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2008年11月23日 (日)

映画「櫻の園-さくらのその-」

 皆と一緒に何かを作り上げる事、仲良くする事、
愛する事、、、どんな些細な出来事でも、後の世代へと
つながっていくなら、それが伝統へと育っていくの
でしょう。ところで百合度は、、、あまりメインには
なってないかもです。

 発行白泉社、吉田秋生さんのコミックを原作にした
「櫻の園」は、中原俊さんの監督で1990年に映画化
されました。そして今、同じ監督の手でまた違う
イメージを持つ「櫻の園-さくらのその-」が制作されて
います。この作品を見てみました。
 ちなみに前作の方もテレビで放送されたのをこの前
見ました。そちらのレビューもありますのでよろしければ
見てみてください。(また、「櫻の園スペシャル」としてテレビ
放送された百合っぽい番組のレビューもあります。)

・「櫻の園 映画第1作

 さて「櫻の園-さくらのその-」のストーリーは、、、
バイオリニストになるという子供の頃からの夢に敗れた
結城桃は、高校3年の春に私立の女子高、櫻華学園へ
編入してきた。彼女の姉、杏もかつて通っていた
この学園は、伝統に重きを置き、厳格な校風と規律が
生徒達に浸透していた。

 長い伝統に支配されて、櫻華の生徒達は自主性を
失っているみたいですね。厳しい先生には何となく
逆らえず、怒られない範囲で自分達の小さな自由の
中に落ち着いている。そのために外の世界がどんな
ものなのかよくわからなくて夢見がちになっている、
といった感じでしょうか。
 桃はそこに編入してきます。彼女は自分がこれまで
送ってきた学生生活と櫻華との違いをすぐに味わう
事になります。それで彼女は何をしたかというと、
すぐに思い立って学園を変えようと奮闘、、、みたいな
ものではありませんでした。別に彼女は、何かを
したくてこの学園に来たわけではないため、周りの
人達がどういう考えを持っていようと自分には
関係ない、と感じているようでした。
 そこから少しずつ、桃も他の生徒達も変わっていく
わけですが、実はそこにはいつも学園の存在が
関係していたように見えます。櫻華といえばこの
辺りでは有名なお嬢様学校。学校の制服や名前が
出てくるだけでも別格な扱いになるみたいです。
桃がライブハウスを使わせてもらえる決め手に
なったのも櫻華OGのつながりがあったからですし、
担任の坂野佳代や姉の杏も学園の卒業生です。
彼女達は皆、自分が櫻華で学んだ事を誇りに
思っているようで、学園のためならできるだけ
手を貸したいと考えているのではないでしょうか。
 、、、それが、「伝統」に縛られた学生生活の結果
なのか、というと、そうではない気がします。
一人一人が、「櫻の園」で学んだ記憶をとても
大切にしていて、学園の名前を聞くだけで、その頃の
切ない、暖かい思い出が昨日の出来事のように胸に
浮かんでくるのではないかと思います。その記憶が、
後から振り返ればとても重要な意味を持っていると
わかっているから、櫻華を卒業した女性達は、
手助けを惜しまないのでしょう。在校生達にも
同じようにいろいろな経験をして、自分だけの
愛しい思い出を刻んでもらいたいと感じているの
でしょう。
 そうやって過去から現在へ、現在から未来へ
気持ちがつながっていくのが、実は「伝統」なのかも
しれません。先生から言いつけられる規律を守る
だけでは手に入れられない何かが、そこにはあるの
でしょうね。
 とはいえ、今の在校生達がそれに気づくのは
もっとずっと後になるのでしょう。場合によっては
苦い思い出しか残せない人、やりたかった事を
果たせずに卒業してしまう人もいると思われます。
桃達がどんな学園生活を送るのかは彼女達次第
ですけど、たとえどんな思いで学園を出る日が来る
としても、学園での日々はいつか大切な思い出になるの
でしょうね。

 、、、といった感じで肝心の百合ですが、相手を
慕う気持ちを確かめ合って百合な恋愛関係で結ばれる
カップル、みたいな人達は登場しなかったかもです。
桃が学園に編入してきた当日、葵のりりしい姿に
黄色い歓声をあげる女の子達がいたり、葵と一緒に
いたくて演劇を手伝う1年生達がいましたが、これは
淡い憧れぐらいの感じでしょうか。1年生の真紀が
桃に近づくのも似たような雰囲気で、まだまだ発展の
余地がありそうです。
 美登里と奈々美は小さい頃から一緒にいたらしく、
姿形が割と似ていて、髪型も似せている所からすると、
とても仲良しで同じ存在になりたいと考えているの
かもしれません。2人は人前でキスのまねごとまで
披露していますが、でも美登里にはボーイフレンドが
いるのですよね。それでも男の方に流れていかないのは
何か思いがあるという事なのでしょうか。
 佳代と杏は櫻華では先輩後輩の仲だったそうです。
久しぶりに再会した彼女達がしたのは、ハグ。それも
妹の桃から見てもちょっと不思議に思えるほどの、
愛情のこもったものでした。後の方の場面で2人が
話し合う内容からも、彼女達が当時何か特別な
関係にあったのでは、と想像させるものがある
気がします。櫻華の生徒だった頃の写真を見ていた
らしい杏と桃が話している場面で、杏の左手の
薬指にある指輪がなぜか強調されていたのは、
佳代と一緒に過ごした日々や、その時に抱いていた
思いをこれから失ってしまうかもしれない、と
感じているらしい杏の不安を象徴しているように
見えますね。
 そして葵と真由子、、、。2人が写真を撮る場面は
第1作を思い出させますが、それ以上深く踏み込んで
いない雰囲気です。ここが見せ場とも思えるのですが
百合的にはちょっと物足りなかったかも、、、?
この作品ではそこまで描くつもりではない、という
事なのでしょうか。

 ところで、美登里と奈々美が「桜の園」の脚本を
読んでいる時、「やたらキスシーンが多い」みたいに
言っていました。原作小説ではどうなっているのか
知らないのですけれど、もしキスシーンの多さが
脚本家(佳代、ですよね)の希望で演出されているの
だとしたら、彼女達の間ではそういう事をしてもいい、
やってみたいという思いがあったのかも、なんて
考えてしまいます。

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