Yes!プリキュア5GoGo! 第37話
くるみは、他の5人が仲良く笑っていられれば
いいと考えたようです。また、いつものように自分を
強くアピールしなかったのは、実は自分の代わりに
かれんがメンバーからはずされそうになったから
なのかもしれません。
テレビアニメ「Yes!プリキュア5GoGo!」、第37話
「危ない!ファイブDEチャンス!(後編)」です。
5人1組でゲームに挑戦するテレビ番組に参加
するはずだったのぞみ達は、エターナルの罠に
はめられ、偽物の空間に閉じこめられた。5人の
内1人でもゲームをクリアできれば解放してくれる
というのだが、相手の卑怯な手段で仲間が次々に
脱落していく。残されたのはうららとかれんだけ
だった。
のぞみだけでなくりんやこまちが捕まっていく
姿を見て、とてもフェアなゲームとは言えないと、
残された2人もはっきり理解した事でしょう。
それでもゲームに挑もうと、手を挙げる人が
いました。うららです。
うららがほしかったのは何だったのでしょう。
テレビに出たい、優勝賞品のチョコレートを
思いっきり食べたい、5人の名前が刻まれた
トロフィーがほしい、、、いえ、もしかしたら
それさえも、彼女が本当にしたい事ではなかったの
かもしれません。
彼女にとっては、仲間と一緒に行動する事が、
何よりも重要な意味を持っているのでは、という
気がします。前シリーズの第3話で、孤独に
埋もれそうになっていた所をのぞみに見つけて
もらってから、彼女はりんとも親しくなり、また
こまちやかれん、くるみが仲間に加わるのを
迎えてきました。芸能生活をこなすために
学園ではひっそりと暮らしていたうららは、
5人の女の子達と一緒に、放課後にお茶を
飲みながらおしゃべりしたり、休日に買い物に
出かけたりするようになる事ができました。
この変化の中で、同じ年頃の女の子達と一緒に
いる事のすばらしさ、大切さをひしひしと
感じたのではないでしょうか(特にのぞみとの
関係を大事にしている、と個人的には思いたい
です、、、)。
その仲間達が、相手の仕掛けたゲームに
飛び込み、1人また1人ととらわれていく
、、、。自分が手を挙げなかったばかりに、
大切な人達が苦しい思いをさせられるのが、
うららには耐えられなかったのでしょう。
自分が戦いに臨むなら、のぞみ達と同じ
やり方で。たとえ罠だとわかっていても、この
条件だけははずせなかったのではないのかな、
と思います。
これは全然理性的な解決方法ではないの
でしょう。結果も目に見えています。それでも
うららは挑戦しました。ゲームのフィールドへ
移動させられる時、床下へ落とされるように
消えていく彼女の姿は、はかなくもあり、
また勇ましくもあったように感じます。
さて、4人のゲームとその結果を、目の前で
否応なしに見せつけられるかれん。この人は、
このピンチをどう感じたのでしょうね。
彼女はトロフィーの事を前もって聞かされて
いなかったために、最初から比較的冷静で
いられたようです。もともと理知的な性格で、
決して考えなしに行動したりしない彼女には、
このゲームが一方的でルール無用なものであると
いち早くわかったのでしょう。何とかゲームを
回避する方法を見つけ出そうと苦心していた
ようです。でもそうしている間に、仲間達は
どんどん敵に閉じこめられていきます。やがて
解決策のヒントもないままエターナルと向き合う
事になったかれんのとった行動は、、、。
彼女にしてはあり得ないぐらいの賭だったの
ではないでしょうか。普通にやっても2分の1の
確率しかない上に、自分が一番苦手なゲーム
です。彼女の持っている知性で考えれば自分に
分が悪いのは分かり切っているはず、、、
ですが、真正面から相手の仕掛けに乗って
いきます。
相手の用意したステージに進み出るかれん。
この時の彼女の胸の中には、他の5人への強い
思いがあったようです。自分にかけがえのない
ものを与えてくれた彼女達への思いが。
前シリーズの第5話と第6話で、かれんは
他の4人(くるみはこの時まだいませんでした)
の仲間に加わる事になります。が、それ以前の
彼女は、こまちとは既に友達でしたが、学園の
他の生徒達とはそれほど親密な関係にはなかった
みたいですね。有能な生徒会長であるかれんを
信頼しきって自分達の仕事さえ彼女に任せて
しまう生徒会の役員達、美しくて頭が良くて
かっこいい彼女にただ憧れの目を向けるだけの
生徒達、誰もがかれんの一部分しか見ていません
でした。
そんな彼女がほしかったものは、いつも一緒に
いて、本当の気持ちをぶつけ合える仲間達。
上級生や下級生なんて関係なく、心の底から
笑い合える友達。一時はプリキュアになる事を
あきらめてでも、かれんはのぞみ達と一緒に
いる事を望みました。
それほど、かれんは仲間や友達というものに
思い入れがあるようです。その友達が危険に
さらされているというなら、彼女にはもう
ためらっている暇はないのでしょう。
自分の能力には頼れない状況での勝負でした
が、結果的にはかれんの納得できるものだった
みたいですね。判定にはちょっと理屈っぽい
部分もありましたけど、これも一つの「知性」
というもの?
