咲-Saki- 第13話
「デジタルの打ち手」達の戦いは他の選手に比べて
一見派手さが少ないように感じられます。が、彼女達
自身、特に透華は、胸の中で気持ちを高ぶらせている
ようです。
その試合の様子を見ている一と純。ここでの一の
せりふが、透華への思いをちらりとうかがわせてますね。
テレビアニメ「咲-Saki-」、第13局「微熱」
です。
駆けつけた咲の応援を受けて、和は副将戦に臨む。
龍門渕高校からこの試合に参加するのは透華。彼女が
和に対して燃やすライバル心にはただならないものが
ある。激しい感情をはらみながら、戦いは静かに幕を
開けた。
配牌を確率から求めて次の手を決めていくデジタル
打ちは、とても合理的で、見ている側の人達も納得
できる試合運びになるのでしょうね。この打ち方を
普通に続けている限りは、奇想天外な打牌が飛び出す
事もなく、淡々と、冷ややかに場が進んでいくようです。
(この試合の半荘1回目、前半は特にそんな雰囲気
でした。)
「目立ってなんぼ」の透華にしては地味なやり方の
ようにも思えます。自分が「真のアイドル」になる
ためになぜこの方法を選んだのかはちょっと謎ですね。
何千局もの戦いの中で勝ち残る事が、彼女の目標なの
かも?
それと、理解不能な打ち方をする人間がすぐそばに
いたから、という理由もあるかもしれませんね。常識
では考えられない打ち筋をキープする衣の対局を
嫌と言うほど見てきた透華は、「そちら側」へ行く事を
ためらったのではないでしょうか。合理的で冷静さを
要求されるデジタル打ちにこだわる事で、自分の
理性を保とうと考えた、とか想像してしまいます。
本当の所はどうなのかわかりませんけれど、透華
にはこの打ち方がけっこう性に合っているみたい
ですね。表向きは高飛車で、他人の領域にどんどん
入っていってしまうように見える彼女ですが、その裏
には地道な努力と研究の成果によって築き上げられた
自信があるのかもしれません。
「目立つ」ためならどんな地味な努力も惜しまない。
この考え方は、彼女にとっては理にかなっているの
でしょう。
そしてそんな透華の裏も表も知っている一番の
人物は、一のようです。拘束具を付けられ、専属
メイドとして自由を奪われたかに見える一ですが、
そこから逃げ出したいとは思っていないみたい
ですね。
一は、透華が牌譜を調べると言えば夜遅くまで
つきあい、研究所に依頼した麻雀の統計資料にも
目を通し、世界中の雀士を相手にするネット麻雀
にもお供をしました。たぶん一は、2年前の出会いから、
こんな風に透華と一緒に過ごしていたのでしょうね。
純は、そんな一の内心を知っているのかいないのか、
透華に男が、なんて仮定を話しています。一は
慌てて否定しますが、自分の言葉にあまりにも
自信がなかったのか、口調はどんどん弱くなって
いきます。
、、、何というかこの辺りの展開が、唐突に
百合っぽくなっていてなかなか良かった気がします。
麻雀の試合に見入っている間でも、ふと女の子同士
の切ない関係が現れてくる、っていうのは素敵かも
です。
この時の一は、透華が魅力のない人間だなんて
言うつもりは全くなかったのでしょう。胸の中では、
言いたい事は決まっていたはずです。でも彼女は、
自分を抑え、言葉を濁してしまいます。
普通に考えれば、自分は金で買われた身、透華に
メイドとして仕える以外の事は求められてもいないし
求めてもいけない。そういう(本当は無用かも
しれない)引け目が、一にはあったとも言えそうです。
けれどそれ以上に、自分達が女同士だという壁の
高さを、一は感じているのかもしれません。、、、
今のままなら、主人と専属メイドという関係なら、
常に一緒にいてもおかしく思われないし、透華の
周りに変な噂を立てさせて恥をかかせたりする事も
ない。自分が今を上回るものを求めさえしなければ、
この関係を続けていられる。一はそこに、自分を
納得させる場所を見つけようとしていたのでは
ないでしょうか。
ところが、男という存在は、そんな彼女の孤独な
努力を軽く飛び越えてしまいます。透華が結ばれる
相手は男だと、誰もが疑いもせずに考えている事、
そしてそれを今の自分の手ではひっくり返せない事が、
一にとって自分の無力さを見せつけられてしまう
場面なのかも。
一は、透華と出会う前から、自分の事を「僕」と
言っていました。もしかしたら彼女は昔から、自分の
感じている無力さを隠すために「僕っ娘」していたの
では、なんて気もします。またそれを今でも改めて
いないのは、まだ男を乗り越えられていない(特に
透華との関係に関して)と考えているから、なのかも
しれません。
さてそんな一の視線を受けながら、透華は対局を
続けます。敵視しているのは和ただ1人。和を倒す
事が、今の彼女にとって一番大きな興味のようです。
ネットの世界で遭遇した天使、「のどっち」は、
これまでの対戦相手の中でもかなり手強かった
らしいです。その「のどっち」が、信じられない事に
同じ県に住んでいる1学年下の女の子かもしれないと
知った時、透華は内心大喜びだったでしょうね。同じ
高校生、同じ女の子なら、公式戦で堂々と戦える、と。
今回現実に対面に座ってみて、彼女は体が震えるほど
喜んでいるようです。(「生」の感覚に表情が緩んで
いたりもしましたけど、、、。)
透華がそこまで和に入れ込む理由が、「のどっち」
との対戦を実現させるためだけのものなのか、という
点はちょっと気になります。和の事ばかり考えている
内に、だんだん相手から目が離せなくなり、やがて
、、、なんてパターンもあるかも、と思ってしまいます。
もしそうなったら、一にとっては新しいライバル(?)
の誕生になってしまいそうな。でも相手が女の子な分、
一も少しは元気に、透華の取り合いができるかも
しれませんね(歩のように?)。
ところで和は、透華が自分をライバルだと思って
いる事を知らないみたいですね。冒頭の透華の
宣戦布告にも気づいていなかったらしいですし。和は
ひたすらに、自宅でいつもしている自分の打ち方を
引き出そうとしているようです。
彼女が躍起になっている理由は、この決勝戦を
勝ち抜いて、皆と一緒に全国大会へ出場したい、と
思っているから、なのですよね。団体戦で皆の希望と
点棒を託された彼女は、さすがに緊張してしまって
いるようです。ここからいつもの自分の力を出すには、
これまで部活の中で実行してきた練習が役立つみたい
ですね。
一つ、違うものがあるとしたら、それは咲の存在。
咲の姿を意識すると、和はとたんに緊張してしまい、
胸の高鳴りが抑えられないようです。このまま平静を
保てなければ、第5話で指摘されていたように
咲が原因で実力が出せない、なんて事に、、、?
いえ、そうはならないのでしょう。大切な人と
一緒に戦いたい、勝って自分達の目指す場所へ
行きたい、そんな強い思いが、彼女を「目醒め」
させるのでしょうね。
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