咲-Saki- 第18話
咲達の華麗な打ち筋が存分に披露されて
います。またそれだけでなく、大将戦を
対局する者、それを応援する者、女の子同士の
「つながり」もきちんと描かれていて見応えが
ありますね。
テレビアニメ「咲-Saki-」、第18局「繋がり」
です。
咲が振り込んだ槍槓(チャンカン)により、
0点という危機的状況をかろうじて脱した華菜。
しかしトップとの点差は遙かに大きく、これを
逆転する手だては限られている。消極的な
対抗策を思案する彼女の脳裏に、ふと過去の
記憶がよぎる。
今回は華菜と美穂子、ゆみと桃子の関係に
ついて、過去のエピソードが描かれていましたね。
これがなかなか百合的にも良い内容に思えます。
美穂子は去年まで、華菜の事を名字で呼んで
いたようです。華菜もまだちょっと美穂子との
間には距離があった感じですね。回想場面では
2人とも夏服を着ていましたけど、これは去年の
県予選よりも前の出来事、なのかな?
華菜はこの頃、純粋に美穂子の事を慕っていた
みたいですね。素敵な先輩が気になって、つい
後を追いかけて、できるだけ長く一緒にいたい、と
思っていたようです。まだこの気持ちは幼くて、
自分が恋しているのかどうかもわからない、
相手が自分をどう思っているのかも知らない、
そういう状態だったのでは。
美穂子の方は、日頃から自分に引け目を感じて
いるのか、華菜がいつも下校の時についてきて
くれる理由もちょっと誤解していたみたいです。
美穂子は中学生の頃、同級生の中で孤立する
事が多かったようです。それはもしかしたら、
彼女の何でも包み込んでしまう深い優しさが、
他の娘達にとってうるさい感情だったからなの
かもしれません。(また中学というと、彼女が
久と麻雀大会で対局した頃と重なりますね。
実はこちらの方も彼女の立場に関係があったり
する?)
華菜は、そんな美穂子の過去を聞かされても
気持ちを変えたりなどしませんでした。それ
よりも、相手についてより詳しく知る事が
できて嬉しかったのでしょうね。自分が相手の
ためににしてあげたい事を、素直に相手の前で
口に出しています。
ところが、無邪気な華菜の言葉に、美穂子は
思わず反応してしまいます。その表情を見た
華菜も、相手が何を感じているのか気づいて
しまい、、、。これは、憧れが恋愛に変わる瞬間、
かもしれませんね。
この部分は百合的にも良い場面だったような。
その後の美穂子と華菜は、変わらずに麻雀部の
先輩と後輩という関係であり続けます。が、それ
だけでは片づけられないような「つながり」が、
2人の間にはあるのでしょう。美穂子は、他の
後輩達に接する時とは明らかに違う気持ちを、
華菜に対して抱いているはずです。また華菜も、
「優しい先輩」以上のものを美穂子には感じて
いると思われます。
ですが今年の県予選を見ている感じでは
まだもう少し恋愛として発展する余地がある
気がします。華菜は以前、美穂子が他のメンバーを
ほめているのを見て「あたしもほめてほしいー!」
とうらやましがっていましたし。美穂子が他の
誰に対してもいつも通り優しくしたってかまわない、
なぜなら美穂子と自分との間にはそれよりずっと
深い関係があるのだから、、、ぐらいの気持ちを、
華菜には持っていてもらいたいかもですね。
とはいえ彼女には、美穂子に甘えて猫なで声を
あげるみたいな姿も似合っていると言えそう
です。
それから、ゆみと桃子については、、、県予選の
2日前のエピソードが語られています。この時
桃子は、自分とゆみとの「つながり」を気にかけて
いました。
数ヶ月前、ゆみは自分を見つけてくれた。
それは、麻雀部員を5人集めて県予選に出場
するための策の一つだった。桃子はこの事を
十分承知していたのでしょう。それでも彼女は、
自分に手を差し伸べて、灰色の世界から色彩の
ある現実へと引き出してくれたゆみに感謝し、
自分のできる限りの力で報いようと考えて
いたのではないでしょうか。
それがゆみ達と過ごす間に、少しずつ違う
思いへと変わっていったのかも、という気が
