えるえるシスター 第1巻
間違いなく2人は愛し合い気持ちはつながっていると
言えそうですが、ふたばはちょっとためらっています。
一菜の本当の姿を知って驚いている、とも思えますけど、
それとは別に、大人な恋愛への一歩が踏み出せずに
いるのかもしれませんね。
発行一迅社、ComicREXに連載中の、邪武丸さん作
「えるえるシスター」の第1巻を見てみました。
ストーリーは、、、姉の一菜(いちな)は家族から
離れて1人櫻宮学園高等部の寮に入り、実家へも
寄りつかなくなってしまった。妹のふたばは姉を
追って同じ学校に入学。やっと姉に再会できると
喜んだのもつかの間、ふたばは、姉が女教師らしい
年上の女性と「逢い引き」しているのを目撃してしまう。
、、、この前書店のコミックコーナーを見ていた時の
事なんですけれど、帯に大きく「姉妹愛」と書かれた
単行本を見つけてしまいました。しかも2冊も。
手に取って見ると、どちらも発行元が一迅社でした。
一迅社で百合作品といったら百合姫コミックスしか
ないという先入観が働いていたため見落としていたの
ですけど、こういう作品もあるのですね。すべてを
百合姫に集中させない、というのは、このジャンルを
広げていったりバリエーションのある作品をリリース
するには良い環境なのでは、と思います。
(ちなみに、もう1冊の「姉妹愛」ものは、4コマKINGS
まんがぱれっとに連載中の、稲城あさねさん作
「四季おりおりっ!」です。)
では作品の内容について、、、。ふたばが一菜を
思う気持ちって、恋愛的な感情のような気がしますね。
本人は、姉への依存、、、みたいに言っていますが、
一菜とねね子との関係を勝手に想像して嫉妬したり、
姉と一緒にいる理由を作るために(?)珍しく強気に出て
生徒会入りを希望したりもしています。
あまりにもずっと幼い頃から一緒にいたおかげで、
その気持ちが何を意味するのか、ふたばはそこまでは
気づいていないっぽいです。また周りも、特に何か
吹き込んだりみたいな事は(まだ)していないので、
この先大きな事件などが起きない限り、しばらくは
この状態が続くのかもしれません。
とはいえ気づくかどうかは別としても、彼女が
胸の底で求めているのは、単に姉と一緒の学校に通う
なんて事ではないように思います。よくある姉妹愛
とは違う感情が、そこにはあるのかなと考えて
しまいます、、、。
一方の一菜の方はというと、2歳年上で、姉という
自覚もあるからなのか、小さい頃からずっと自分の
本心を抑えて生活してきたみたいですね。そんな風に
自分を犠牲にしてまで、一菜が守り通したかったもの
って何なのでしょう。、、、他のよくいる姉妹のような
関係を保つのが社会的にも正しい事だと思った、とか、
無邪気に慕ってくれる妹の前で「醜態」をさらす事で
妹の笑顔を失いたくなかった、とか。
理由がどうであったとしても、少なくとも彼女は、ふたばの
事を妹以上の思いで見ているみたいですよね。相手から
離れようと自分で決めて、実際に離れていた2年間は、
彼女自身にその思いがどれだけ揺るがないもので、また
時がたつにつれて弱まるどころかどんどん強くなって
いくものだという事を再確認させる期間だったと
言えるのではないでしょうか。そこへ現れたふたば
本人。胸の中でずっと夢見ていた、自分と同じ学校の
制服を着ている妹の姿を見た時、一菜はいろいろな
思いにかられたのでは。
という感じに、姉妹はお互いにずっと前から相手の
事を思い続けてきたと言える気がします。ていうか、
思うだけではなく口に出して言い続けてきた雰囲気も
ありますね。なのに、高校生になる今まで、2人は
相手の言う言葉に込められた意味を受け取り損ねて
いたのかもしれません。
櫻宮で、2人は再会しました。少しだけ成長した
彼女達は、今度は間違いなく相手の真実の気持ちを
目にする事ができたようです。
だとしたら後はもう周りも気にせずラブラブすれば
いい、とも思うのですが、そうはなっていないですね。
ふたばは、一菜の秘めていた愛情がとっても大人な(?)
ものだったのを見てちょっとおどおどしてしまって
いるようです。でも相思相愛なら、いつか恥ずかしさも
乗り越えて2人結ばれる日が来るのではとも思うの
ですけれど、この作品でそこまで描かれるのかというと、
どうなのでしょう、、、。
それに加えて、話数が進むにつれて百合な方向性が
少し弱まっているようなのも気になりますね。ふたばが
周りの人達にいじられる場面が多くなっているようで
、、、。ねね子も生徒会のメンバーもクラスメイトも
皆割と物わかりのいい人達らしく、ふたばにちょっかいを
出すとしても出し過ぎず生暖かく見守っている感じ
です。このままではふたばと一菜の恋はなかなか
燃え上がらない、、、? この先の物語でも百合テイストを
もっとたくさん見てみたいですね。
そういえば本編とは関係ないのですけれど、ちょっと
気になった事が。今回の表紙、同じ一迅社のREXコミックス
から発行されている勇気心一さん作「ひめなカメナ」
第4巻の表紙と構図が似ているような、、、。気のせい
でしょうか。
それともう一つはやはりふたばの髪型、、、。最初は
普通っぽかったのですけれど、だんだん犬耳的な(?)
くせがついてきてます。こちらはこのまま順調に
育っていくのかな。
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