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2008年8月24日 (日)

百合作品ショートレビュー集 コミック編 その2

 コミックについてはあちらではたくさん取り上げ
られているため、それ以外となると数はあまり
多くないかもです。が、まだもっとありそうな
気もしますよね。そういうのを見つけていけたら
と思います。

 百合作品のレビュー、コミック編の第2弾に
なります。コンセプト的には、一迅社発行
百合作品ファイル」で紹介されていない作品に
ついての記事となっています。作品分布は偏って
いるかもしれませんが、何かのお役にでも立てば。
また、皆さんのお薦め作品など教えてもらえると
嬉しいです。
 レビューの書き方については、別記事
参考にしてみてください。

・「百合作品ショートレビュー集 コミック編 その1

BLUE DROP~天使の悪戯~ (吉富昭仁) 全4話
 タイプ:百合メイン
 あらすじ:
 2人でプール掃除をしている最中、ミサキは
トモから告白される。しかし彼女はその申し出を
断ってしまった。ミサキには他に思いを寄せている
人がいるのだ。その人は、笠木先輩。長い銀髪に
青い目の美しい女性で、アルメ(異星人)だった。
 ポイント:
 BLUE DROPは、単行本としては「BLUE DROP」、
「~天使の僕ら~」の2作品が発行されています。
世界観はどちらも共通していて、女性だけの異星人に
侵略された地球を舞台にしています。が、時代設定
には1000年の広がりがあり主人公も違っています。
 またそれ以上に、物語のテイストも様々になって
います。「BLUE DROP」では、かわいい女の子には
すぐに手を出すレジスタンスの女の子、YUIの出番が
多いですが、「~天使の僕ら~」では、女子校の
制服を着た少年と、異星人に改造され女の子に
なってしまった少年の物語が描かれていたりします。
同じ作者で同じ世界観でも幅があって面白いかもです。
 この「~天使の悪戯~」では、全編通して登場
するのは笠木先輩ぐらい(伸子もかな?)で、雰囲気も
各話でけっこう違っています。第1話は割としっとり
した感じですが、第2話はギャグっぽい流れも
ちょっと入り、第4話になるとまた別の世界へ、、、。
 でも、変わらないのは、果たして笠木先輩の愛は
受け入れられるのか、というテーマ(?)かも。彼女の
愛の遍歴はまだ続きそうな気もします。
 関連情報:
 この作品は、第1話と第2話がチャンピオンRED
いちごのVol.2Vol.4に掲載され、第3話第4話
ドラマCDの封入特典となっています。
レビューリスト

BLUE DROP~舞い降りた天使~ (吉富昭仁) 全6話
 タイプ:百合メイン
 あらすじ:
 7年前、女性だけの異星人が地球に侵略戦争を
仕掛けてきた時に、サチは両親を失った。それからの
日々を彼女は同じように身よりのない子供達と
一緒に施設で過ごした。そして1年前、サチはアイに
出会う。アイは同じ年頃の無口な美少女だったが、
いつも何かにおびえていた。
 ポイント:
 こちらは「~天使の悪戯~」とはまた違った雰囲気で、
2人の女の子の気持ちの動きと、異星人との戦争
という状況の中での彼女達の生き方を追う作品に
なっていますね。時代としては、テレビアニメ版の
少し後、そして「~天使の僕ら~」の少し前という
設定になるようです。
 作品世界が時代とともにどのように変化していって
いるかについては、「クロニクル」に書かれています。
これによると、作品としてあらわされている物語は、
1000年の時間の前の方と後ろの方に集中している
傾向があるようです。「~舞い降りた天使~」は前半で、
まだ地球人と異星人との戦いが続き、2つの間に
埋めきれない溝がある頃、、、。
 サチは、記憶をなくし何かを怖がっているアイに
優しく手を差し伸べます。この施設に来る子供は皆
戦争の犠牲になって身よりもなく不安を感じていますし、
アイも同じだと確信したのでしょう。またはアイの姿に、
自分自身の昔を重ねていたのかもしれません。
 アイの方も、サチの笑顔と暖かさに落ち着きを
取り戻すようになるのですが、、、。この世界の片隅で、
2つの世界をつなぐ物語が繰り広げられるようです。
 関連情報:
 この作品は、テレビアニメ版のDVD封入特典
として各巻に1話ずつ収録されているものです。
レビューリスト

