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2008年4月16日 (水)

アオイシロ -青い城の円舞曲- 第3話

 運不運のせいばかりにはできないものって
やはりあるのでしょう。そこに気づいた時、
本人には選ぶ権利が生まれるのと同時に、
選ぶ責任も生まれるのでは。この先梢子は
何を手に入れる事になるのでしょうか。
 、、、それにしても今回の物語の流れは
梢子視点。百子にはますます分が良くない?

 発行一迅社コミック百合姫連載の
「アオイシロ-青い城の円舞曲-」、第3話
です。
 百子と保美は剣道部に仮入部した。練習を
担当するのは、部長の代理となった梢子だ。
彼女の演武に憧れて入ってくる新入生は
多かったが、練習のハードさのためか日に日に
参加人数は減っていた。

 梢子は、努力を惜しまない人に好感を持って
いるようです。何かをつかむために、地道な
練習を不平も言わず毎日続ける、そういう姿勢が
彼女の胸に響くのでしょうね。
 では自分自身に対しては、どうなのでしょう。
都内一とも言われる剣道の腕前は、たゆみない
努力の結果に得られたもののはず、、、。なので
彼女もまた努力家なのではないかと思われます。
けれど運にからむ事になると、とたんに「不得手」
が発揮されて、、、(とはいえ合宿のイベント
CGの中で、トランプ遊びをしているものが
ありましたね)。この落差があるために、彼女は
いつも気を抜けず、結果として愛想みたいな
ものが奪われていった、と言える、、、?
Webノベル第1章で描かれていたような梢子の
雰囲気は、昔海で事故にあった頃から積み重ね
られてきたものなのかもしれません。
 努力はするが不運にも見舞われる、といった
生き方をしてきたらしい梢子。彼女は、自分の
力で手に入れられないかもしれないものに
対しては消極的になりがちなのかな、という
気もします。恋愛みたいな、自分の気持ちだけでは
どうにもならないものとかには逃げ腰になって
しまう、とか。
 今回の保美との事についても、これまでの
梢子だったなら、一歩踏み込んだ関係になろう
とは思わなかったのではないでしょうか。相手に
好感を持ったとしても、そこまでだったり。
その先へ進ませるものがあるとしたら、2人の
昔の縁と、それから今の保美の気持ちなの
でしょうね、、、。

 保美は梢子に対して、自分との出会いを
思い出して欲しいという気持ちがあったみたい
ですね。それも入学式での事ではなく、子供の頃の
出会い、、、。そう考えたのは、昔の記憶から
今につながっている実体のようなものが彼女には
なかったから、とも思えます。今の保美は、
(もちろん百子はついてくれていますが)親も
いなくなり、孤独の身。子供の頃に住んでいた
土地には子供がいなくて遊び相手を見つけられず、
成長してからも、体が弱いながら母子家庭で
家の事を切り盛りするためになかなか友達も
作れず、、、。昔、あの場所でこんな事を
したよね、と語り合える人がいなくなって
しまった保美にとって、自分の存在を誰かに
受け入れてもらえる事は、心の底からの願い
だったのかもしれません。
 そんな彼女の前に現れた梢子は、自分と過去を
共有してくれるかもしれない女性でした。特に、
失ったと思っていた「梢子ちゃん」にもう一度
出会えた事は、これまでずっと何かを失い続けて
きた彼女には、計り知れない喜びだったのでは。
そして同時に、もう二度と相手を失いたくない、
とも思ったのではないでしょうか。
 そのため保美は、誰が見ても無理と思われる
ようなやり方で部活を続けます。その「努力」が
報われるのかどうかは、「運」にかかっているの
かもしれません。が、あきらめないでいる事が、
低い確率をどのようにも上げる事ができるのかも。

 そして百子は、、、。彼女は保美の事を本当に
大切に思っていたのでしょうし、相手の体調なら
手に取るようにわかっていたようです。保美が
剣道部に入りたいと言えば、無理には止めず、
自分も一緒に入部するほどでした。ここまで
相手の事を考えていても、相手は他の人の方を
向いているのですね、、、。人の気持ちは
簡単には変えられない、という事なのでしょうか。
 けれど百子も、今回で吹っ切れたみたいな
事は全然ないみたいです。保美が三つ指
ついて(!)梢子に挨拶している場面には強烈に
反応してましたし、もともと「一番」の座は
梢子に明け渡す気がないようで。彼女の感情
については作画担当の江戸屋ぽちさんも
思う所があるようなので、今度出る単行本辺りで
何かある? (そう言えば以前とらのあなの
百合姫購入特典のメッセージペーパーでそういう
事を書かれていたような。同人誌という可能性も
あるとかないとか。)
 Webノベルの第1章では、百子と保美は
「姉妹」みたいにいつも一緒にいるといった
言われ方をしていました。これは梢子から見た
表現らしいです。この感じからすると、梢子は
百子と保美の間にどういうエピソードがあったのか、
あまり意識していないようにも思えますね。
梢子自身、恋愛の事はあまりよくわからないと
思っているのかもしれませんけれど、そんな
彼女にも見せつけるぐらいの仲良しをアピール
できたら良さそうかも。

 それから一つ気になっているのが、綾代の
存在だったりします、、、。物語の本筋に
関わってくるわけではないのですが、脇に控えて
その場その場に適切な助言をしていたような。
しかも出てくる時はほとんど梢子と一緒で、
出番も多かった気がします。
 それに、梢子への思いやりが見えるような
感じの場面もある気がするのですよね、、、。
例えば、やめていく部員の多さを悩む梢子の
隣で、綾代も一緒になって困った顔をしている
所とか。綾代の目の表情とか見ていると、
部員が減っている事そのものよりは、梢子が
心配事を抱えているのを心配しているようにも
思えてきたり、、、(考えすぎでしょうか)。
 最後から2ページ目の大きいコマでも
ちゃんと梢子の隣にいましたし、彼女は彼女で
何か思いを持っているのかなと、勝手に
想像してしまいます、、、。

・「アオイシロ」レビューリストレビューセンター

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