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2008年11月 1日 (土)

神無月の巫女 かんなづきのつごもり

 何とかここまで来ました、、、。1ヶ月というのは
長かったような短かったような感じです。何だか
ちょっと危なっかしくもありましたが、皆さんに
見守られつつレビューする事ができました。
 思い返せばこの時間の中で、千歌音と姫子は真実を
求めて物語をつづっていたのですね。

 テレビアニメ「神無月の巫女」、短期集中レビュー
1ヶ月にわたって書いてきました。この作品の物語が、
姫子と千歌音の誕生日から1ヶ月の間に起きた出来事を
描いたものだった、という点から発想した企画
でしたが、実際にこの期間コンスタントにレビューを
書いていくのはけっこうな作業だったかもです、、、。
作品自体感動的で考えさせられる部分も多く、つい
いろいろ書きたくなってしまうのですが、期間的な
制約もありポイントを取り上げて短くまとめるような
形になりました。また、これをやっている間も他の
記事は継続していたので、どう両立させるかが悩み所
だったり。先月中はずっとその辺りを考えていた
気がします。

 でも今振り返ってみると、千歌音と姫子がこれだけの
時間の間に経験した事柄の深さと大きさを改めて感じ
ました。翻弄されながらも2人が運命に立ち向かう
姿は、毎回胸に迫るものがありました。
 普通に考えれば、強大な敵と、正義に目覚めた男の子が
ロボットに乗り込んで戦闘、そしてか弱い女の子達が
登場、と来たら、ヒーローものど真ん中という感じ
ですよね。敵に力の差を見せつけられ傷つきながらも、
何度も立ち上がり、女の子達の応援を受けて最後には
勝利、という展開が想像できます。
 が、この作品はそうではありませんでした。もちろん
ソウマだってヒーローとしての要素はたくさん持って
いましたけれど、千歌音や姫子の苦悩も大きかった
ですよね。まあソウマは2人の間にあるものを理解した
上で自分の進むべき道を選んでいますし、この人なりの
けりの付け方をしたのではないでしょうか。
 物語的に考えると、もっとソウマが2人の間に入って
いって、もしかしたらヒーローものの結末になって
しまうのでは、とはらはら(?)させるぐらいの活躍を
見せても面白かったかも、なんて思ってしまいますが、、、
今のバランスの方が良いのでしょう。

 一方で、他のオロチ衆についてはもう少し掘り下げる
場面も見たかったような、、、? この人達の絶望が
どれだけ強いものだったかを知る事で、千歌音や姫子が
背負うものの重さをより引き立たせられたのでは、とも
思います。ツバサとソウマ以外の過去が描かれるのは
ほとんど1カットぐらいでしたが、その一つ一つが、
激しい物語を抱えているようですし。この辺りの構成は、
12話という長さの制限から考え出されたものだったの
でしょうね。
 構成といえば、第12話のストーリーの運び方が
ちょっと忙しい感じがしました、、、。詰め込まれていた
というか。たぶん、ここで語っておきたい事が山のように
あったのでしょう。オープニング曲「Re-sublimity」、
エンディング曲「agony」をはずして時間枠をいっぱいに
使っていました。、、、けれどそれでも、間合いやせりふの
流れが速かったように思えてしまいました。もうちょっと
余韻を持たせて、千歌音と姫子の間にある感情を
たっぷり描いてほしい気もします。
 姫子と千歌音が自分達の真実に気づくのは、全12話の
中でもほんの短い間だけなのですよね。巫女としての
立場とか、前世の記憶とか、そういうものすら超えて、
彼女達が本当に求めていたものを意識できる時間は
限られていたので、そこをきちんと語ってもらいたかった
かもです。が、これは仕方ない所なのでしょうか。