します。予選を前に、桃子がゆみに質問した
言葉は、大会が終わった後についてのもの
でした。桃子はここで「なくなる」という
言い方をしています。
人とコミュニケーションするのをやめて、
ほぼ1人で生活してきた桃子。彼女はずっと
「無」の、存在しない状態だったと言えそうです。
それがゆみとの出会いを通じて人とつきあう
事の大切さを知っていきます(今のところ
彼女の相手はほとんどゆみだけみたいです
けれど)。けれど大会が終わってしまえば、
3年生であるゆみは引退、もうチームを組んで
戦う事はありません。つまり麻雀部、いえ、
ゆみにとって桃子は存在する必要がなくなる、
とも思われます。
それは、桃子について言えば、また以前の
生活に戻るだけ、なのでしょう。今までずっと
そうしてきたように、またあの、おなじみの、
慣れた灰色の世界へ帰るだけ。コミュニケーション
の努力をしなくてすむ分、楽に生きていけるかも
しれません。
ですが桃子は、そうするのをためらっている
ようです。「なくなっちゃうんすか?」と質問
するのは、自分でもどうしたらいいのか
わからないこの気持ちに、ゆみの口から判断
を下してもらいたかったからなのかも。
そして桃子はその瞬間、ゆみの反応を見て
しまいます。たとえ言葉で答えなくても、
仕草や表情でわかってしまう場合もある
でしょう。あの後桃子は顔をそらして話題を
変えていましたが、内心では何かを覚って
しまったとも考えられます。
ゆみは、桃子がどこまでゆみの考えを
察していたか、気づいていたでしょうか。
あるいは桃子への自分の思いを推し量るのに
精一杯で、思いは至っていなかった可能性も
ありますね。ゆみは自分を打算的な人間だと
思おうとしているようですが、もしそうなら
桃子の事でなぜこんなに思い詰めてしまうの
でしょう。ゆみの思いには、既に答えが
出ているのかもしれません。この戦いが
終わったら、ゆみは桃子への答えを見つける
事ができるのでは、と期待したいです。
、、、といった感じで、風越女子と鶴賀
それぞれで女の子同士のエピソードが展開
されました。が、それだけではなく麻雀の
方でも見せ場が続いていましたね。華菜も
ゆみも一度は衣に押しつぶされたような形に
なっていました。そこを一気に跳ね返す
ような打ち方が今回見られました。2人とも
かっこよかったですね。牌の動きも流れる
ような素早さでしたし、役が次々と放たれて
いました。「そろそろまぜろよ」(略して「そろまぜ」
とも言うみたいです)のせりふも決まってました。
(それにしても華菜、気持ちが顔に出っぱなし
ですね。あれでは手牌が簡単に読まれて
しまいそう、、、。)
では咲はおとなしいままだったかというと、
そうではなかったですね。連カン、嶺上開花と
技を次々に見せています。これまで一向聴
から先へ進めなかったのは、大きな手を
狙おうとする気持ちが強かったかららしく、
その考えを切り替える事で、多少不利には
なりそうですが、流れを自分の方へ引き寄せて
いるみたいです。この先の場はどうなって
いくでしょうか。
と、これだけだと咲と和の百合な関係が
ちょっと目立たない雰囲気ですね。(咲が
思い出したエピソードも「足袋ソックス」について
でしたし、、、。)次回以降この2人のラブラブを
見られるのを期待したい所です。
今回でいうと、咲の微妙な変化に気づいて
和が思わず立ち上がる場面がありました。和は
自分の嫁、とまで言う優希でさえ、和と咲の
関係は認めていたほどですから、2人の
つながりは強いのでしょう。
咲も和の気持ちに気づいたのか、対局室で
何かを感じていました。その時胸の中で
和に答えていた返事は、危険な道へは
踏み込まずに、ちゃんと和の所へ帰って
くるよ、と言っていたのかもですね。
咲と和が再会する時は、試合の結果が
わかっている時でもあります。そこで2人は
どんな表情で向き合う事になるのでしょうね。
百合的にも素敵な場面を見てみたいです。
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