ペンギン娘 (高橋てつや) 全3巻
(以後「ペンギン娘MAX」として続刊)
 タイプ:強い絆
 あらすじ:
 北極学園中学に転校してきた、ペンギンこと
南極さくらは、超が付くほどのお嬢様なのに
趣味はアニメやコスプレというAガール。同じ
クラスになった択捉鯨(えとろふくじら)には、
苦手なタイプに思えた。しかし、ペンギンの
強引だが正直でまっすぐな言動に、彼女は親友の
栗尾ねね(くりおねね)ともどもいつしか行動を
ともにするようになる。
 ポイント:
 少年誌(週チャン)に6ページで連載という形式
が影響しているのか、1ページの中にたくさんの
せりふやキャラが詰め込まれていて何だかアツい
感じです。ストーリー的にも、喧嘩しながら友情を
育てていったり、強い敵が現れてたたきのめされても
一致団結して最後には勝利し、また敵だった相手とも
ライバルとしてお互いを認め合う、、、みたいな
流れがあります。バトルものの王道のような展開
ですが、これを女の子だけでやっている所が面白い
かもですね。でも女の子だからといって表現が
おとなしめになるわけではなく、流血ありのボケ、
ツッコミやキャラ達の型破りな性格、金持ちで
あるがゆえのあり得ないほどのアイテムなど演出は
派手になっています。
 百合的には、、、直接の表現はあまり見られないの
ですが、強い友情や姉妹愛を時々見せてくれたり
します。例えば料理下手な鯨を落ち込ませないために、
彼女が作った激マズのしるこをペンギンが完食
したり(もちろんその後で吐血ものの騒ぎになります)、
かわいい女の子にちょっかいを出しまくるペンギンを
見て妹のかえでがむっとしたり、ペンギンと同じ
趣味で彼女に憧れている無口な美少女、咲が登場
したり、、、。キャラやシチュエーション的には
かなりそろっていると言えそうです。
 そしてさらに、掲載誌がチャンピオンREDに
変わった事で、より百合なお色気が出てきている
ようにも見えます。チャンピオンREDいちごの方でも
鯨にアタックするペンギンを見られたりします。
物語の流れ的に見ても、最初は趣味も考え方も違う
女の子2人が出会って、少しずつ友情を育て、やがて
それが愛情に変わっていく、といったように
感じられて、百合としては良い傾向に思えます。
 関連情報:
 掲載誌をチャンピオンREDに変えて、続きに
当たる「ペンギン娘MAX」が連載中です。
 また、チャンピオンREDいちごでも時々(Vol.3
Vol.6Vol.8など)作品が掲載されています。
 それから、この作品を原作としたアニメシリーズ
ペンギン娘♡はぁと」が無料でネット配信中です。
レビュー記事レビューリスト

マギーペール (髙木信孝) 1巻~3巻
 タイプ:想像可
 あらすじ:
 魔法使いを育てる学校、金雀枝(エニシダ)
魔育学園へ通う事になった小梢聖愛(こずえまりあ)。
彼女は火(レフ)の属性(ルルヴェ)を持っているのだが、
魔法が大嫌い。登校初日、聖愛は、レフマスターと
呼ばれ学園の生徒達から慕われる少女、天羽玲有
(あもうれいな)と運命的な出会いをする。
 ポイント:
 第1巻では、魔法が嫌いだという聖愛が、玲有に
認められマスターとスイートの関係になり、マギー
(生徒会)の一員になるという展開から始まります。
あまり急だったためか聖愛は何かあるたびに反発
したりしてますね。玲有の素晴らしさをわかった
としても、もともと憧れて近づいたわけでもないので、
聖愛がすぐに玲有を慕うようになるなんて事には
ならないみたいです。
 また、この魔育学園は共学で、男女の間でも
マスターとスイートが成立しています。なので
百合なカップルがごろごろ、という感じでもない
です。それから作中では、女の子のボディラインを
強調するような描写が多かったり、エピソード的
にもそういうものが取り上げられたりしていました。
第1巻を読んだ時は、百合よりはお色気で進める
物語なのかな、とも感じられました。
 これが第2巻になると、だんだん2人の関係が
変わってきています。先に気づくのは、学年でも
魔法でも先輩の玲有。他の女の子達と仲良くする
聖愛を見てやきもきしたり、眠ってしまった彼女に
唇を近づけたり、、、。本人はまだはっきりした自覚は
ないみたいですが、この気持ちは発展しそうです。
 ところが聖愛の方は相変わらずな様子。このまま
なのかな、と思ったらどうやらこの後ライバルが登場
するらしいです。こうなるとどうしても恋を意識
しないわけにはいかないでしょう。第3巻まででは
「想像可」としましたが、この後は「百合メイン」に
なるのでは、と期待したいです。
 この作品は「魔法」を使う「生徒会」が舞台ですが、
メンバーのノリがけっこう体育会系だったりします。
「魔法は瞬発力!」とか「炎はトモダチ」とか、、、。
そのギャップが面白く笑えるかもしれません。