 今回は、NULL-Cさんおすすめの第8話コメンタリー
聞いてみました。この回は、誰もいなくなった姫宮の屋敷で
千歌音が姫子に、、、というエピソードですね。
 コメンタリーには、姫子役の下屋則子さん、千歌音役の
川澄綾子さん、ソウマ役の間島淳司さんが参加されていました。
この回はやはり後半部分の印象が強かったようで、特に
則子さんと綾子さんにとっては思い出深いものがあった
みたいです。則子さんの声の出し方が、、、なんて話題も
出ていました。話している感じからすると、則子さんは
先の筋書きを聞かされない状態でアフレコをされていた
らしいですね。姫子と同じように何もわからない状況で
収録する事で、姫子の思いとシンクロできた、とも言えるの
かもしれません。
 また、綾子さん達は、テレビ放送があった後、いろいろな
人達から感想をもらっていたらしいです。女の子同士の
恋愛の物語、しかも一人がもう一人にあんな仕打ちをする
なんて、当時はインパクトがあったのでしょうね。
 この作品が放送されたのは、あのアニメがテレビ放送
されたり、あのゲームがリリースされた頃。百合という
分野は意識されていても、まだそれほど大きく取り上げ
られていなかったのではないでしょうか。そこでこういう
作品をテレビ放送するのは、位置づけとしては大きかった
ように思います。

 この作品では、女の子に対する女の子の恋愛感情が
描かれています。とはいえそれは全体を見た上での事で、
最初の頃は千歌音でさえ、自分がそんな気持ちを持つなんて
思っていなかったのかもしれません。才色兼備でお金持ちで、
誰からも信頼されていた彼女には、欠けているものなど
何一つないように思われていました。そんな彼女が欲しがった
ただ一つのものは、姫子と2人だけでいる時間、、、。それを
失わないためなら、彼女は人前ではしたなく走ったりも
しましたし、生徒会の都合をつけて必ず昼休みには秘密の花園へ
来ていました。
 なぜそこまでするのか、はじめは本人にもわからなかったの
でしょう。ただ一緒にいたい、笑顔を見たい、それだけが
願いだったようです。
 やがて周りの状況が変わってくるのに合わせて、彼女自身も
自分の気持ちが何を意味するのか気づき始めます。そこからが、
千歌音の苦悩の始まりでした。
 でもその頃の姫子は、まだ巫女の本当の役割を知らず、
千歌音の優しさに甘えて一緒に生活していました。姫子は
千歌音の姿にときめく事もありましたが、それが恋かも
なんていう想像だけはしなかったようです。女の子同士で
なんてあり得ない、と考えていたらしい姫子は、それだけで
苦悩から解放されていたと言えるのでしょう。
 そうしている内に千歌音と姫子の間には差ができ始め、
ついには取り返しのつかない事に、、、。この差は、実の所
第12話の後半の方までずっと続いていきます。姫子が
「本当」を知った後どうするのかが重要な場面になりますが、
彼女の出した答えは、、、。百合的にとても良かった気がします。
 見つめてくれる姫子の前で必死に自分の思いを「いけない事」
として否定しようとする千歌音が、何だかかわいらしいですね。
否定する自分を否定してもらえるのが、彼女には嬉しかったの
かもしれません。
 そして千歌音に対する姫子の答えの出し方も素晴らしかった
かも。やっと自分の気持ちに気づけたから、あそこまで
言い切る事ができたのでしょうね。
(それと、個人的な好みではありますけどロングヘアの
女の子2人(しかも片方は黒髪、、、!)が仲良くしている
姿はけっこうポイントが高かったです。オープニングアニメ
とかも。)
 、、、「それでもいいよ」という姫子の一言。これが、千歌音の
それまでの悩み、悲しさ、寂しさなどあらゆる苦しみを
押し流してくれたような気がします。この言葉があるから、
千歌音は、そして姫子も、迷う事なく道を進めるのでは、と
思います。

・「神無月の巫女」短期集中レビューリストレビューセンター

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コメント

「百合な日々」さんのブログで、昨日、第1回百合作品人気投票の発表で「神無月の巫女」が圧倒的な票数で1位になってました。

投稿: NULL-C | 2008年11月 3日 (月) 13時10分

ブログ見てきました。すごい票数ですね。それだけ思い入れを
持っている人がたくさんいるという事なのですね。あの結果を
見て新しくファンになってくれる人が増えたら嬉しいです。
(NULL-Cさんの絵文字をちょっと見習って(?)みましたw。↑)

投稿: ギンガム | 2008年11月 4日 (火) 23時28分

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