このゲームの中で、かれんは、自分にとって
仲間というものがどれだけ重要なのかを改めて
知ったようです。けれどそれだけではありません。
かれんには、くるみが隠していた本心も伝わり
ました。
お世話役の仕事以外では、自分の言いたい事を
言い、やりたい事をしている節のあるくるみ
ですが、今回は、(最初にも書きましたが)自分の
主張を引っ込めている感じでした。そういう、
いつもとは違った行動をした理由は、やはり
相手がかれんだったから、なのでしょうか。
戦いの最中、かれんが自分の思いに気づいて
くれたとわかった時のくるみの表情、、、一瞬の
間とその後の顔が何とも言えないですね。あの
表情にはどんな意味があったのでしょう? 自分の
柄じゃない事をしたのがばれて照れくさかった、
自分の身代わりにエターナルの空間にとらわれて
いた仲間が解放されて安心した、言うつもりは
なかったけど真実をかれんに知ってもらえて
嬉しかった、、、いろいろ考えられそうです。
少なくともくるみには、もう一度かれんの目の前
に立って彼女の声を聞けたのが大きな喜び
だったのではと思います。
、、、6人の中から5人だけ選び出すなら
誰がいい? 6人の中で仲間はずれは誰?
ふとそう考えた時、くるみには目をそらせない
現実が降りかかってきたようです。自分は
この世界の人間ではないし、のぞみ達とは
やるべき仕事が違う。しかも「プリキュア5」
ですらない、、、。答えは簡単に出たのでしょう。
「ファイブDEチャンス」の話題が舞い込んだ時から、
くるみの気持ちは決まっていたのでしょうね。
そして彼女は迷わずに自分の考えを実行しました。
皆の前で小さな芝居をしている間、彼女は、
これでいい、自分のしてる事は間違いじゃない、
と胸の中で自分に言い聞かせていたのでは。
その後すべてがうまくいき、くるみが
望んでいた通りに5人が笑顔で包まれます。
自分の考えていた事は全部実現した。これで
自分も満足、のはずでしたが、抑えきれない
思いは彼女の表情に出てしまったようですね。
でも、彼女は皆からよそ者扱いなどされては
いませんでした。自分が思っていたのと同じ
ように、他の5人も自分を思ってくれていました。
刻み込まれた事実に、くるみは胸が熱くなった
事でしょう。
最後の「裏技」はちょっとだけできすぎの
ような感じもしますね、、、。もう少し違うやり方
(アクセサリー作りで手先が器用なりんが手を
入れるとか?)でうまくやれたら良かったかも
ですけど、まあ今回はこんな感じなのかも
しれません。
このところ、第34話でまた男女の恋愛的な
エピソードが入ってきたり、その直後に第35話で
プリキュアが何となく離ればなれな状態になったり
しました。この流れは前シリーズの第39話辺りに
近い気がして、また冷めた雰囲気があふれて
きちゃうのかと気が気ではなかったのですけど、
今回は、割と6人の気持ちのつながりが出ていて
良かったように思います。この作品では、
女の子同士の絆の強さを描いていってもらいたい
です。
ところで次回は、のぞみとくるみが力を合わせる
ストーリーになるみたいですね。予告編では
2人が一緒に技を出すらしい場面がありましたが、
あの手のつなぎ方って、、、やっぱりこのシリーズ
では「ふたり」の深い結びつきが大事ですよね。
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