マリア様がみてる (原作 今野緒雪、作画 長沢智) 全8巻
 タイプ:百合メイン
 あらすじ:
 リリアン女学園高等部1年の福沢祐巳は、登校の
時マリア像の前で声をかけられる。相手は憧れの
上級生、「山百合会」と呼ばれる生徒会に所属する
「紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)」
こと小笠原祥子。突然の出来事に声を失う祐巳に
祥子は近づき、見ず知らずのはずの彼女の制服の
タイを直すのだった。
 ポイント:
 マリみてのビジュアルというと、原作第1巻
から挿絵を担当されていて雑誌コバルトで表紙も
描かれたりしているひびき玲音さんの絵柄を
思い出しますが、この作品では長沢智さんによって
また違う魅力が引き出されていますね。何というか
少女漫画ならではのかわいらしさが表れている
ように思います。
 祐巳が薔薇様達に囲まれていっぱいいっぱいに
なっている所とか、祥子の正真正銘のお嬢様ぶりや
たまにお高い感じになる所などが、キャラクターの
たたずむ姿からだけでも伝わってきます。時々入る
コミカルなデフォルメも、見ている側に親近感を
湧かせるのではないでしょうか。休日に見せる
私服のファッションとかも読者層に近い雰囲気かも
しれません。
 ストーリーは基本的に原作通り進んでいきます。
が、コミックらしく「見せる」部分もありますね。
姉妹になる前、祐巳が祥子の事で同級生に問い詰め
られて感極まってしまう場面や、シンデレラの劇を
練習する合間に、2人だけで一緒にダンスを踊る
場面など。そういう部分も見所では、と思います。
 このシリーズは、蓉子達が卒業するエピソード
(「いつしか年も」など)までで完結しています、、、。
でもこういう少女漫画なマリみても楽しいと
思いますし、もっと続きが見てみたいですね。
長沢さんの描く乃梨子や瞳子を見てみたいかも。
 関連情報:
 集英社の作品紹介ページで、全巻の冒頭部分を
試し読みする事ができます。

ヨコハマ買い出し紀行 (芦奈野ひとし) 全14巻
 タイプ:想像可
 あらすじ:
 世界がゆっくりと終末を迎えようとしている
時代。海面が上昇して陸の地形は変化し、人類も
徐々にその数を減少させている。三浦半島のとある
カフェで、旅に出たオーナーの代わりに店を切り盛り
する女性がいた。近所の人から「アルファさん」と
呼ばれている彼女は、A7M2型のロボットだった。
 ポイント:
 滅亡の危機にあっても、当の人間達はどうする事も
できないと悟っているのかのんびりと暮らしています。
主人公のアルファはそんな世界に住んでいます。
物語は、彼女が他の人達とのふれあいを通じて経験
する事や、いろいろな場所を巡って見聞きした事を
淡々と描いていきます。この世界には様々な不思議が
あり、アルファ型ロボットの誕生も謎に包まれて
います。が、そこを解明するというよりも、世界観を
楽しむ、みたいな読み方になるのではないでしょうか。
 百合を思わせるエピソードはそう多くはないの
ですが、アルファと、同じロボットのココネとの
関係が挙げられます。昼下がりの誰もいないカフェで
キスをしたり(ってこれはロボット同士の情報伝達法
なのだそうです、、、)、変に意識してしまった
アルファがココネを夢に見たり、なんて場面が
あります。
 後は直接的ではないのですが、第14巻が百合的に
想像させられるものがある気がします。時が流れ、
登場人物は成長したり年老いたりしていきます。
でもアルファはロボットであるため年を取る事もなく
ただ人間達が通り過ぎていくのを見守るだけ。
そんな、時間から取り残された存在とも言える
彼女が、一緒にいようと考えた相手とは、、、。彼女が
最後に手にした百合な愛の形を想像させます。
 関連情報:
 講談社のページでは、全巻の一部を試し読み
できるようになっています(読むには設定が必要
らしいです)。
 この作品のOVAドラマCDが制作されています。
レビュー記事

 、、、といった感じで、コミック編は一応ここまで
となります(他のを思い出したら追加するかも
しれません)。何かの参考にでもなればと思います。
 それにしてもショートレビューと言いつつ
ちょっと長いような、、、。書き方も気をつけなきゃ
かもですね。

(この下に、各作品のイメージ画像を貼っておきます。
まあ作品を探す時の参考にでもしてもらえれば、、、。)

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