うみものがたり 第5話
邪悪な気配に包まれてしまっても、ピュアに
なれるチャンスはある。では100%ピュアで
それ以上ピュアになれない人は、どうなって
しまうのでしょう。登場人物は「邪悪」という
言葉を簡単に使っていますが、その言葉が何を
意味するのか、これから重要になってくるのでは
ないでしょうか。
テレビアニメ「うみものがたり~あなたが
いてくれたコト~」、第5話「光を覆う心」です。
夏音から預かった指輪を指先で遊んでいるウリン。
そこへ通りかかった夏音が指輪を取り上げる。
何をするのかと見守っていると、彼女は指輪を
チェーンに通してウリンの首にかけてやった。
マリン達のファッションは毎回のように
変わっていますね。今回はマリンとウリンが
サロペットタイプのおそろい。色も同じで、
こういうのを着ているとさすが姉妹、という
感じです。
2人は、海の世界ではいつも一緒だった
そうです。海には他にも、ワリンやサムや
仲間の魚介類がたくさんいてにぎやかだったの
でしょう。その中でも特に、2人は同じ時間を
過ごす事が多かったのでしょうね。
ウリンは、第1話などで、姉が引き起こす
出来事にいつも巻き込まれている、みたいに
言っていました。姉に何か問題が起きたら、
2人で何とか解決策を考えてきた、といった
意味なのでしょう。
今空の世界に来ているのも、そういう出来事
の一つ、のはずでした。海の世界に降りてきた
指輪を持ち主に返すために、危険だと言われて
いる空の世界へ行こうとする姉に、仕方なく
ウリンはついて行った、という格好でした。
さっさと指輪を夏音に返して今度のちょっと
危険な出来事もおしまい、とウリンは考えて
いたようです。ところが、「封印」、「セドナ」、
「海の巫女と空の巫女」と、事態はだんだん
大きくなっていきます。それに、事件の始まり
でもある封印には、ウリンも深く関係しているの
ですよね。現実は彼女が望んでいたものとは
違ってきているようです。
そこへ、島では何百年かぶりという日食
(皆既日食)が起こり始めます。セドナを
封じた時の記録にもない出来事で、これが
セドナに何をもたらすのかもわからない状態。
その時指輪が反応を始めて、、、。(「指輪」と、
日食の「ダイヤモンドリング」がつながって
いる感じなのが良いですね。)
第1話で、セドナの封印が解かれた時、黒い
もやのようなものが指輪にもまとわりついて
何かをしていたようでした。それが今回に
つながっているみたいです。(ていうかもし
あれが指輪の元からの力だとしたら、別の
意味で大変だったかもしれません、、、。)
また、指輪を贈った本人、小島が今回登場
しました。夏音が指輪を海に投げた直前の
回想場面ですね。この時の2人の会話を見た
感じだと、はっきりと別れたとかいうわけ
でもなさそうです。が、この雰囲気はあまり
良いとも言えないかもですね。
この時の夏音はまだ自分が「邪悪オーラ」を
持った暗い人間だと思っていたようで、ちょっと
した事でも自分を卑下してしまっている
みたいです。これでは小島もとりつく島が
ないと思ってしまうのでは。
それに小島も、あの会話の後で何も言わずに
帰ったりしたら、夏音の提案に賛成したとしか
考えられないですよね。もしかしたら、この
2人はこれまでにも似たような言い争いの
経験が何度かあって、今回はいつもより
気持ちが強く出てしまったのかもしれません。
この2人のよりが戻るのかどうかについては、
どちらもありそうな雰囲気ですね。このまま
フェードアウトとかだったら盛り上がらない
でしょうし、決定的な何かがない限りは、
夏音も元に戻ろうと考えるでしょう。
、、、でもそうなると百合的には盛り上がらない
かも。というか夏音がマリンをどうするつもり
なのか、その辺りが心配です。物語の結末で、
海と空の世界が物語の始まりと全く変わらずに
離れたまま、なんていうのも寂しいですし。
夏音は、マリンと一緒に過ごす内に、彼女の
まっすぐさに確実に惹かれてきているように
思えます。マリンからのピュアな愛の言葉を、
照れながらも受け入れているみたいです。それに、
ウリンを傷つけてしまったかもしれない、と
不安になるマリンに向かって、ウリンを抱きしめて
「愛してる」と言ってあげれば、みたいな
アドバイスを、夏音はしていました。これって、
いつも自分がされている事ですよね。それと
同じ事をしてあげれば仲直りできる、と夏音は
考えていると言えそうです。つまり自分も、
マリンに抱きしめられて「愛してる」と言って
もらうのが心地よい事だと感じているのでは
ないでしょうか。夏音ももっと素直になって
いったら、その時は自分がマリンにどんな
風にしてほしいか、言えるようになるのかも
ですね。
その他、夏音のライバルっぽい(?)大島も
登場してますね。この人は単に小島を狙って
いるという設定だけなのかと思ったのですけど、
指輪にも関係があるようで。その辺りの事情は
また別の機会に説明されるのでしょうか、
というか物語は折り返し近くまできてますし、
あまり細かい部分にまでは入っていきづらく
なりそう?
