ができた、
と言えるのかもしれません。ウリンも、自分が
そうする事で大好きな姉と一緒にいられると
わかっていたから、口ではいろいろ言っても
胸の中では険悪な気持ちになんてならなかったの
でしょう。

　今回の空の世界でも、同じようにやっていける、
と２人は感じていたと思われます。いつも通り
マリンはのびのびと、ウリンは厳しい事を
言いながら姉と一緒に楽しく、日々を過ごせる
だろう、と。
　けれどどこかが少しだけ違っていたようです。
マリンは屈託なく夏音に「愛してる！」と言って
抱きつき、ウリンは文句を言いながらそんな姉を
たしなめる、、、。それだけで済めば良かったの
ですけれど、同世代ぐらいのマリンと夏音が
引き合う姿は、年下のウリンの目にはまぶしく、
また手が届かない高い場所での貴い物語に
見えたのではないでしょうか。
　「海の巫女と空の巫女の運命」は、ウリンに
とってはこの、手が出せない姉達の領域を象徴
する言葉なのかもしれませんね。ウリンは、
どれだけ背伸びをしても、何年待っていても、
マリンと同い年にはなれません。追いかければ
追いかけただけ、マリンは自分から遠ざかって
いくんだ、とウリンは思い知らされたのでは。

　そんなウリンが求めたのは、力だったみたい
です。マリンや夏音に近づくための力。それを
手に入れるためなら、ウリンは何でもする
つもりのようです。
　そしてもしその力を手に入れたなら。彼女が
望むのは、今回最後の場面でマリンに言って
いた事なのでしょう。それがうまくいけば、
ウリンは、マリンとの静かな生活に戻れる、
と考えたのでしょう。
　これは正しい判断なのかどうか、、、。周り
から見れば、身内に甘える後ろ向きな考えと、
とられる場合もありそうです。でもだからと
いってそれがすぐ邪悪だと決めつけるのも
難しいでしょうし。これは姉妹の間で考える
問題、でしょうか。

　それではマリンの方はというと、彼女も
何か意識し始めているみたいですね。今まで
なら夏音とは、同じ巫女として一緒に行動
しようとする所ですけれど、今回は少しでも
離れていようとしているように感じられます。
　マリンは、夏音と自分との関係を、ウリンが
よく思っていなかったと考えついたようです。
それでも普段なら、「みんな愛してる！」と
言って２人に抱きつきそうですね。ところが
ウリンの今の行動を見て、それでは良くない
と考えたのではないかなと思います。
　これはマリンにとって、今までの自分の
生き方を変えてしまうほどの考えのように
思われます。第１話の記事でも書きました
けれど、マリンは普段、誰かを愛してる
というよりは皆を愛してる、といったタイプの
愛情を持っている気がします。この考えが
ずっと通用するのかどうか、これからの
出来事で試されるのかもですね。そしてもし
彼女が誰か１人を選ばなければならなくなるの
だとしたら、それは誰なのでしょう。その辺りが
見所になりそうですね。

　夏音も、マリンとウリンの姉妹を見る
内に、愛とは何なのかについてだんだん
考えるようになっているのでしょうね。
とはいえ彼女には、安易によりを戻すとか
ではなく、マリンとの百合な愛情を深めて
いってもらいたい所です。

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