それと、ちょっと気になったのは、今回の
マリンの一瞬の変化、だったり。あれは日食の
影響があったのだと思われます。それにあるいは、
これまでの彼女の巫女としての行動の仕方が
関係しているかも、とも感じられました。
これまでマリンは、タコやフグなどの海の
仲間達がセドナの兵士にされた時は、「浄化」
という形で相手を救い出していました。これは
長老の松本に言わせればあり得ない事らしく、
倒さずに救うのは、本来の巫女の戦い方では
ない、とも考えられそうです。
その無理がたたって、「邪悪」にとらわれて
しまった、とか? 可能性は低そうですが
そういう考え方もできるかも。
それにしてもマリンのあの変わり方、場面的
にはちょっと唐突な感じもしてしまいました。
もう少しひっかかりがあってから変わると、
ウリンへの影響の大きさがよりはっきりする
ような気が個人的にはしました。例えば、
マリンが夏音にくっついていつものように
楽しそうなのを見てたまらなくなったウリンが、
2人の間に割って入る。その瞬間が日食と
重なって、マリンが豹変、、、とかいう流れだと、
ウリンも姉にとっての自分の存在をより深く
考えさせられる事になりそうな。まあその辺りは
演出の仕方なのでしょう。
マリンよりも「邪悪」に近いと言われている
夏音には特に何もなく、反対に「ピュア100%」
らしいマリンには変化が、、、。これを見ると、
邪悪な気持ちと言われるものを経験している
夏音は、忍び寄る邪悪を振り払う方法を身に
つけている、とも言えそうですね。そしてマリンは、
あまりにもピュアで、どんな相手でも受け入れて
しまうために、邪悪でさえ疑わずに取り込もうと
するのかもしれません。嫌うとか疑うなんて事を
今までした経験が、マリンにはないみたいです。
ので、彼女なら純粋な形で邪悪に染まる可能性も
ありそうです。
こうなると、「ピュア」って何、「邪悪」って
どういう事、と考え込んでしまいますね。人は
純粋でいたいけれど、それだけでは簡単に邪悪に
陥れられてしまいそうで。それならどうすれば
良いのか、その判断を迫られた彼女達がどういう
選択をするのか、といった部分が描かれるなら
注目したいですね。
その時、ウリンの存在も関係してくるでしょう。
彼女は、いつも姉のする事に巻き込まれてしまう、
と口では文句を言いながら、実は姉の心配をし、
自分のできるやり方で姉を支えてきました。今
だって気持ちは同じはずです。が、空の世界での
マリンと夏音との出会いが、マリンとウリン
との位置関係も微妙に変えていきます。
海の世界でしていたのと同じように、姉を
支えるのは自分だと信じて手を尽くすのですが、
なぜか彼女の努力は報われません。暖かな
ふれあいの輪からはずされるような形になった
ウリンに忍び寄るのは、、、。
ウリンが海の世界にいる時からずっとしてきた
事は、「ピュア」だったのでしょうか、それとも
「邪悪」だったのでしょうか。姉からひとときも
離れず、姉のために何かをするのが大前提。姉に
近づく者がいれば威嚇して引き離そうとしたり、
姉に振り向いてもらいたくてわざと困らせる
ような事をしたり。、、、こんな行動は、しては
ならない邪悪なものなのでしょうか。
確かに、あまり勧められる事ではないかも
しれません。けれど罰されるような種類のものか
というと、それは、、、。「ピュア」と「邪悪」の
戦いの中で、人はどうしたらいいのか、考えさせ
られる事になりそうです。
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